【中学受験】分数・小数の混合計算問題の解き方と工夫

【中学受験】分数・小数の混合計算問題の解き方と工夫

「分数・小数の混ざった計算問題(混合計算)で間違いだらけ。どうしたらいいですか?」

と聞かれましたのでお答えします。

 

ミスが多い理由。ざっくり言いますと、分数・小数の混合計算問題の作法が分かっていないからです。

「普通の計算問題だとミスはしない」

「分数・小数の混合計算のときはやたらとケアレスミスをする」

とも書いていらっしゃいましたので、十中八九作法が分かっていないだけです。

 

ちゃんとやり方もありますし、練習方法もありますのでご安心を。

 

やり方としては、まずすべての小数を分数に直します。

次に帯分数を仮分数に直します。

そして通分します。

割り算のときは分母と分子をひっくり返します。

最後に計算します。

 

ここまでワンセットです。

「んなこたぁ分かってるわ!」

と言われてしまいそうですね。

 

では、ほんとにこの通りやっているか見ていただくと良いかと思います。

小数を分数に直したと思いきや、いきなり計算を始めているかもしれません。

これ、順序通りに解くのが大事なんですよ。

小数を分数になおして、帯分数を仮分数になおして、通分し、割り算は分母と分子をひっくり返したあとで計算する。

この順序通りにやれば大したこたぁないんですが、順序を守らないとミスします。

 

なぜ順序どおりに解くとミスするのか、どうやって練習するのかを説明していきます。

分数と小数の混合計算の順序が大事な理由

分数と小数の混合計算に限らず、計算問題の鉄則は「最後に計算する」です。

計算問題と聞くだけでやたらと計算したがる子は多いですが、やたらと計算するとミスります。

 

なぜでしょう?

 

答えは、種類の違う作業を行っているからです。

親御様も仕事でご経験があるかもしれませんが、メールを打ちながら仕様書を作って合間に電話するみたいにいっぺんにマルチタスクをやると頭がこんがらかりませんか?

基本的に一度に違う処理を並行して行うのは人間の頭に向いていません。

ですから、メール打つ時はメール打つのに集中する。仕様書書く時は仕様書を書く。

みたいに同じ種類の処理はまとめて行うと速いですし、ミスも少なくなります。

勉強も一緒です。

 

分数と小数の混合計算であれば、

1.小数を分数に直す

2.帯分数を仮分数に直す

3.分数の足し算・引き算は通分する

4.割り算は分母と分子をひっくり返す

5.計算する

といった5種類の異なる作業があります。

ミスが多くて困っているようであれば、これら5種類の作業を一つずつやってみてください。

ではちょっくら問題で説明しますよ。

女子学院中学校 分数・小数混合計算

引用)女子学院中学校 2022年入試 算数 より

慣れていれば小数を分数に直すのと、帯分数を仮分数に直すのは一緒にやってもいいですが、基本に則ってやっていきましょう。

手順1 小数を分数に直す

小数・分数の混合計算 小数を分数に直す

上のようにまずは小数を分数に直します。

小数→分数の変換で最低限覚えておきたいのは、

0.125=1/8

0.25=1/4

0.375=3/8

0.5=1/2

0.625=5/8

0.75=3/4

0.875=7/8

です。

分数・小数の混合計算問題、お子さんはきれいに小数を分数になおしてますか?

分数同士で計算できるところをいきなり計算して、小数を分数になおすのが後回しになっていませんかね?

それ間違えますよ

手順2 帯分数を仮分数になおす

分数・小数の混合問題 帯分数を仮分数になおす

このように帯分数を仮分数になおします。

たまーに、帯分数を仮分数になおさずに帯分数のまま計算したがる子がいますが、やめといたほうがいいです。

仮分数と帯分数といった種類の違う分数をごちゃまぜにして計算するのは頭のCPUを無駄遣いするからです。

同じ要素同士を処理するほうが頭のCPUを節約できますのでミスが減ります。

「頭のCPUってなんだよ?」

と思った方、いいところに気が付いておられます。

頭もコンピューターみたいに処理・記憶しますよね。

その処理のことをCPUと言ってます。

で、違う要素を処理するよりも、同じ要素を処理するのに人の頭を向いてます。

人の頭は同じ作業をするのに向いてます。けしてマルチタスク向きではございません。

参照)https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.0903620106 (※ 英語の記事です)

 

たとえば仕事でメール打っている最中にビジネスチャットにも返信、なんていうのはとても効率が悪いんですね。

帯分数と仮分数の計算も種類の違う作業です。

仮分数同士の計算と、帯分数と仮分数の計算が混じっているとろくなことになりません。

なので、仮分数になおします。

帯分数に統一するのも感心しません。

なぜなら、普通は帯分数のまま掛け算・割り算をしないからです。

重要なことなので繰り返して言います。

必ず仮分数に直せや!

手順3 分数の足し算・引き算は通分する

分数・小数の混合計算 通分する

掛け算、割り算のところは通分しません。足し算、引き算の場合のみ通分します。

上の問題ではカッコの中身ですね。

では次に行きます。

手順4 割り算は分母と分子をひっくり返す

分数・小数の混合計算 割り算は分母と分子をひっくり返す

はい、手順4でようやく式が完成します。

このように式を完成させるまでは計算をしないのがポイントです。

なんべんでも言いますよ。

種類の違う作業をいっぺんにやらない

 

分数と小数の混合計算に限らず、計算問題を正確に解答するコツは計算をいきなりやらないことです。

整数の四則混合計算もそう。

どんな順序で計算をするのか、まず一回整理をして、それから計算を始めるんですよ。

 

計算問題でケアレスミスが多いと嘆いている親御様は必死で計算練習をさせたりしますよね。

にもかかわらず、計算問題で間違えたりしてませんかね?

とくに四則混合、分数・小数の混合計算みたいに、複雑な問題の正答率が異常に低くありませんか?

 

原因は、計算を開始する下準備ができていないのに計算しようとしているからです。

いろんなことをいっぺんにやろうとして処理の速さ、正確性が落ちているからです。

 

では、計算問題を正確に解答するための考え方、練習方法を説明してまいりましょう。

手順5が抜けてるって?

んなもん、普通に計算すりゃいいだけですから省きます。

1 2 3 次へ >

あわせて読みたい



最新のホカホカ記事

最新のホカホカ記事の一覧はこちらから


書いている人の紹介

星一徹のプロフィールはこちらから