【中学受験】中学受験で方程式って使っていいの?方程式を教えるデメリットはなに?
中学受験で方程式を使っちゃいけない、なんて思い込んでおられる親御様がいらっしゃいます。
事実はというと、使っちゃいけない、なんてことはありません。
学校によっては「方程式、オッケーでーす!」なんて説明会で高らかに宣言されています。
塾によっては上位クラスでは「方程式いくゾぉ!」って方程式を教えておられます。
中学受験を経験されていない親御様は方程式でしか解けないので「よぉし!方程式だぁ!」と意気込んでおられたりします。
おいおいおい、方程式OKなんじゃねぇか!
だったらうちも・・・。
と思われるご家庭は多いかもしれませんね。
うまいやり方を知ってるお子さんがいらっしゃいますと、知らないのは不利なんじゃないかとソワソワするのは人の性。
しかも中学受験算数の基本問題を解いてみると、あれ不思議。
方程式で解けちゃうじゃないですか!
えぇ〜!なんで線分図やら面積図やらめんどくさいことすんの〜!
方程式覚えちゃえばいいじゃん!
おっと、まだキャラ設定が固まりきっていないグラサンの人が割り込んできましたよ。
そうです、いわゆる特殊算と言われてる分野の基本問題レベルなら方程式で解けちゃいます。
つるかめ算なんかは連立方程式で楽ちんに解けますよね。
方程式を覚えるのはメリットだらけな気がしてまいります。
「うちも方程式を教えようかしら?」
なるほどなるほど、心中お察しいたします。
が、私の結論は絶対に方程式を教えるな、です。
その昔、私は四谷大塚の中野とか御茶ノ水あたりにある日曜教室でテストに励んでおりました。
あるとき、おもむろに先生がおっしゃったんです。
「方程式を使うようになると馬鹿になる」
その時は意味がわかりませんでした。
今は先生のおっしゃっていた意味が分かります。
方程式を教える親御様も悪気はないと思うんです。
子どもが分からないと言っていたら教えてあげたくなるじゃないですか。
そしたら自分の知っているベストな方法を使いたくなりますよね。
溢れ出る親心はビンビンに察しますが、それでも方程式は教えない方がいいです。
んで、今日は、
・中学受験では方程式を使っちゃいけないのか
・中学受験塾が方程式を教えない理由
・ご家庭で方程式を教えることによるデメリット
をウィスパーボイスで語ってまいります。
カヒミ・カリィのようなボイスですよ。聞き逃さないでくださいね。
中学受験では方程式を使っちゃいけないのか?
中学受験の算数は小学校の学習指導要領の範囲で解ける問題しか出てきません。
方程式は中学校の学習指導要領の範囲です。
ですから方程式を使わなくても解けるようになっております。
中学受験の算数について知りたい人は↓をご一読ください。
えぇ!でも方程式を使った方が楽に解けるじゃないですかぁ!
それに禁止もされてないんでしょう?
そうです、禁止はされていません。
募集要項に「スマホの持ち込みは禁止」と書いていても「方程式は禁止」と書いている学校は見たことありません。
首都圏の私立中学の募集要項は100校以上見ましたが、書いている学校はありませんでした。
ですから、使っても問題はなさそうです。
気になって仕方ない人は志望校の先生にでも聞いてみてくださいな。
方程式は使っても大丈夫。これ、第一の結論。
でも疑問に思いませんか?
どうしてあんなに便利な方法を受験塾では教えないんでしょう?
小学校の学習指導要領にないから?
いえ、学習指導要領になかったとしても合格実績が大事な受験塾には関係ありません。
方程式を教えて算数ができるようになるんだったら教えるに決まってますよね。
では、なぜ教えないのでしょうか?
ずいぶん話の展開がうまくなってきたじゃないか。その調子だ。
えーと、ずいぶん高い目線でご意見くださるあなたは誰ですか?
24時間テレビのTシャツの人ですか?
ちょっとキャラ設定固まってないように見えますからしばらく出てこなくていいですよ。
そうか、わかった。すまなんだ。
中学受験塾で方程式を教えない理由
中学受験塾で表立って方程式を教えない理由は教えるメリットよりもデメリットの方が大きいからです。
あんなに便利な方法なのにデメリットのほうが大きいなんて、狐につままれたような話ですね。
実は中学受験算数を解くための思考の仕方と、方程式を解くための思考の仕方は違います。
もし中学受験算数の問題全てを方程式ですんなり解けるんだったら塾だって方程式を教えるに違いありません。
が、ある程度のレベル以上の問題や、単元によっては方程式ですんなり解けなかったり、そもそも方程式が使えなかったりします。
そもそも中学受験で求められる思考と方程式を解くための思考は全然違うのですからそれも当然です。
算数を解くための思考と方程式を解くための思考と言っても分かりづらいですよね。
そこでつるかめ算の問題を、算数の解法と方程式の解法でそれぞれ解きながら説明していきましょう。
つるかめ算の問題を解く(算数の解法)
まず、条件を整理していきます。
1000円出しておつりが380円なので、代金は620円ですね。
えんぴつ1本と蛍光ペン1本の値段の差は70円です。
ということは、蛍光ペン1本の代わりにえんぴつを1本買ったとすると、代金が70円減ります。
2本だったら140円、3本だったら210円・・・となります。
これを表にするとこんな関係になります。
えんぴつ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
蛍光ペン | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
代金 | 900 | 830 | 760 | 690 | 620 | 550 | 480 | 410 | 340 | 270 | 200 |
代金は620円です。えんぴつ4本、蛍光ペン6本のときに620円ですね。つまり答えは4本です。
さて、表をよく見てみましょう。
えんぴつと蛍光ペンの買う本数を1本ずつ入れ替えていくと70円ずつ代金が変わることが分かります。
70円はえんぴつと蛍光ペン1本あたりの代金の差ですね。
仮に10本全部蛍光ペンを買ったとすると900円になります。
ところが、実際の代金は620円ですから280円の差があります。
これは蛍光ペンの代わりにえんぴつを買ったからです。
蛍光ペンの代わりにえんぴつを1本買うと70円の差がでますから、
280÷70=4
で答えは4本と求められます。
これが算数的解法の思考過程です。
解法さえ覚えちゃえば一瞬ですが、解法に至る過程はめっちゃ論理の組み立てです。
では次に方程式を使ってこの問題を解きます。
つるかめ算の問題を解く(方程式の解法)
さっきと全く同じ問題です。
まず、条件を整理します。
1000円出しておつりが380円なので、代金は620円ですね。
えんぴつと蛍光ペン、ぞれぞれの本数がわからないので、えんぴつの本数をXとおき、蛍光ペンの本数を10ーXとおきます。
代金はどのように表せますでしょうか?
えんぴつ1本20円ですから20Xと表すことができ、蛍光ペンは90円なので90(10ーX)と表せます。
この合計が代金です。
式に直すと、
20X+90(10ーX)=620
となり、
20X+900ー90X=620
のXを計算して下のようにして、
-70X+900=620
移項を使って左辺をX、右辺を実数でまとめ、
-70X=-280
よってXは4と求められます。
算数と方程式でずいぶん違うぅ〜!どんだけ〜!
やっとキャラの固まっている人が出てきましたね。
ではどんだけ違うのか聞いてみましょう。どうですか、IKKOさん。
まぼろし〜!
キャラが固まっているだけで、全く役に立ちませんでした。
では説明していきます。
算数的解法と方程式の違い
算数的解法は論理の組み立てでした。
こうだったらこうなるの連続で答えを導いています。
それに対して方程式では分からない数(未知数)をXとおき、いきなり立式しました。
方程式は未知数に注目して立式し答えを導いています。
明らかな違いがありますよね?
論理で解くのが中学受験算数。
未知数を定めて立式して解くのが方程式。
これが両者の違いです。
答えは同じですが、そこに至るまでの経路が全く違います。
当然、頭の使い方も違います。
で、中学受験の算数で求められる能力は論理です。
未知数を定めて立式する能力ではありません。
よって、中学受験のテキストでは方程式を説明していませんし、あえて教える人も少数です。
え〜!でも方程式で解けるんだったらそれでいいじゃん!
おっしゃるとおり。
ですが、方程式のスキルではすんなり解けない問題が中学入試ではバンバン出ます。
そんなときに頼りになるのは論理です。
それでも方程式を使った方がいいんじゃ、って顔をしている人がチラホラいますね。
途中はさておき、解けたらいいジャン!結果オーライ。
しつこいグラサンですね。
では、ここからは方程式を教えるデメリットについてお話ししていきましょう。
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