【中学受験】算数の解法パターン・公式暗記の効能 おすすめ問題集の紹介も併せて

【中学受験】算数の解法パターン・公式暗記の効能 おすすめ問題集の紹介も併せて

小学6年生ともなると塾で学習する内容のハードルが上がるものであります。

 

とか言われるとびっくりするでしょう?

「WAO!家庭教師をつけるのがいいのかしら?それともSPICA?エルカミノ?ってかもういっぱいで入れないし!じゃあプリバート?ギルバート?アンの青春!?」

ちなみに「赤毛のアン」の主人公のアンは石板でギルバートの頭をかち割ったのち、ギルバートと結婚して6人くらい子供をもうけることになります。やべ、ネタバレしちゃった!

 

小学6年生で難易度が上がる理由は誰しも知るところで、5年生までの勉強では私立中学入試の問題が解けないからであります。ま、正確に言いますと解けるんですけどちょっと不足しているんですね。

 

何が不足している?

 

応用力であります。

 

昔々の中学受験のこと。

頭脳のつくりが飛び抜けており、スタートレックみたいな頭の形をしていた一部の子供は基礎理解だけで応用が解けました。ほんの一部ですよ。そんな子は。そしてこういう子たちがヘラヘラと難関中学に受かっていた時代がございます。

私立中学入試で出てくる応用問題ってのは基礎の集合体、基礎的解法の組み合わせ問題なので、きちんと基礎を理解しておればあとは応用力なるものさえ備わっていれば解けてしまいます。でも、これができるのはごく一部の子供。

ですから、現在、中学受験塾は普通の子供でも私立中学入試の応用問題が解けるように、たくさんの問題を解かせ、たくさんの解法をマスターさせるという焦土作戦を行なっております。

 

応用力の正体は「頭の良さ」とざっくり言えてしまうのですが、もうちょっとわかりやすく言いますと受験における「頭の良さ」とは思考の幅広さと組み立てのうまさです。おおっと、さらに訳わからなくなりましたね。

 

思考の幅広さとは一つの問題に対して色々な見方ができ、いくつもの解法を検討し解けることを指します。

そして、組み立てのうまさとは「こうだったらこうなる」と理詰めで解を導けることを指します。

 

で、応用問題を解くには少なくとも基礎にプラスしてこの2つの能力が必要になります。

まずは応用問題っちゅうのはなんなんですか。食べられるんですか。というところから話していこうと思います。

 

ちなみに応用問題は食べられます。大さじ一杯の醤油とみりんと料理酒で1時間煮込んでからガラムマサラとシナモンで香りづけをして油であげると美味しくいただけます。

私立中学入試で出てくる応用問題ってなに?

実は以前に↓このようなキテレツな絵を描いて応用問題について書いております。

【中学受験】応用問題の解き方・解くコツ 応用問題の正体とその対策法

↑の記事の中で応用問題を解くには①基礎的理解②組み立て③着眼点の3つが必要だと書いております。

小学4年生、5年生まで模試や月のテスト、あるいは週のテストで良い点数が取れていたのに小学6年生になってからはサッパリだ、というお子さんは出題される応用問題を解くための①②③のうちいずれかが足りておりません。

4年生、5年生で良い点数が取れていた理由は①②がある程度できていたからでありまして、③着眼点の不足が原因で小学6年生になってからサッパリになってしまうことが多いかと思われます。

 

あるいは、過去問に取り組んでみたときに「全然わかんねぇ!」となるのも③着眼点が原因になることが多いのかと思われます。

 

着眼点というのは見たことも聞いたこともないような問題に対する最初のアプローチであります。

難関校の入試問題、とくに算数では、そもそもどういった解法を使えば良いのか分からないような応用問題が頻出いたします。

 

図形の問題のように見えるけれども、正攻法では解けない。

速さの問題のように見えるけれども、習ったはずの速さに関する諸々の解き方では解けない。

場合の数の問題のように見えるけれども、実は規則性から考え始めないと解けない。

 

とかね。

で、このような問題は最初の一手にどう気づくのかで勝敗が決まってしまいます。

 

え、それ、まず比を発見するの?ああ、なるほど、比を発見するためにまずは文章を図形に直してみるのね。

的な。

 

ではこれを克服するにはどうしたらいいのかと言いますと、一つの問題を色々な角度から検討して解く、ということであります。

色々な角度から検討して解くのが良い理由

最初の一手に気づくためには必要なのは発想力?

うーん、それもありますね。

でも、発想力なんて概念が曖昧すぎてどうやって鍛えたらいいのか全然わかりませんよ。じぇんじぇんわかりましぇーん。

 

ってわけで普通のお子さんは発想力に頼るのではなく、解くための手法を覚え、それらの手法を使って一つの問題を解く練習をする方が現実的だと思うわけです。

そして小学6年生ともなりますと、基本的理解をもとに色んな手法を学びます。だから、難しくなっているように感じるわけですね。

 

小学6年生になるとテキストは↓こんな感じになります。デイリーサピックスの「速さ」の小学5年生と6年生の問題です。

デイリーサピックスの小学5年生、6年生の比較

引用 デイリーサピックス小学5年生(速さに関する問題)、小学6年生(速さ(1))より

上が小学5年生で下が小学6年生です。

デイリーサピックスを引用したことに深い意味はありません。手頃な大きさだったからです。

 

小学5年生の問題は、整理していくと次の隠れた条件を発見できます。

条件1:Bは1000m進むとAより200m先に進んでいる

条件2:Bは1000m進むとAより50秒早くゴールに到着する

(1)は条件1よりA:B=800m:1000m=4:5

(2)は条件1と2よりAが200mの距離を50秒で進むと分かります。つまりA=秒速4m。速さの比は4:5なので、Bは秒速5m。よって、100m進むのにAは25秒。Bは20秒と出てきます。

 

小学6年生の問題もいってみましょうか。

この時の隠れた条件はこう。

条件1:A君がB君を追い越すとき:AーB=1800÷90=20m/分

条件2:A君がB君と出会うとき:A+B=1800÷10=180m/分

つまり、B君の速さは(180ー20)÷2=80m/分。A君の速さは180ー80=100m/分となります。

 

問題の解き方なんてどうでもいいですよね。

 

私が言いたいのは小学5年生の問題は条件整理して速さの基本理解ができているだけで解けますが、小学6年生の問題は「和と差に注目する」というちょっとした技術を使うという点です。

そして小学6年生では「出会い」「追いかけ」「やりとり」「関係」「和と差」「平均」「つるかめ」「過不足」「3人の旅人」と速さの問題を複数のパターンに分類して練習させているんです。

 

これって、何のためにやってると思います?

 

ご名答。パチパチパチ。パターン学習です。

 

速さと一口に言いましても典型的な解き方のパターンがあるよ、ってわけ。そしてこうしたパターンを知っておくと都合がいい。なぜなら、どのパターンに該当する問題なのかを検討できるからです。該当したらそのパターンにのっとって解きゃいいわけです。

逆にパターンを知らなきゃ自分で発明するしかありません。知っている方が速く解けます。試験ってのは不幸なことに時間制限があります。知っている方が速く解けます。つまるところ定石=パターンを覚えるのは効率的かつ正確に問題を解く早道でして、試験で良い点数を取るために必要なことです。

 

また、こういった定石=パターンを知った上で、一つの問題に対して色々な発想で解く練習をすると、難しい応用問題に対しての最初の着眼点を発見する訓練にもなります。

 

だから、定石=パターンは知っといた方がいいですし、それを使って色々な角度から問題を検討する訓練もしといた方がいい。

 

速さといえば「モ・ス・ラ」と習っただけの人は「和と差の速さの問題」を解くときに一所懸命アレしなくちゃいけません。試験時間中でしたら時間ロスしますので、知っている人に比べると知らない人は随分損をしているように思います。

 

ああ、また間違えました。

「ハ・ジ・キ」です。

物騒じゃない方の「ハ・ジ・キ」です。訂正します。もうバカバカアルパカちょっとオカピ。

なお、メスのオカピにツノはありません。

別の解き方を発想する訓練

もうお分かりかと思いますが、「発想力を鍛えろぉぉぉ!」と一喝するよりも、私立中学入試の応用問題を解くには「パターンを覚えろぉぉぉ!」と一発やっちゃう方が格段にいいんです。

一つのパターンを覚えるにはたくさん演習をやるといいです。いい具合に手と頭に馴染んできます。解き方のパターンが。

 

そしてパターンを覚えたら色々な角度から一つの問題を検討してみる、と。

 

違う解き方はないのかな?

視点を変えるとこんな風に解けるかも?

ってね。

 

個人的なことを言わせてください。とくに私が好きな解法は「条件整理と比」です。どのパターンなのかワケワカメな時は「条件整理と比」がわりかし救ってくれることが多いからです。

しかも、一つの問題においてパターン当てはめ以外の解法を発想するときには「条件整理と比」が大抵使えたりします。

 

さて、一つの問題っていうのはなぁ、色々な解法で解けるんだぜ!?っていうのを実感したければ熊野さんという方が中学受験を成功させる 熊野孝哉の「速さと比」入試で差がつく45題+5題で書いています。マニアックな参考書なのか、本屋では大抵置いてません。

一つの問題を3つ、4つくらいの解き方で解いてくれております。速さと比に絞って。

面白い参考書ですので、様々な角度から解くというのはどういうことなのか知りたい親御様は参考にされると良いかと思います。

 

さてさて、現在の大手塾は、昔なら発想力に任せていたことを演習としてカリキュラムに取り込んじゃってるんだなぁとしみじみ思います。だって、テキストよく出来てますもん。

それでも塾に対して色々と不安に思うところがある方はいらっしゃいますよね。

でもね、私は塾を信じた方がいいと思いますよ。少なくとも大手4塾のテキストではやるべきことがちゃんと網羅されてますから。

ま、分かりやすいか分かりにくいかの違いはあるんですけどね。

 

分かりやすいテキストはどれ!?その塾がいいんじゃね?

と探究心に火がつくかもしれませんが、分かりやすい分かりにくいは人によりますので一般化できません。

私には分かりやすくても他の人が分かりやすいかどうかは別問題ですから。

 

どうしようもなく暇なときにでも各塾のテキストの特徴や考え方の違いとか書こうと思いますが、最近は分刻みのスケジュールでして・・・。

おっと、ジャニーさんが呼んでますのでそろそろ行かなくてはなりません。

おい、ちょ、待てよ!ジャニーさん!

 

上でやったような条件整理について気になる方は↓こちらをご覧くださいませ。

【中学受験】算数が苦手な子のための奥義 問題文の条件整理 苦手を克服しよう

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