【中学受験】国語で8割正答する解き方 3つのフレームワークと9つのバリエーション
国語の勉強法がよく分からん!子供の成績も上がらん!とお嘆きの方にテクニカルかつ再現性のある解き方と勉強法を提案しようと思います。
昔々、私が小学生の頃、国語の成績アップ法として読書と日記を書くことが推奨されていました。今でも国語力アップのために読書とか文章を書くことが推奨されていると聞きます。
NIFTYのパソコン通信が最先端だったあの頃から、今はAIの時代になっているのに、未だに読書と日記。人間って根本的にはあんまり進歩しないんですね。
いや、読書と日記がダメって言っているわけじゃないんですよ。方法によっては抜群の効果があります。しかし効率悪すぎますし、そもそも方法が正しくなかったりするんです。
空手が強くなりたいのにワックスをかけてワックスをふく訓練をさせるようなものです。ミヤギサーン!それ効率悪すぎます!
私のスタイルはもちろんモーフィアス。ミヤギさん対モーフィアスのスタイルウォーズ。さあ勝つのはどっちだ!?
「頭で考えるな!(フレームワークを)知るんだ!」
国語の正答率が安定しない理由
国語の正答率が安定しなかったり、逆に5〜6割くらいで安定しちゃってるのは適当に解いてるからです。
適当じゃねーよ!と怒るかもしれませんが、解き方が分かってれば国語は8割正答できます。
それ以下の正答率ってことは適当なんです。正答率が安定しないのは安定した解き方をしていないからです。つまり、解き方を確立していないからです。
過程がブレていれば結果もブレる。原理原則、とてもシンプル。今回は体調悪かったとか、問題が難しかったとか、うちの子供向きじゃなかったとか外的要因のせいにしてはいけません。
良かったことも悪かったことも常に己に原因があると考えなければ成長は見込めません。
中学入試の国語を解くための基本的態度
そもそも入試問題で考える力は不要です。大学入試であれ、中学入試であれ同じです。
必要なのは解答する為の方法論を正確にトレースし、目の前の問題に当てはめることだけです。
算数でも国語でも一緒です。
入試の国語を解く為の基本的態度は、文章に書かれていることだけを手がかりに解答することです。
想像を膨らましたり、勝手に登場人物の気持ちになったりするのは趣味にとどめておいてください。
大手塾では、とっても研究熱心な先生方が解答するために必要な方法を分析して、解答の方法論を実践的に教えてくれます。仕事をしている大人をなめないでください。
ただし、問題はそれを子供が正確にトレースできないことです。
ところで小学校の国語の授業では登場人物の気持ちをやたらと考えさせられます。文章から妄想を膨らませる授業をしているわけですね。今日び小学校では、多少読解が間違っていても「そういう考え方もあるね」と肯定されちゃいます。
正しく読解し解答する為の技術論と、妄想力の訓練というダブルスタンダードの中に子供がいると思って頂いたら良いと思います。
どっちが正しいのかは目的によりますが、少なくとも中学受験の為であれば塾でやっていることが100%正しい。
どっちも大事なのよ、なんて曖昧なこと言っちゃいけません。混乱の元です。
で、正しい方法が何なのか良く分からない子供は適当に問題を解いてしまう。だから、国語で正答率60%未満なんていうあり得ない点数を取ってしまいます。
なお過去5年の早稲田中学の国語の平均点で、60%の正答率を超えた年はありません。早稲田中学を受けるレベルにある子供ですらその程度です。ちゃんと方法が分かっていれば80%は超えて当たり前なのに、その程度の水準にあるんです。
大半の子供がきちんと解き方をマスターしていないんです。だからこそチャンスですよ。
3つのフレームワーク
国語で8割を取るために覚える方法論はたったの3つです。できそうな気がしてきましたよね。その調子です。では、実例とともに紹介していきます。
①説明(同義)問題
主に傍線部と同じ意味の選択肢を選ばせたり、記述させたり、抜き出させたりする問題です。どのように出題されるかというと、
「傍線部〜を説明するものとして正しいもの(正しくないもの)を選びなさい」
「傍線部〜の気持ちを説明したものとして正しいもの(正しくないもの)を選びなさい」
「傍線部〜とはどのようなことですか。正しいもの(正しくないもの)を選びなさい」
「傍線部〜の中で登場人物が最も大切だと考えていることは何でしょうか。最もふさわしいものを選びなさい」
「傍線部〜を別の言葉で言い換えるとどのようになりますか。最もふさわしいものを選びなさい」
といったように出題されます。簡単に見分けるために、「なぜ」とか「理由」という言葉が入っていないことを確認してください。
「なぜ」とか「理由」という言葉が入っていれば「②理由問題」です。別の解き方が必要になります。
説明(同義)問題は傍線部の意味を正確に理解しているかが問われる問題です。したがって、傍線部と同じ意味の内容を文章中から拾ってきて再構成すればいいんです。
解答手順
では解答手順です。そんなに固く構えないでくださいよ。クックパッドの料理手順と全く同じです。
1.傍線部を分解する
2.分解した文章と同じ意味を持つ文章を文章中から拾ってくる
3.文章中から拾ってきた文章を再構成する
これだけです。
じゃあ実例でやっていきます。
平成28年度 早稲田中学(1回目) 大問1 問5
傍線部3「いい仲間にめぐりあえて、よかったじゃん」とありますが、ここでの明良の心情として最もふさわしいものを次の中から選び、記号で答えなさい。
引用元 早稲田中学 平成28年度国語入試問題 大問1/草野たき「リリース」より
小杉というバスケットのうまい転校生がいます。小杉は転向した先である根津中学の弱小バスケットボールチームに入ります。小杉は荒んだ生活をしている後藤明良の家に赴いて、根津中学の部員がどんなに素晴らしいかを後藤明良に説きます。後藤明良は自分のチームメートを「雑魚の集まり」と評し、チームに馴染もうとしません。また、荒んだ生活をしている理由を母子家庭であることに求め、無気力になっています。練習にも行かなくなっています。練習に来ない後藤明良に対して小杉は根津中学の部員が自分を受け入れてくれていることを話し、それに対して後藤明良は「いい仲間にめぐりあえて、よかったじゃん」と答える場面です。
では傍線部を分解し、文章に沿って分解したパーツの意味を明らかにします。(手順1、2)
「いい仲間」・・・後藤明良にとっては雑魚であり、見下している存在です。が、チームメートを思いやる気持ちのない「オレは最低」だと考えていることから、チームメートのことを技術的には下手でも人を思いやる気持ちのある、いい連中だと考えています。
「めぐりあえて」・・・チームに馴染めなかった小杉が思いやりのあるチームメートにめぐり合ったことを指しています。
「よかったじゃん」・・・普通に読むと皮肉です。が、その直後の文章で「瀕死状態の自分にとどめをさしにきて」と言っていますので、自分がクソだということを後藤明良は自覚しています。したがって、これは100%の皮肉ではなく、自分への諦めとこんなクソな自分に関わるんじゃねえという突き放す感情を表現しています。
これを再構成します。
「下手くそでも思いやりの気持ちのあるチームメートに馴染めて良かったな。俺はあの連中とは違って人間的に最低なんだよ。もうどっかに行け。俺に関わるな」
上の再構成した文章と同じ意味を持つ文章を選択肢から選べばいいだけです。
では選択肢を紹介します。
ア 小杉の気持ちなど実はどうでもよく、自分の思いやりのなさを痛感し、さらに絶望的な気持ちになっている。
イ 小杉がようやくバスケットボール部の仲間に溶け込めたことに安心する一方で、どうしようもなく嫉妬にかられている。
ウ 小杉が望み通りにいい仲間にめぐりあえたのに、自分は嫌われてしまったという現実からひたすら目をそらし、何も考えないようにしている。
エ 小杉がうらやましがっていた仲間を自分も今さらながら誇らしく思い、かえってひどい自己嫌悪に陥っている。
引用元 早稲田中学 平成28年度国語入試問題 大問1/草野たき「リリース」より
ア・・・「自分の思いやりのなさ」を痛感する言葉として「オレは最低だった」と言っています。正解候補として残します。
イ・・・「溶け込めたことに安心」してはいません。違います。
ウ・・・「嫌われてしまったという現実」が違います。その後の文章で、現実はチームメートが後藤明良が帰ってくるのを待っていることが分かります。嫌われていません。
エ・・・「今さらながら誇らしく思い」が正しく見えますが、この時の後藤明良に見えているのは、自分の最低さ加減です。また、「誇らしく」が言い過ぎています。したがって正解候補から落とします。
説明(同義)問題の詳細説明はこちらでやってます。是非マスターしてください。
②理由問題
傍線部の理由を答えさせる問題です。
出題される形式としては、
「なぜそのように思ったのか答えなさい」
「傍線部〜と著者が考えた理由を選びなさい」
と出題されます。「なぜ」とか「理由」という言葉があれば理由問題だと当たりをつけます。
傍線部は結論や結果ですので、それを導いた過程を文章中から抜き出していくと理由が見えてきます。
解答手順
1.傍線部に至る過程を文章中から拾ってくる
2.文章中から拾ってきたパーツを組み合わせて再構成する
3.傍線部に至った理由を定義する
実例でやっていきましょう。
平成29年度 早稲田中学(1回目) 大問2 問4
傍線部3「自分の文章なのに解くことができないことがある」のはなぜですか。不適当な物を次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア 必ずしも一つの思いだけではないから。
イ 書いている時の気分を忘れることもあるから。
ウ 意図を隠して別の表現で書いている場合もあるから。
エ 後で読み返した時に初めて意図はわかるものだから。
引用元 早稲田中学 平成29年度国語入試問題 大問2/鷲田清一「賢くある」ということ より
「なぜ」という言葉がありますのでこれは理由問題です。
では、「自分の文章なのに解くことができないことがある」理由を文章中から拾っていきましょう。
文章から拾ってきた
「文章をつくる時、色々な思いを込めている」から。
「別の言葉に置き換えてカムフラージュしていることがある」から。
「私が伝えたいと思っている相手がなかなか気づいてくれないからいら立ちながら書いている」から。
「その時の気分(書いている時の気分)を忘れている」から。
再構成し、理由を定義する
「文章を作っている時は色々な思いを込め、別の言葉に置き換えたり、苛立っていたりしているので意味を一つに集約することはできない。それにその時のことを忘れちゃってたりするんだよね、テヘ」
再構成してみましたら複数理由があることが分かりました。では、次に選択肢を対比します。
拾ってきた文章と選択肢を対比する
ア・・・「色々な思いを込めている」ので「一つ思いだけ」ではありません。これは適当です。
イ・・・「その時の気分を忘れている」と明言しています。適当です。
ウ・・・「カムフラージュしていることがある」ので適当です。
エ・・・こんなことは言っていません。不適当です。
理由問題なんか怖くない!絶対に解けるようになる理由問題の方法論をさらに詳しく解説してます。
③空欄問題
空欄だけに注目していても答えは導けません。空欄問題のポイントはその空欄を含む文章を傍線部と見立てることです。
解答手順
1.空欄を含む文章に線を引く
2.線を引いた文章を解体する
3.解体した文章と同じ意味の言葉を文章中から拾ってくる
実例でやっていきましょう。
平成28年度 早稲田中学(1回目) 大問1 問2 A
A、Bに最もふさわしいことばをそれぞれ下の中から選び、記号で答えなさい。
A
ア 後ろめたさ
イ 歯がゆさ
ウ うれしさ
エ あさましさ
引用元 早稲田中学 平成28年度国語入試問題 大問1/草野たき「リリース」より
じゃあ手順通りに行きますよ。疲れてきましたか?私も疲れてきました。
じゃあ癒しの一曲。これを聴きながらお料理感覚で問題が解ける様子を見やがれ!
空欄を含む文章は、
母さんは手助けしてもらった「 A 」で親戚にこび続け、
引用元 早稲田中学 平成28年度国語入試問題 大問1/草野たき「リリース」より
これです。
この家庭は母子家庭です。そして母さんは立派に働いています。
このバカが、立派に働いているお母さんを「こび続け」なんてどの口が言ってやがる。お前みたいなガキは私が足4の字固めでヒイヒイ言わせてやる!
それは置いておきまして、解体していきます。
母さん・・・仕事に対して文句は言うものの好きで働いているお母さん
手助けしてもらった・・・お父さんが事故死してしまったので経済的に困難な状況になっています。経済的な援助を親戚にしてもらったと捉えます。
文章を再構成します。
「仕事に対して文句は言うもの立派に働いていると思っていたお母さんが、実は経済的な援助をしてもらった「 A 」で親戚にこび続け」
経済的な援助と親戚へのこびを結びつける言葉は、「恩」とか「すまない気持ち」です。「こび続け」と言っていることから、「恩」ではなく「すまない気持ち」でしょうね。「恩」だったら媚びるのではなく感謝しますから。
選択肢を検討する
ア・・・「すまない気持ち」と「後ろめたさ」は同義です。正解候補です。
イ・・・「すまない気持ち」は歯がゆさではないです。正解候補から落とします。
ウ・・・「うれしさ」?バカ言ってんじゃねえ。お母さんはドMか。
エ・・・「あさましさ」文意が変わってしまいます。当然正解候補から落とします。
正解はアです。
9つのバリエーション
上で紹介した3つのフレームワークに、記述、抜き出し、選択という問題のバリエーションを掛け算しますと9通りとなります。場合の数です。親御様よりもお子さんの方が詳しいはずですヨ。
パターン/バリエーション | 説明(同義)問題 | 理由問題 | 空欄問題 |
記述 | 説明(同義)記述問題 | 理由記述問題 | 空欄記述問題 |
抜き出し | 説明(同義)抜き出し問題 | 理由抜き出し問題 | 空欄抜き出し問題 |
選択 | 説明(同義)選択問題 | 理由選択問題 | 空欄選択問題 |
ところで、記述とか抜き出しの方が選択よりも配点が高い傾向にあります。難易度が高いということなのでしょうがバカ言っちゃいけません。
どんな問題であれ、正解の文章を作らなきゃ正確に解けないんですよ。正解形がないのにどうやって選択肢から正しい解答を選べるんですか。自分で作る解答は判断基準です。それがないのに正答なんて選べるわけがありません。
選択肢から消去法で落とす過程がない記述、抜き出し問題の方が一つ手順を省ける分、楽じゃないですか。
ま、要するに記述が苦手な子供は正解形を作ってないんです。で、そんな子供の方が多いということを私立中学の先生たちは見抜いているんだと思います。
だから記述の方が配点が高い。本当は記述の方が簡単なのにね。
とはいえ記述問題の方が難しそうという思い込みは多そうなので次は記述問題の解き方をやっていきます。
レッツ8割。国語を得点源にしましょう。必ずできます。
傍線部を文章中の言葉を組み合わせて再構成する訓練は必ずやった方が良いです。国語で重要なのって「読む技術」と抜き出す力の2つだけなんですよね。抜きだせたら再構成は誰でもできます。
だからご家庭では必ず、正解形を作らせてください。記述問題にも、選択問題にも対応できるようになります。
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