【中学受験】中学受験ロスとは 親子の濃密な時間はもう戻らない
中学受験の、あの、激しい戦いを終えた今日この頃、2019年中学受験生をお持ちの親御様はどんなお気持ちでしょうか?
え?受験終わってから日々が充実に満ちていて、ママたちのお茶会やら、趣味のカメラに勤しんでいる?
それはいいですね。
ですが、結構な割合で喪失感におそわれている親御様も多いのではないでしょうか?
心にぽっかり穴があいた気分、やることがなくなって持て余す平日の午後、そもそも私は子供の中学受験のために仕事を辞めたけれど、一体何をすればいいのかしら?
子供が問題に解答する時間が短くなっていけばいくほど家事の時間も短くなってしまう。
その時間、心の隙間、これを埋めてちょうだい!
これ、中学受験ロス、って言うらしいですよ。
ロス、ロス、って最近いろんなロスがありますよね。
嵐ロスとか逃げ恥ロスとかハグぷりロスとかジョージ・ソロスとか。
中学受験ロスはどうやらこの一種らしいんです。
でね、親御様は流行りの病気にかかるように、このロスにかかると。
信じられないくらいの分厚さになったデイリーの山をふと見やる。
まるでスキャットマン・ジョンのCDを鳥よけに使っているベランダを見た時のような気持ちになりますよね。
つまり、侘しさと寂しさと心強さと。
ところで、この中学受験ロス。お子さんも同じような思いに陥っていることに気づいておられます?
このロスとやら、最近だけの出来事ではありません。
ずーっと昔からこの時期の受験生や親御様はロスロスロス押忍だったんです。
中学受験ロスとは心の中心を失った喪失感なんですね。あの時頑張った記憶、努力、喜びや悲しみ。
そういうことの全てが中学受験ロスとなって襲ってまいります。
こいつを克服するためにはどうすればいいのか、そういったことを嵐ロスに陥った私がタラタラと書いていこうと思います。
大野くん・・・!
中学受験ロスとは 子の場合
中学受験が終わると子供はこれまで我慢していたことをここぞとばかりにやろうとしますよね。
かく言う私も我慢し続けたFF4(ファイナルファンタジー4)を、このヤロー!とばかりにやり始めた訳でございます。
そんなとき塾は懇親会と称して、塾に通っていた子たちを集めて、ワァワァ懇親を深めたり、合格体験談なるものを聞き出そうとする訳です。
ついでに、と言いますかこちらが本旨なのでございますが、入学先取り学習、と称して春休みとかに中学の学習を先取りしちゃおうぜ、的な講習会の申し込みプリントが配布されます。
我が家の親も「たっけぇ!たっけぇ!」と言いつつ、数学と英語のフルセットを申し込んで、まずはスタートダッシュが肝心よ!などと急にイキイキし始めたのを覚えております。
「まだ、ルビカンテも倒してないのになぁ」
とか思いつつ、講習会に行くといつもの面々。
20人ちょいの教室で5人くらいが開成に合格した我がクラスでは中学受験ロスに陥った子たちがこんな会話を繰り広げておりました。
「俺、この2ヶ月でバカになってきてる気がする」
「いやいや、あたし、勉強したことを忘れないために毎日復習してるの」
「少しずつでも解いていかないとせっかくやったことが無駄になっちゃう・・・!」
これ聞いて私は「嘘だろ!?」と思いましたよ。
お前らはどれだけストイックなんだ、と。
勘違いしておりましたよ。
みんなが四天王を倒すのに夢中になっているんじゃないか、そもそもゴルベーザなんか超余裕とか、かましてくるのではないかと。
ところがそうではなかった。
みんなあの時の頑張った記憶が忘れられないんです。
頑張って、できるようになって、栄冠を勝ち取ったエクスタシーの余韻にひたったまま1ヶ月、2ヶ月を過ごしてきたんです。
そして、先取り学習と称する講習会が始まる。
あの時と同じ真剣さで、あの時と同じ競争をする。
この時、私は、安心感を感じたんです。信じられないでしょうけど。
みんなと同じことをやって、みんなと同じ土台で競争している。これはゴルベーザを倒すなんてことよりも、ずっと気持ちよくて、ずっと心の平安が保たれる、と。
心の9割くらいを占められていた中学受験がふいに奪われたことで、皆、どこに行っていいのか分からない。
受験勉強が終わったのに、講習会なんてかわいそう、なんて思っていたとしたらとんだ間違いです。
あの頃に戻れた子供達は楽しくて嬉しくて心の隙間を埋めるかのごとく、貪るように勉強するんです。
中学受験ロスとは 親の場合
私の親は、中学受験が終わってから「あんなに頑張ったのにねぇ」とか「受かってからやっぱり安心しちゃったんだよねぇ」とか言いながら、ため息をはぁはぁつきながら私に接してきました。
絶対第一志望に受かる、と言われながら結果は惨敗。
入試に慣れるためと言われながら受けた学校しか合格しなかった私に無言の圧力。
期待していたんですよね。今は分かります。
でも、当時の私はそれが分からなくて「はぁはぁ」うるせえなぁと思っていたものです。
中学受験というのは親と子の受験だと言われております。
子供はもとより、親も「受験」というものが世界の中心なんです。
そして外されるはしご。
あの濃密な時間はどこに?ともに頑張ってきたあの受験はどこに?
あの時は面倒臭いと思いつつ、やっていた弁当作りと送り迎えをもう一度!
のちに母が述懐しております。
「一緒に頑張れたのはあの時が最後だった」
と。
そして提示される、入学先取り学習と称する、中学学習講習会。
マイナスとプラスの四則計算。それから、ちょっとした方程式くらいしかやらないのに、そしてそれが役に立った試しはほとんどないのに、意気揚々と申し込む親。そして喪失感を埋めるための子。
弁当を作る母が少し嬉しそうに見えたのは気のせいだったのでしょうか。
中学受験は親子の最後の濃密な時間である
高校受験は経験しておりません。私が経験したことのある大学受験で言いますと、これは親が介入する余地はほとんどありません。
すると親が介入することができる受験は、中学受験がほぼ最後でございます。
子供がめちゃくちゃ頑張った。それは正しい。
でも親もめちゃくちゃ頑張った。
だから、中学受験ロスになるわけですね。
失ったものが多いのですか?それは親子の受験にかけた濃密な時間なのではないでしょうか。
言ってしまいましょう。
その時間は永遠に戻ってきません。
心の大半を占めて、人生そのものだと心から思って、努力し、激励し、一緒に頑張ったあの時間。
一生、戻ってきませんよ。
それは最後の濃密な時間だったんです。
確かに入学先取り学習と称する講習会は心の隙間を埋めてくれるかもしれません。
よしんば心の隙間を埋めるのではないとしても、お子さんを思う気持ちで通わせたいと思うのかもしれません。
でもね、せっかくだから入学式までのこの時間を違うことに使いません?
まだあなたにとっての中学受験は終わっていないかもしれません。
気持ちが良かった余韻に浸っている限りは。
意味ないゼェ!と言うのは簡単ですが、親御様にとって残酷なことだというのは百も承知です。
だからこそ言いたい。
あなたにとっての受験はまだ終わっていない。そして受験を終わらせることができるのはあなただけだ。子供は入学して、新しい学校に入り、新しい友達と出会い、新しい知見に出会ったら違う世界にすぐに馴染んでしまう。
受験を終わらせるのは親御様の最後の仕事だと思います。
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