小一の壁と公文の危険な関係 共働き世帯のジレンマ
小学校一年生と公文は両立しにくい存在でございます。そもそも公文ってのは宿題ができて、週2回教室に通える前提での学習方法です。
小学校に進学しますと、小一の壁というデモンズウォールのような立派な壁が立ちはだかり私たちの公文学習を邪魔してきます。
精神的なものと物理的なもの、両面で公文を続けることが難しくなってまいります。
物理的な面についてはITの活用とか働き方改革によってどうにかなるんじゃね?公文もいけるんじゃね?と思った人は現実を直視していません。
働き方改革とかライフスタイルの多様化と言われているのに、満員電車が空いてきたとかPTAがなくなったとかいう話は小指の爪の先ほども聞きません。どうなってるんだ!?日本!ジーザス!JAPAN!
と、お嘆きのワーキングマザー諸氏、音読の宿題を朝のんびりやってるお子さんを見て怒り狂ってませんか?PTAの会合に折角有給とって出席したのにあまりに中身がなさすぎてパンチしたくなってませんか?地球を。
怒りを抑えましょう。
あなたがパンチするべきは地球でもデモンズウォールでもありません。小一の壁です。行くぞ野郎ども、感謝の正拳突き1万回。
小一の壁とは
共働きのお母さん方が、お子さんが小学校進学する際に必ず聞くのが「小一の壁」という言葉でございます。
これ、一体何なのかというと、これまで18時近く、もしくは18時以降まで保育園で預かってきてもらったお子さんが小学校に進学した途端、放課後の行き先がなくなってしまってあら大変、という現象でございます。
学童保育があるじゃん、という声もあるようですが、悲しいかな学童保育で18時以降預かってくれるところってあんまりないんですよね。しかも最近は「学活」なる言葉も出てくる始末で、学童保育に預けるのにも競争が待っている地域もあるようです。
何かと競争の多い年代ですね。
ちなみに2018年現在の小学校一年生のお子さんがいらっしゃるお母様の平均年齢は約37歳。昭和52年〜58年あたりの生まれ。
就活の頃は氷河期真っ盛り。
結婚適齢期に婚活ブーム到来。
無事旦那様をゲットし子供を産んで間も無く保活に明け暮れ。
そしてお子さんが小学生に上がると学活です。
競争の多い世代ですね。そのうち報われますよ。多分。
あ、ただ、普通に考えますとこういうことが待ってますのでゆめゆめ報われるなどという希望を持つことのないよう・・・。
・お子さんが小学校高学年の頃には塾活(高学歴世帯が増えた結果中学受験する子供が増え倍率増加。そんな中でいい塾に入れるための活動)
・大学に上がる頃には年活(高齢者世帯の割合が急増。年金負担が増えた結果家計を圧迫し別の稼ぎを求める活動)
・年活と同時に老活(自分の親が介護が必要になり、要介護認定3以上をゲットして特別養護老人ホームに入居させるための活動)
なお、2018年現在で小学校一年生のお子さんがいるとなりますと、そのお子さんは2011〜2012年、つまり平成23〜24年生まれでございます。平成23年の第一子出産平均年齢は30.1歳。したがいまして、今、小学校一年生のお子さんをお持ちのお母さんは37歳くらいと言っている次第でございます。
平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況:結果の概要(厚生労働省)
共働き世帯 ワーキングマザーの平均的生活
平均的な1日の生活
AM6:00 起床 決まり文句は「早く起きなさい!」
AM7:00 子供にご飯を食べさせ学校の支度をチェック 決まり文句は「鉛筆削ったの!?」
AM7:30 子供を家から送り出し、自身は猛烈な勢いで出社準備 この時の勢いは「猛スピードで母は」
AM8:55 9時始業に合わせてギリギリ5分前に出社 遅れた時の言い訳は「子供の具合が悪くて・・・」(ちげーよ、前日学校の支度してなかったから慌ててやってたら遅れたんだよ!テへ)
PM0:30 夫に帰りに買ってきてほしい物をLINEで連絡 心の中で「てめえ言わねえと何もしないのかよ!」
PM4:30 時短勤務のため退社時間 独身女性を見て心の中で毒づく「ぼやぼや仕事しやがって!残業は義務じゃねえ、特権だと思えよ!」
PM5:45 家に到着し間髪入れず学童に迎えに行く ふと心の中で思う「今日のスイミング休ませちゃおうかしら?」
PM6:15 スイミング教室に到着 今日はやりたくないと言っている子供を見ながら言う「やりたくないなら辞めていいんだよ!?」
PM7:00 買い物を済ませスイミング教室の迎えに到着 暖かい眼差しで子供の泳ぎを見守るお母様方を見ながら「暇人の専業主婦ども今に見てやがれ!」
PM8:00 慌ただしく家に帰り、子供にご飯を食べさせる 一安心して心の中で呟く「旦那の帰宅時間が遅くなりますように」
PM9:00 子供を風呂に入れ、寝させようとしたまさにその時玄関のドアを開ける音が! 「マジか!帰ってきやがった!」
PM9:30 子供を寝させて、リビングにフラフラ移動 夫がテレビを見ながら一言「ご飯はー?」 ブチ切れ!
PM10:00 夕ご飯をレンジでチンして寝ようとする が、なんとなく気になる「昨日の大門未知子」
PM11:00 就寝 暗闇の中、スマホを片手にLINEのママ友グループを見ながら息も絶え絶え眠りにつこうとする。すると、宿題の音読をやっていないことに気づく「ま、いっか明日早く起きれば・・・」
平均的な1年の生活
4月〜7月 春・初夏
・小学校に進学した途端、給食が1〜2週間ないためお弁当作りに忙しい
・PTA総会に出て昨年の収支報告やら、今年度の役員の挨拶やらを有給とって聞く。で、なんとか役員を回避して一安心。
・分からないことだらけで、かつ子供は連絡帳を書き漏らしているため近所のお母さんや保育園のママ友にLINEで聞いて回る
8月 夏
・子供を毎日学童に預けるようになり、弁当作りにまたもや忙しくなる
・地域によっては学童がAM9時からしかやっていないので新たに時短の申請
・夏休みの宿題をとっとと終わらせるため、読書感想文を検索してゲット。自由研究は実家の父母に任せ、朝顔は旅行で不在の間に枯れている
9月〜12月 晩夏・初冬
・学校が終わって一安心と思いきや運動会があり、運悪く運動会委員になったお母さんはPTAの暇人ども専業主婦のお母さん方のまったりした会話にブチ切れ気味
・運動会が終わったのもつかの間、遠足やらPTA委員会やら社会科見学やらで弁当作りと有給取得に心身をすり減らす
1月〜3月 冬
・教室でインフルエンザが大流行。案の定もらってきた子供の面倒を見るため3日間有給をとり、2日間は実家の母を頼る
・授業参観のため有給取得。そろそろ上司が嫌味を言い出す
・次の学年の準備物を調べ、近所の洋品店兼学校用品店に行くと山ほど人がいる。「チッ、何も知らない新一年生の母子どもが湧いてやがる」とすでに心はベテラン小学生ママ
・クラス替えで仲の良い子とまた一緒のクラスになれるか、良い担任の先生に恵まれるか心配で心の中でぼやく「いつになったらゆっくりできるの?」
はーい、なんとも健康で文化的な生活ですね!
なに?昔のお母さんは耐えていたから現代のワーキングマザーも耐えろって?今ってねえ、昔よりも生活するのに金がかかるんですよ。しかも固定費の増加!金を使わせようとする連中が30年前の10倍くらいいるこんな世の中じゃポイズン。統計的に証明してもいいですよ。
また、昔もそうだったから耐えろというのは、人類の進化の歴史に反する意見ですね。「5000年前は縄文式土器で湯を沸かしてたんだぞ!」という意見を鵜呑みにしてたら、ティファール(T-fal)なんて存在してませんよ。
ワーキングマザーの憂鬱
ITの発達とともに人類の生活は大きく変わりました。とくにインターネットの普及による生活の質の向上はめざましく、20世紀末から21世紀初頭にかけて人々の生活に深く入り込み、驚くほど生活のあり方を変え、人々にクオリティオブライフ(QOL)の著しい向上をもたらしました。
引用元:2118年 小学校教科書「生活」より
おーい、どこいってんだQOL。サボってんじゃねーぞ。
というわけで2018年に生きる私たちはITの発達だのインターネットの普及とやらと、昭和の価値観との狭間で格闘するしかないんですね。
ワーキングマザーの憂鬱その1 時短勤務の闇
子供を小学校に行かせつつ正社員として共働きをしようとすると時短勤務という選択肢は外せません。
ところが、一般的な日本の会社の上司は時短勤務にあまり積極的ではありません。
「仕事よりも子供のことを見てあげるべきじゃないかな」みたいな昭和のありがたい意見を投げかけてくれます。
その中途半端なハゲを完全なハゲにしてやろうか、コラ!
言い過ぎました。時短勤務は多くの会社で認められている制度ではございますが、あいにく昭和の価値観を持った上司には理解して頂けません。ですから、何故か一所懸命仕事と子育てを両立しようとするお母様方が心苦しい思いをするわけであります。
この苦しさに耐えられるかな!?
ワーキングマザーの憂鬱その2 在宅勤務が認められない
日本の会社ってのはとかくオフィスにいることが評価されます。
オフィスにずっといるボンクラと、生産性の高い在宅勤務のお母さんですと、十中八九ボンクラが評価されます。
そもそもの話ではございますが在宅勤務が認められないことが多いです。
何故なら「前例がないし、制度もないから」
それを作るのがあなたの仕事でしょ、と上司に思うのですが、そこは大和撫子。グッとこらえてしまいます。
レディーガガになったらいいんじゃね?と傍目からは思うのですが、人事権を握っている上司の言うことには逆らえません。
会社で偉そうにしている方々は、偉そうにできるのはあなたが偉いのではなく、人事権を握っているから偉そうにできるだけだと心得たほうがいいですよ。
ワーキングマザーの憂鬱その3 世の中暇なやつも結構いる
そんなこんなで仕事と家庭を両立しつつ日々を過ごしていると、急にやってくるPTAイベント。
「何か重要なことが話し合われるのかしら?そもそも行かないと子供の不利益になるかもしれない・・・」
と思いつつPTA総会に顔を出すとクソ退屈な収支報告と予定調和の役員決議。
「うお、有給無駄にした」と思いつつ、決議に拍手。拍手の音量で決議するってなんちゅうストロングスタイル、もといアナログ形式。
その後もなんちゃら委員、なんとか活動だのと事あるごとにPTAイベントが押し寄せてきます。
そして悟ります。
暇人が存在理由を確かめるために私たちは会社の評価を犠牲にしているのね
イエス!高須クリニック!
公文式の限界
公文式の学習というのは一日5枚〜20枚程度のプリントを宿題としてやってきて、週2回の公文に通うことを前提としたプリント学習です。あ、恭子先生の教室は除きますよ。
週2回通うのはいいとしても宿題が追いつきません。時間的に追いつかないんでしょ、って?ノンノンノン。精神的に追いつかないんですよ。
小一の壁の正体と本質
私、散々共働きのお母さんが忙しいって言ってきましたよね。だから公文の宿題をやらせられないとでも?
違いますね。
子供がやりたがらなくなるんです。
何故かと言いますと、保育園のような閉ざされた世界(保育士さんは若い女性、みんな優しくて一所懸命)から、もうちょいオープンな世界に移行して視野が広くなる分、公文に注いでいた力が園児時代は50%くらいだったのが、小学校進学とともに20%くらいになっちゃうんです。
忙しいだけならお母さん方は許容できますよ。お母さんの馬力をなめないでください。
物理的な要因よりもお母さん方がこたえるのは精神的な要因です。
つまり、「学童がしんどい」「小学校で友達ができない」
そして、「公文が面白くない。やる気が出ない」
そう子供が言い出した時に深いお困りの世界に陥ってしまう。
「小一の壁」の本質は子供が多様な価値観に触れて親がコントロールできない現象が増えることです。
そんなのいつの時代だって一緒だから頑張れって?そりゃ、お母さんが専業主婦であることを前提にした時代の意見ですよ。
正社員で共働きという世帯が増えているのに、価値観や制度だけ昭和のままだから困ってるんです。
やりたがらなくなり起きる現象
さて、やる気がなくなるとどうなるか。
まず、宿題をやりたがらなくなります。その代わりにイカをペンキで塗ったり、赤い帽子被ったオッサンを操ってレースをしたがります。
そのほかにもいっぱい誘惑はありますよ。デュエル・マスターズとか。ベイブレードとか。
結果として何が起きるか
進度が目に見えて遅くなります。
もうね、びっくりするくらい。
しかも保育園の頃よりも明らかに能力が退化します。計算速度に年齢はあまり関係ありません。計算のような単純作業は集中力とモチベーションに比例します。
小学生になって世界が広がると公文に対する集中力とモチベーションが後退することがしばしば。結果として計算のスピードと正確性が落ち、進度が遅くなり、興味を失っていきます。
さあ、どうする?
私ね、それでもいいんじゃないかと思います。悩んでるお母さん方には申し訳ないのですけども、「やる気がなくなったのにやらせる方法」なんて非人間的な方法を私は知りません。
だから、公文は少しお休みさせてあげませんか?
興味がないのにやるのは辛いことです。大人だって興味がないことをやるのは辛いのに、小学生が辛くないはずはありません。
学習ってのは技術と同時にモチベーションが大きく影響してくる営みです。公文に対するモチベーションが低下しているんだったら、勇気を持って公文を一時停止させましょうよ。
イカだって、赤い帽子のおっさんだって、デュエル・マスターズだって、ベイブレードだって、何らかの生きる学びは与えてくれるはずです。
最後にひどいことを言いますよ。
あなたが子供に身につけさせようとしていたのは単なる学力ですか?それとも生きる力ですか?
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