公文は受験の弊害!?公文式から中学受験塾への切り替えタイミング
実際に子供を公文に通わせていて、講師をしていた経験や自身も中学受験をした経験に基づいて話をしていきたいと思います。
中学受験をぼんやり考えつつ子供に公文に通わせている親御様は、公文式から中学受験塾に一体いつ切り替えるのが最適なのだろうかと考えておられると思われます。
そこんとこちょっとはっきりしておこうか!
公文は中学受験の弊害になる?
「公文は中学受験の役に立たないばかりか弊害になる」って一部で言われているのをちらほら耳にします。何でも「詰め込み学習だから思考力が養われない」「スピードにこだわるから間違いが多い」「学習習慣だったら塾に入ってからで十分」とかとか。
あー、多分これ公文でやってる教材とか、どんな進め方しているのか知らない人が言い出したことですね。
弊害になるかどうかで言いますと、答えは「NO」。役に立つことはあっても弊害には絶対になりません。ですから、今中学受験を考えつつ公文を続けている方、安心して公文を続けさせてください。
詰め込み学習だから思考力が養われない?
確かに公文には詰め込みの要素があります。ひたすら同じような計算が載っているプリントを何枚も何枚も解いていく様子だけ見たら詰め込みに見えるでしょう。
でもね、これ、同じような計算を同じ方法で反復して方法を体にしみこませているんですよ。体で数とか計算の概念を覚えているんです。だから何度も何度もやるうちにできるようになります。反復によって計算方法を頭の回路にインプットさせているから、頑張らなくても計算ができるようになります。学習の原理原則に沿った正しい方法です。
正しい思考力ってのは、正しい知識や計算力が基礎になっていて初めて身につくものです。基礎的な知識や計算なくして正しく思考することなんて不可能です。
四則計算を満足にできないのに算数の応用問題解けます?言葉を知らないのに読解なんてできます?できませんよ。
5歳、6歳、あるいは小学1、2年生の子供に家庭でスパルタ計算力教育ができるのであればそれでもいいでしょう。でもね、それは不可能というものです。公文という存在は親子関係ゆえにできないスパルタ教育を代行してくれているんです。
思考力そのものが身につかなくて当たり前です。公文は正しい思考力を獲得するために必要な正しい基礎を反復教育によって子供たちに身につけさせているからです。思考力が身につかないから公文は駄目だ、というのは目的を理解していない意見です。
スピードにこだわるから間違いが多い
これは公文を知らない人が言ってますね。
間違いが多かったら公文では先の単元に進めません。公文の評価基準はスピード+正確性です。
一つでも間違えたら、同じ単元を何度も何度もやって正確に計算できるようになるまで先に進ませないのが公文の学習法です。
学習習慣だったら塾に入ってからで十分
例えば公文に入らずに小学4年生から中学受験塾に通って、そこから学習習慣をつけるんですか?最初から机に座るのが苦にならないほうが良いに決まってます。
ちなみに、小学4年生から入ったら既に算数では〜算とかをやってます。家庭で子供がいきなりパッパッと解けるような問題ではないです。
人の脳はスピード感を持って何らかの作業を行なっている時には脳のある領域が活性化し集中力が増します。単純な計算問題を解いている時は脳が活性化しており集中力が高まっています。
逆に考える作業をしている時には脳はあまり働いていないようです。したがって集中力が途切れます。
だから、学習習慣をつけるのであれば単純計算をやらせることで学習に集中させ、結果として習慣化させる方が理にかなっています。
小学4年生で入塾して学習について行こうとしたら単純計算をする暇もモチベーションもありませんよ。
公文から中学受験塾に切り替えるベストタイミング
小学4年生です。
公文に行かせつつ中学受験を考えている親御様の間ではなぜか「H教材で連立方程式をクリアするまで公文をやらせなくちゃ」といったようにある一定の単元まで進んだら公文卒業と考えている方がいるようです。
それはあまり意味がありません。
連立方程式なんて中学受験では使わないからです。中学受験では、解き方を知っていれば解ける問題なんて殆どありません。
中学受験においては解き方のパターンを沢山覚えて、そのパターンで解けるように問題文で与えられている条件を整理し、隠れた条件を発見して、沢山覚えた解き方のパターンに結びつけてあげないと問題は解けないようになってます。
だから、連立方程式だろうが、二次方程式だろうが、解き方を知っていることにはあまり意味ありません。
公文の進度がたとえC(小学3年生)くらいであったとしても、切り替えのタイミングは小学4年生がベストです。
中学受験塾では小学4年生から本格的に中学受験勉強のための方法論に入っていきます。小学1〜3年生は、思考力養成教室に毛が生えた程度のもの。もっと言うと生徒の囲い込みのためにやってます。
だから、本格的に中学受験勉強に入るタイミングの小学4年生が切り替えのタイミングとしては最も望ましいです。
公文と中学受験塾の併用は可能か?
小学1年生〜小学3年生までは可能です。なぜなら大抵の塾は週1回しか授業がないですし、月謝も20000円程度。公文で2科目取っていたとしても14040円(ただし、東京・神奈川は15120円)。合わせて35000円弱。
子供の時間的余裕や親の経済的余裕を考えてみても小学3年生まではまだ何とか併用できます。
ただ、小学4年生になると塾は週2日になり、月謝は約2倍になります。
金には余裕がある?それはすごい。
でも併用はすすめません。子供の負担がすごいからです。公文の宿題プリントを毎日やって、かつ、塾で出される宿題と復習をやって、なんて生活はどこかで破綻します。
中学受験塾に通わせる前に公文をやらせる意味
次の2点において公文をやらせる意味はあります。
学習習慣が身につく
計算力と文章を読む力の基礎的能力が身につく
これは子供にとって財産です。真面目に公文をやっていれば上の2つの能力は確実に身につきます。
何度でも言いますが、思考力は反復学習による基礎の徹底によって培われます。
公文をやると、しつこいくらいの反復により基礎が身につきます。しかも学習習慣がつくオマケ付き。
でも公文を過信はするな
公文に行っていたから他の子よりも進んでいる、だから大丈夫、と思うのは禁物です。あくまでスタート地点が他の子よりも先というだけです。
「なんで公文に行っていたのに成績が悪いのよ!」「なんで公文に行っていたのにSAPIXのBクラスなのよ!」なんて思わないでください。よもやお子様に言わないでくださいよ。
公文で習う内容と中学受験で求められる内容は違います。がっかりさせるようで申し訳ないのですが、公文の学習が中学受験に直結しているわけではありません。公文で学べるのは中学受験的思考力の基礎の基礎です。
ま、それどころか入室テストで受かるのにも四苦八苦します。公文と中学受験では別の競技ですからね。
公文であれ、中学受験塾であれお子様はお母さんやお父さんの期待に応えるために必死です。
結果よりも必死な姿を応援してあげてください。
塾では厳しい競争にさらされますから、家庭でだけでは100%肯定してあげてください。
公文で徹底学習させたい親御様はこの先生に習ってください。
ちなみに、公文とSAPIXは結構相性良くね?とロイくんも言っております。
あわせて読みたい
最新のホカホカ記事
最新のホカホカ記事の一覧はこちらから書いている人の紹介
星一徹のプロフィールはこちらから- 前の記事
【中学受験】SAPIXの学習教材、時間割、学習要領を学年別に紹介 2018.08.30
- 次の記事
【中学受験】志望校の失敗しない選び方・決め方 理屈じゃない、心で決めるんだ 2018.08.31