【中学受験】公文からSAPIXへの黄金ルート 共通点とか基礎トレとか入塾テストとか
「公文→SAPIX→鉄緑会」
という黄金ルートは現代のシルクロード。あるいは魔王クッパにたどり着くための秘密の土管なのでございます。
まあ現代と申しましても20〜30年前にはすでに存在していたルートであります。とくに目新しさはないのかと思いますが、黄金の塾生活というキラキラしたルート、子供にも辿らせてみたいわ、と思う向きは案外多いのかと。
しかし、黄金の塾生活なんて、ちょっとしたデカダンスですよね。現代日本のフィルムノワールなのかもしれません。
そのさきに待つのは東大理3ってな感じなのでしょうが、黄金ルートを辿って大学病院につとめている人は
「大した給料じゃない」
「講義よりも手術したいんだけど!」
「私たちは社会的感覚に欠けているのではないか・・・」
と文句たらたら。ご自分の半生にすら疑問を抱く方もいらっしゃるというわけで、いいのか悪いのか訳が分からなくなってまいります。
いずれにせよ、まずは公文からとバッチリ土管に潜り込もうとする紳士淑女の皆様。結構な割合で壁にぶつかるのではないでしょうか?
公文のスタイルに馴染めない、と。
「宿題やれや!ゴルァ!」と追い回す日常に疲れ果て、また、毎日怒りまくっていることに自己嫌悪を隠せない。
ま、大丈夫です。それどこのご家庭でも一緒ですから。
しかしながら通っている塾の学習スタイルに合うか合わないかは相当の割合で明暗を分けるポイントでございます。公文は日本が誇る最強塾であると勝手に吹聴する私でも万人に合う学習法だとは思いません。
その辺の事情は↓で書いてます。
公文の話題をモリモリと書いてきましたが、公文からSAPIX(中学受験)のようなルートが成り立つかどうか、それが今回の話題の中心でございます。
結論から言いますと大変相性が良いのではないかと考えております。
私、誰かに命令されているわけでもございませんが、こんなブログを書いている以上、各塾のテキスト、古今東西の参考書と過去問を解かないわけにはいきません。
暇で暇で仕方ない時に、「おっしゃ!基礎トレでもやっかぁ!デイリー解いておくかぁ!」とめかしこんだりするのでございます。
※基礎トレ・・・基礎力トレーニングの略 SAPIXの家庭学習用教材のこと
で、解いていると不思議な感覚に陥ってきます。その感覚は1周目、2周目と回を重ねるごとに強くなってくるんですね。
この感覚を言い表しますと、
考える過程をすっ飛ばして答えが見える感覚。
解法を思い出すよりも先に問題を見た瞬間、手が動いている。問題と解答を結びつけるN700系に乗っているような気分になるんですよ。
そしてこの感覚は公文のアレにとてもよく似ていると感じるんです。
そんなわけで公文→SAPIXのルートについて思うことを書いていきたいと思います。
公文式は最強の学習メソッドである
まずは公文式とはなんぞやというお話から。
我が家はもうちょい頑張ると未来フォーラム、という進捗状況でございます。で、分からない問題を教えてくれ、と聞かれるのは主に私。
ところが、想像以上にのらりくらりしている私は基本的に2つのことしか言っておりません。
「(答えを)暗記したらいい」
「すごいな!」
この2つです。
「暗記ってなんなんだよ!どうやってやるんだよ!」
なんて食い下がられますと、
「答えを見て覚えるだけ。で、同じ問題を次やるときは見ない。それをなんども繰り返すだけ」
とそっけない答えに毎度ひんしゅくの嵐。ただ、そんなフワフワなパンチラインをかましていてもある時点でブレークスルーが起きて、恐ろしい進度で先に進んでいく瞬間があるんですね。
そんな公文生活で気づくのは暗記する以上に合理的な学習方法はないし、暗記するには繰り返すしかない。
ということ。
ブレークスルー後はあれこれ言わなくても勝手にやってます。しかも、なんか自分なりの工夫をしながら解いている様子。楽しそうだなー、とか思いながら私もストロングゼロで酔拳モードとなります。
この時の状態を私なりの言葉で言いますと、努力の旨味を知った状態です。酩酊状態じゃないよ。
できないことに一所懸命取り組む、ちょっとできるようになる、もっとできるようになりたい、努力する、結果につながる、楽しい。
こういう状態になりますと、公文の味気ないプリント学習は最強の学習メソッドに変化します。
努力の旨味くらい他の塾だって味わえるだろうが!と怒られてしまうかもしれませんね。まあ確かにそうかもしれませんが、私が公文をすごいなと思うのはシンプルなことを圧倒的な量やる、これに尽きます。
少人数の英才塾がどうかは知りませんが、幼稚園児でも方程式に到達できる全国区の塾なんてのはあんまり聞いたことがありません。
どういう理屈でこんなことになるのかと言いますと、結局のところシンプルで正しい努力を積み上げてきたからだけです。
圧倒的努力、です。
かわいそう?そんなに勉強させられて?
いいえ。
泣きわめき、それでも歯を食いしばって努力し、少しだけ楽しくなり、そして「好き」まで昇華しないと幼稚園児が方程式を解くなんて難しいでしょう。楽しいからできるようになってるんです。全くかわいそうではありません。
むしろ努力の旨味を知らずに大人になる方がかわいそうです。
SAPIX基礎力トレーニングの特徴と公文
基礎トレをやってる時の状態は上で説明した通り、頭で考える前に体が問題の解答を導くトランス状態です。
そんな状態になったことない?単純にやり込みが足りないだけだと思います。
別にデイリーでも構わないのですが、ここでは基礎トレについて話していきます。
さて、基礎トレをご存知ない方に少々特徴を説明をいたしますと、シンプルな文章題や計算問題がズラッと並んでいるSAPIXの家庭用問題集、基礎力トレーニング。
通称基礎トレです。これを毎日10分くらいずつでもいいからやれ、とSAPIXに通っているお子さんは言われております。
単調な問題集ですし、基本的には簡単な問題しか並んでいませんので途中で飽きがくることもしばしば。
こんな簡単なの速攻でできるぜ、もう少し難しくてもいいんじゃない?と思う向きもあるのでしょうが、それって目的を押さえてなくね?と思うわけです。
すなわちなぜ基礎トレやるのかってこと。
歯ごたえのある問題を、という意見は基礎トレが意図していることとやりたいことが違っちゃってるじゃないすかね。
あれは、問題を解くという行為の反復により、考えるよりも先に体が動くようになるためにやってます。つまり反復訓練。
スポーツだってそうじゃないですか。素振りとか、壁打ちとか。
正しい動作を反復すること・・・、いえ正確に言いましょう、正しい動作となるように意識しながら反復することにより、だんだん正しい動作ができるようになりますよね。
勉強も一緒。正しい解き方を意識しながら反復すると、体が勝手に正しい答えを導く、と。
ここで一つポイントがあります。
この手の反復系シンプル学習は、最初に正しい動作が分かってないといくらやっても間違えが頻出します。
ですから、初めに正しい解答方法や正しい答えを知っておく必要があります。これがポイント。
そのためにはどうするか。
暗記です。
解答過程も、答えも最初にぜーんぶ暗記しちゃえば正しい解答ができます。正しい解答ができないのにやっても効果ないですから最初が肝心だったりします。
さてさて、これ何かと似てると思いませんか?
そうです、公文です。
最初に解答方法や答えを暗記しちゃって繰り返しやってると、なぜか自分のものになります。大げさに言いますと、自然に手が動くようになります。
そしてつまらないことで間違えなくなります。つまり、ケアレスミスがなくなります。
どんなにテンパってても谷亮子は一本背負いと間違えて内股をかけたりはしないものです。
公文とSAPIXに向いている子
公文式学習で一定の成果を残していたお子さんでしたら、SAPIXは大変良いと考えております。
学習メソッドに共通点が見いだせるからです。
さらっと授業で説明されてから、たくさん演習を行い、帰ってからも毎日自分で努力する。自分なりにどうやったらできるのか、どうしたらいいのか、壁にぶつかり量をこなし、見出していく。
つまり、正しい方法で量をこなし、自分の力で先に進んでいく。
そこに共通点があると考えております。
手取り足取り教わらなくても自分でできる子、自分で道を見いだせる子、そんな子には公文はオススメ。そしてSAPIXも。
そのために公文もSAPIXもきちんと教材を用意してくれてますよ。
でもね、万人に向いた方法じゃないのも確か。公文もSAPIXも両方とも。
両者とも結構ストイックな学習メソッドですから、道を極めてえ!絶対勝ちてえ!という子の方がいいですね。
いえいえ、のんびりしたお子さんはダメだと言ってるわけじゃないですよ。懇切丁寧にじっくり教えてくれる方がいい!とか、テキストにもっと説明がいっぱいあったほうがいいのに、というお子さんもいらっしゃると思います。当然です。
そういう子は予習シリーズの方が向いておりますし、公文でもSAPIXでもない選択肢を選んだ方がいい。
合格実績がすごいからと言って誰だってできるようになんてなりませんよ。がっかりしないでください。
公文からSAPIXへの入塾ルート
ルートも何も説明会に行って、入塾テストを受けないとSAPIXには入れません。
いくら公文でメチャクチャ頑張ってたとしてもまずは入塾テストです。
これができないとスタートラインにすら立てません。
で、ちょっと勘違いされてしまうかもしれませんので付言しておきますと、公文で一所懸命やっててもSAPIXの入塾テストを簡単に解ける訳ではないです。
解いたことのない問題が出てきますから当然です。
規則性とか図形とか推理とか公文ではやらないでしょう?
でも出てきますよ。小学4年生の入塾テストでもね。
あの公文の日々は何だったのー!と嘆く必要はありません。
対策をすればいいんです、対策。入塾する時点まででどんな内容をやってるのか、ウェブサイトで紹介されてます。
https://www.sapientica.com/sapix/curriculum/
入塾テストは、入塾してもついていける子や今塾にいる子たちと楽しく勉強できる子に入ってもらうためのテストです。ですから、テストまでにカリキュラムでやっている内容が解ける状態になっておればいいわけですね。
ナニ?小学3年生のカリキュラム見たけど何やってるのかさっぱりわからない?
確かに。
「トマトとこねこ」なんて全く何のことか分かりませんよね。
だったらきらめき算数脳 小学3・4年生 (サピックスブックス)を読んでみてください。絵がいっぱいでキャラクターも可愛いくせに論理的思考力がない子にとっては鬼難易度というドS参考書です。
この参考書を読んでいただくと「ああこんな感じなのね」と納得いただけるかと思いますよ。ぜひ書店で手にとってみてください。
他の大手塾以上に論理的思考力を重視しているのもSAPIXの特徴の一つなんです。
ちなみに上の参考書ですが、大人がやっても結構歯ごたえありますよ。可愛いイラストに騙されちゃいけません。
論理的思考力というのは公文では直接的には学びません。だからと言って、失望しないでください。
論理的思考力なんてものは訓練さえすりゃ誰でも身につきます。
ですから低学年のお子さんには、公文のかたわらご紹介した参考書なんかを解いてみて論理の訓練してみるといいですね。
今、公文が充実していて、いつかは中学受験を、という方にはSAPIXは良い選択肢かと思います。
とロイくんが言ってました。
では最後に学習メソッドマンの「Release Yo’ Delf」を聴きながら、さいならさいならさいなら。
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