【中学受験】小学4年生の学習内容と塾に通う意味 塾任せにしない賢い親になる

【中学受験】小学4年生の学習内容と塾に通う意味 塾任せにしない賢い親になる

中学受験を始めるなら小学4年生から(小学3年生の2月から)!小学4年生から中学受験塾での勉強は本格的にスタートする!って良く聞くと思います。

 

こんな話を聞く方は、

「何ならもっと早くから始めた方が他の子を出し抜けるんじゃないかしら」とスケベ心が波立っているかと思いますし、塾の説明会に行った日にはいよいよ難破船でございます。

向こうも商売。煽るのは当たり前です。煽り芸だと思っておきましょう。何なら「ダチョウ倶楽部の上島がなんか煽ってんなー」と思って説明会の話を聞いておけばいいわけです。

 

ご自分の心の荒波や塾の説明会やらよりも親御様に必要なのは客観的な事実の把握と冷静な判断かと思います。

いくら、自称プロがああやこうやと言ったところで最終的な責任は親御様にあります。自称プロは責任をとりません。

入試が終わった後、いくらでも人のせいにできますが何の解決にもなりません。

 

人の言うことを信じて行った判断など後悔しか生みません。後悔するくらいだったら最初から全責任を負うくらい腹を括って判断した方が良いと思います。

 

そのために必要なのは客観的な事実です。ファクトなしの判断なぞ、クソの役にも立ちません。

 

今回は小学4年生の中学受験勉強について客観的な事実を提示していきたいと思います。ほんの少しだけ私の観察に基づく所感も書いておきますので、あとはご判断ください。

小学4年生で中学受験を始めた方がいい理由

猫も杓子も小学4年生から中学受験のため塾に通わせた方がいい、と言っているのはカリキュラムがそうなっているからです。

もちろん、中学受験塾も1年生、2年生、3年生向けのコースを用意しております。

が、そこで行われるのは本格的な中学受験勉強ではなく頭の体操みたいなものです。

 

本格的な中学受験勉強は小学4年生から始まります。

 

では、中学受験界のドン、SAPIXが1年生、2年生、3年生向けに何をやっているのか、何をしようとしているのかと小学4年生のものを入室案内から抜粋しつつ対比していきたいと思います。

算数

小学1年生

数の持つおもしろさや不思議さを味わうため、サイコロを転がしてみたり、数字の書かれているカードを黒板に貼って並べたりしながら、楽しく取り組める授業を展開します。

引用元:SAPIX入室案内より

小学2年生

2年生では、まずは試行錯誤して自分なりに問題を解いていくことが大切です。「数のしくみ」「図形の組み合わせ」「さまざまな単位」など、数や図形に対する感覚を養い、何よりも算数の世界のおもしろさにふれてほしいと考えています。

引用元:SAPIX入室案内より

小学3年生

3年生では、知識を詰め込むだけではなく、子どもたちの興味を引くような身近なできごとを題材に求めて、算数の楽しさやおもしろさを感じてもらいます。それを通して算数の基礎力を身につけることが目標です。

引用元:SAPIX入室案内より

国語

小学1年生

身近なできごとを題材にしたものや話の展開を頭に描きやすい内容の作品を取り上げ、文章に親しむことから始めます。

引用元:SAPIX入室案内より

小学2年生

2年生では身近で親しみやすいストーリーで、子どもたちが感動できる物語文を主に取り扱います。授業中にじっくりと文章を読ませることによって、話の展開と状況をしっかりと理解できる力を身につけさせることに主眼を置いています。

引用元:SAPIX入室案内より

小学3年生

3年生では、子どもたちが親しみやすい物語文を中心として学習していきます。幻想的な物語も出てきますので、文章の流れを整理して、読み進めることが必要になってきます。全体の流れをつかんだうえで、場面ごとに内容を確認し、登場人物の気持ちをていねいに読み取っていきます。そして、読み取った内容をきちんと表現できるようにするための記述指導もあわせて進めていきます。

引用元:SAPIX入室案内より

はい、ここまでが小学1年生〜3年生までの学習内容です。算数と国語しかないのは、そもそも2教科しかやってないからです。理科と社会は4年生からです。

小学1年生〜3年生までのSAPIXの算数

小学1年生〜3年生の算数では「〜算」みたいなテクニカルな解法ではなく、もうちょい根本的な頭の使い方を中心にやっていることが見てとれますね。

なーんだ中学受験向けの学習はしないのね、なんてがっかりしないでくださいよ。

 

中学受験の算数は頭の使い方が一番大事で一番難しい。

で、小学1年生〜3年生までは頭の使い方をやってるんです。

 

ある程度の学校の算数の問題はパズルみたいなものです。パズルなんて不真面目ですって?だったら言い方を変えますよ。

基本的知識を使って論理的に解くのが中学受験の算数です。

頭の使い方の訓練ってのは論理的に解を導く訓練なんですね。

 

解法を覚えた後は、解法だけじゃどうにもならない世界が待っております。論理的思考ってやつです。パズルを解くための頭の使い方です。

↓でも書いてますし、

【中学受験】応用問題の解き方・解くコツ 応用問題の正体とその対策法

そんな能力、塾で学んでないよー、聞いてないよー、という人には下のような学習参考書もございます。

【中学受験】算数の応用(発展)問題の解き方が分かる たった1冊のおすすめ参考書

 

で、SAPIXではそういう目に見えにくい能力を小学1年生〜小学3年生で身につけてもらおうという趣旨でやっているわけですね。

小学1年生〜3年生までのSAPIXの国語

さて、国語です。SAPIXでは何を重視しているか読み取れましたでしょうかね?

物語文を読む能力です。

 

物語文を読むだけかよ!とツッコミを入れたい方に倍返し。

中学受験の国語において最も難しいのは物語文の読解です。

 

論説文(説明文)なんぞはちょっと読み方を覚えたらちゃっちゃと読めます。解き方はちゃんとした方法があります。

でもね、物語文は読む能力を身につけるのがクソ難しい。

 

論説文(説明文)の読み方。

【中学受験】国語論説文の読み方・読解 著者の主張を構造で読み解く

 

解き方。論説文(説明文)も物語文も共通でいけます。

【中学受験】国語で8割正答する解き方 3つのフレームワークと9つのバリエーション

 

物語文の読み方。

【中学受験】国語物語文で満点取る3つの読む技術 構造・関係性・テーマ

 

暇だったら上で書いている物語文の読み方を見といて欲しいのですが、なんせちゃんと読むには訓練が必要です。論説文(説明文)もややこしいように思えるかもしれませんが、コツが分かれば簡単。

論説文(説明文)の読み方より、はるかに習得に時間がかかるのが物語文の読み方です。

 

で、SAPIXでは小学1年生〜3年生の比較的余裕がある時期に時間のかかる物語文を読む訓練をやらせようというわけです。超、理にかなってます。

小学4年生の学習

算数は、

算数では、計算力を確実に身につけることが何よりも大切です。したがって、分数や小数のかけ算・わり算を含む計算に関するすべての分野は4年生までに学習します。

次に算数の発想を身につけていくことも大切です。「つるかめ算」「過不足算」「和差算」「やりとり算」といった和や差に注目して考える問題、「植木算」「方陣算」といった、きまりを見つけて考える問題など、いろいろな問題を解きながら、算数的な考え方を自分のものにしていくことが目標です。

引用元:SAPIX入室案内より

国語は、

4年生では三つの世界に足を踏み入れます。一つ目は、未知の言葉と出会う世界。二つ目は、主体的に読む姿勢を発見する世界、三つ目は、長文を読解し、自分なりの答案を記述する世界です。三つの世界は互いにつながっています。

引用元:SAPIX入室案内より

 

と、こんなことが書いてあります。

小学3年生までの指導方針からずいぶんと変化しているのが見てとれましたでしょうか?

 

算数では具体的な解法をやっていくんだぞ、と書いてありますね。頭の使い方の訓練はもう終わりだぜ、ということです。

国語では語彙力、読む技術、解く技術を身につけていくんだぜ、と言っております。

 

これが小学4年生の学習内容です。

なんか引っ掛かりを感じませんでした?

そうです、小学4年生になると算数では頭の使い方、国語では物語文の読み方という最も大事で、ゆえに最も習得が困難なことに焦点を合わせた授業じゃなくなるんです。

 

中学受験は小学4年生から、と信じてた方は真っ青になってしまう事実です。

表面的には小学4年生からのカリキュラムで中学受験に必要なことは学べますが、根本的であるがゆえに目に見えない部分の能力開発は小学3年生までで終わってます。

 

SAPIXではそうした目に見えない力を養うためにピグマキッズくらぶなる倶楽部を立ち上げております。とてもいいと思います。ややこしい能力や根本的な能力は時間のあるときにやった方がいいに決まってます。

ちなみに私はピグマキッズくらぶの回し者ではありませんし、ピグマでもございません。てゆうかピグマってなんだよ。

 

ただ、これが事実です。

他の塾ですか?

 

他も同じですよ。少なくとも日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー、市進学院ではおおよそこのようになってます。

 

やっべ、出遅れた!と思う方に、ちょいと私の経験談を。

小学3年生から塾に通ってた人たち

私が入塾したのは小学4年生の3月頃でした。中学受験塾で言うところの新小学5年生です。

これくらいの頃に入塾するとすでに中学受験カリキュラムの半分くらいは終わっているわけです。4年生、5年生で必要最低限のことは終わっちゃうんですよ。そのうちの1年が空白となっておりますので、1/2が空白。

 

そんなん無理ゲー、超やばい、と思うでしょう?

ところが全然やばくないんです。

 

小学3年生、4年生から塾に行っている子が多数で、そこからはあまり増えませんが、見事に二極化しているんです。

カリカリ勉強して理解力も高い子たちと、何しに来てるのか分からない子たち、です。

 

何しに来てるのか分からない子たちなんてのすぐに追い抜かせます。

追い抜かすのに必要なのは1ヶ月です、1ヶ月。

 

小学5年生ってのは新しい分野を習います。3年生からいようが、5年生から入ろうが、新しい分野についてはヨーイドンなわけです。私の通っていた塾では1ヶ月ごとにテストがありましたから、1ヶ月経って行われる新分野のテストでは3年生からいた子たちとスタート地点は一緒なんです。

新しい分野であればあっという間に追い抜かせます。

 

で、何しに来てるのか分からない子たちは4年生で習ったことなんて大して覚えちゃおりません。差は殆どないようなものです。

 

しかも、実は塾では小学5年生でも、4年生に習うことを復習と称してやったりします。

5年生から入った子はその時に必死こいて勉強するわけです。

 

すると、偏差値50以下の子たちよりも上にいるわけですね。

 

確かに1年遅れるのは少しハンデはありますよ。でもね、すぐに取り返せるハンデです。少なくとも弁当食いに来てる子たちや、おませな会話を楽しみに来ている子たちよりも向上心があるぶんよっぽどいい。

ちなみに小学5年生でおませな会話を楽しんでいるのは大抵女子です。算数よりも国語よりも保健体育が得意な女子がわんさかいます。

成績上位とどう争うのか

何しに来ているのか分からない子たちはすぐに抜かせますが、成績上位層も当然ながらおります。

この人たちとの差は応用問題(発展問題)を解けるか解けないかに尽きます。

 

小学5年生から入塾しても基本問題や標準問題は普通に授業を聞いて勉強していれば解けるんです。ただ、それ以上の領域は応用問題(発展問題)を解くための考え方が身についていないとダメです。

 

成績上位層は応用問題(発展問題)を解くための考え方が身についています。つまり、小学1年生〜3年生でSAPIXや、その他の塾が身につけさせようとしていたことを程度の差はあれ身につけているんですね。

 

で、成績最上位層には4年生から通塾している子たちが鎮座しています。まことに最上位層はDOPENESSな世界となっております。

 

こうして見ていきますと小学4年生から通塾させるべきかどうかは、その子次第という結論になってしまいます。

できる子は小学4年生から塾に行って意味があるし、できない子は意味がない。

 

小学4年生から塾に行ってしっかりした学力が身につくかどうかは塾に入れてみないと分からない。

 

つーか、それギャンブルじゃん!

中学受験をギャンブルにするな

小学3年生までに入塾した子でもろくに勉強できない子はいます。英才教育をうたうハコモノはあくまでハコモノに過ぎません。

塾に入れて全て解決だったらそんなに簡単なことはありませんが、そうは問屋がおろしません。

 

色々な子供を見ておりますと低学年から子供を塾に通わせて万事OKという態度はギャンブルにのぞむ態度と同じだと考えます。

 

いくら塾のカリキュラムが良かったとしても、きちんと学べるかどうかまでは保証されておりません。

 

中学受験をギャンブルにしないためには親御様が中学受験で必要な勉強や頭の使い方をきちんと理解することだと考えております。そして、必要に応じてアドバイスができる、と。

 

それに比べたら小学4年生から塾に入れるか、5年生に入れるか、あるいは3年生から頭の使い方を学ばせるかは瑣末なことに過ぎません。

 

小学4年生から中学受験の本格的な学習は始まります。確かに小学4年生から塾に通わせるのは相対的に有利に働くでしょう。ですがね、通わせるだけでは解決しません。

 

ちゃんと知りましょう。ちゃんと学びましょう。中学受験というゲームの仕組みとルールをね。それが分かりゃ対策のしようがある。

中学受験をギャンブルにしない、合格するべくして合格するには、ゲームの仕組みとルールをお子さんが知っているか、親御様が教えるかです。

 

お子さんがそれを知らなかったとしたら親御様の出番ですよ。

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