【中学受験】算数 家庭学習の基本 勉強方法と科目の特性

【中学受験】算数 家庭学習の基本 勉強方法と科目の特性

中学受験勉強で親御さんが一番訳が分からず教えにくい科目が算数かと思われます。

なんたって経験してなけりゃ解けませんし、なんだこりゃ?ってな問題ばっかり。

 

4年生、5年生がこんな問題解くのかよ!なんでXとYを使わないんで解くんだYO!

 

XとY、別に使ってもいいですけど、お子さんのためにはなりません。

いや、受験で方程式使っちゃいけないって意味じゃございません。

中学受験で問われているのは図形や数を通した思考力・論理的組み立ての力だからです。

方程式は超便利ですが、中学受験の算数で問われている力を付けるにはあんまり向いてません。

 

だいたい、最近の入試問題のトレンドは方程式だの、特殊算だので楽に解ける問題ではなくなってきております。

図形(とくに回転体)、割合、比、速さとかがトレンディです。

中学受験の世界では鶴や亀は放逐され、美味しい鍋物の具材になってしまいました。

 

鍋に放り込まれた鶴と亀の代わりに、うっかりたかしくんを追いかけるママと円周上を時速4kmで移動する点Pが交わった地点を交点Qとし、たかしくんの位置と交点Qの角度および円周を時計のように12等分した時の「2」の地点から時速10kmで45度の角度で進む点Rとの角度を求めるような奇々怪界な問題がお立ち台で扇子を振り交わしております。

 

これらの問題がトレンドなのは、単なる解法の暗記では解けず論理的な思考力が求められるからです。

大学受験改革の影響も少なからずあるでしょうね。

論理的な思考力、これ、トレンド、トレンディ、吉田栄作、なのでございます。

 

論理的に思考するには条件整理が必要です。で、私はとにかく条件整理が大事だと言い続けております。

【中学受験】算数の奥義は条件整理の方法を学ぶことだとラオウが言ってました

さて、今日は条件整理の話をしたいわけじゃありません。

4年生、5年生がこれから6年生になるまでの1年、2年何に気をつけて算数を勉強していくのか、そんなお話をしながら鶴と亀の鍋物を美味しく頂きたいと考えております。

算数ってどんな科目なの?その特性って何?

条件整理の大事さと合わせて、私は基礎が大事ですよ、と言い続けて参りました。

理由があります。

算数は体系的に学習する科目で、ある単元の基礎がさらに進んだ単元の基礎と紐づいているからです。

 

何言ってるのかさっぱり分かりませんね。

 

簡単に説明します。

 

割合の問題ってあるじゃないですか。

40人のクラスで10人の子がニンテンドースイッチを持っています。何%の子どもがあつ森をやっていますか?

みたいなの。

 

文科省なんかクソ喰らえみたいなこの40人学級、ニンテンドースイッチを持っている人は25%であります。

あぁ、すみません私の出題ミスです。

あつ森をやっている子どもの割合は出ませんね。よし、勘で20%だ!

 

割合って4年生の後半から5年生にかけて学習する内容なんですが、なーんか見覚えありません?

そうです。

4年生の最初の方にやる小数、分数の概念とほぼおんなじじゃねぇと思いませんか?

 

40人学級でスイッチ持ってる人が10人。

ということは10/40。約分して1/4。小数に直すと0.25。%に直すには100をかければいいから25。

答え 25%

 

小数、分数は割合の表し方の一種です。

実は割合を本格的に学習する前に、割合の概念の基礎を学んでいるんですよ。

 

小数、分数の単元で計算さえできりゃいいやとか思ってるとあとでつまづきます。

なぜなら、小数・分数は数の捉え方が大事なのでして、そうした数に関する捉え方・感覚を身につけているとあとで学ぶ割合のところで、

「あぁ、なるほどね」

となります。

 

これは算数における体系の一例です。

塾のテキストはこうした体系にのっとって編纂されております。

したがいまして、今学習している内容をおろそかにしているとあとで苦労いたします。

それが算数の構造であり、算数ができない子どもは今をおろそかにしまくって、結局できなくなっていく、と。

 

下記は啓林館の学習系統図です。

新学習指導要領系統表(PDFが開きます)

 

つまり算数はあとで挽回するのが困難な科目です。

だって、系統立ってますからね。

理科や社会は後からでもなんとかなりますが、算数はどうにもならなくなります。

 

6年生で苦労しているとしたら4年生や5年生のツケが回ってきているってことです。

 

じゃあどうすんのって話ですが、とにかく基礎です。

4年生のうちから基礎を固める。

ところで基礎学習ダァとか鼻息荒くして解いてても概念を理解してないとヤバいんですよね。

【中学受験】算数の基礎固めってどうやる?基本問題を解きまくることではない

さ、算数はそういう科目だと分かっていただけましたら次にいきます。

数の概念、図形、特殊算

算数は大きく分けて「数の問題」と「図形の問題」に分かれます。

おっと、鶴と亀が鍋の中から何か言いたそうですよ。

 

そう、特殊算ってなんなのっちゅう話です。

 

特殊算は、数に関する問題を定型化・公式化したものです。

怠け者の私やあなたは論理的思考力とか聞くとげっそりいたします。

なんか面倒臭そうですものね。

 

そこで、あんまり考えなくても当てはめると解けちゃう公式が発明されまして、それを特殊算というんです。

数の問題と特殊算の関係

ウンコみたいなベン図を書いてみました。

特殊算ってのは数の問題の一種で、公式化されたものです。

中学受験界の発明品が特殊算なんですね。

 

ただ、特殊算がそのまま出てくるような入試問題は今やほとんどありません。いえ、役に立たないわけじゃないですよ。特殊算の考え方を使うと効率的に解ける問題はあります。

ですから特殊算を学ぶ時には数に対する考え方を学ぶように意識するといいわけです。

 

あと、図形ね。これも体系立っております。

単純な平面図形の角度を求めたり、立体図形の体積を求めるよりも最近はろくろを回して平面図形を立体図形にするような問題が多くなっております。

 

OK分かった!陶芸の人間国宝に弟子入りしてろくろを回そう!

ところがぎっちょん、人間国宝先生はろくろの回し方は教えてくれそうですが、平面図形とか立体図形の角度や面積の求め方は教えてくれません。

ろくろだけじゃダメでして、基礎概念を理解しておかないと素敵な回転体の問題が解けないんです。

 

ですから、4年生や5年生で学ぶ平面図形、立体図形が何につながっているのか意識して学習するのが大事なわけですね。

 

これが算数の学習です。

体系立った科目であり、その本質は論理的思考、前提となる条件整理。

特殊算も図形の問題もその訓練なんです。

 

こうした能力を4年生、5年生の2年間で身につけて6年生突入したかったです!と青ざめた6年生が言っております。

中学受験算数の勉強方法

4年生、5年生の算数の勉強は2つの大事なことがあります。

すなわち、計算、そして例題・類題の徹底。

計算の学習方法

いくら論理的思考が必要と言っても、計算が遅くては話になりません。

速く正確に計算するには日々の積み上げが必要です。

 

そこで、計算練習は毎日、時間を測って、タイムトライアル方式で行う。

これが基本でございます。

まずは10分。10分を切れたら9分。9分以内で解けたら8分、と必ず時間を測って日々取り組む。

計算練習の極意です。

 

大した極意じゃねぇな。でもやっといて損はありません。

計算する前に問題文を整理する

論理的思考の訓練として問題文の整理が必要です。

例題や類題を解く時には式を書くとか、線分図とか、面積図とか、絵を描くとかやりますよね。

こういった思考の整理をしておくと必ずいいことが起きます。

念のため付言しておきますが、思考の整理をしても宝くじには当たりませんよ。

 

単に例題や類題を解いているだけではスキル向上にはつながりません。

じゃなくて、例題や類題で解いているやり方を真似るんです。

実はクソ簡単な例題の解き方は、きちんと思考の整理をしながら解くやり方になってるんですね。

 

したがいまして、面倒臭くてもクソ簡単でも油断せずに例題を読み、その通りに類題を解く。

 

すると思考の整理の仕方が分かってくるんです。正確に言うと、慣れです。

思考の整理とか難しいこと言ってますけど、やることは問題文を式や線分図や面積図、絵に落とし込むだけです。

 

式を書かずに暗算でやってる?

 

鍋に放り込むぞ。

 

算数を暗算でやってはいけません

算数の家庭学習で注意しておきたい5つの基本ポイント

さて、実用的な内容に入ってまいります。

算数という科目の性質や特徴は分かりましたね。

何が大事かもバッチコイですね。

 

じゃあポイントを挙げていきます。

その1 暗算をしない

公文式で苦悶してきたキッズは暗算が大得意。

だから中学受験でも暗算で解けるとか、なんのプライドかこだわりか知りませんけど暗算を多用しがちです。

 

これ、やめさせてください。

必ず、式を立てて計算する癖をつけるんです。

式を立てるってのは思考の整理の一つの方法です。

中学受験は一にも二にも思考の整理。組み立て。

 

それでも暗算してたらケツをバットでホームラン。

招聘してください。

誰を?決まってるでしょ、オオタニサーン!

その2 筆算は桁を揃える

筆算で桁を揃えず書くのは間違いのもとです。

いいですか、筆算だって思考の整理の一つの方法です。

桁を揃えて書いてなかったら、戸塚ヨットスクール送りにでもしてやればいいんです。

その3 図形はテキストをコピーする

さぁ登場しました。コピー機。

私、↓でA3のプリンターを使えや、コルァ!と言いました。

【中学受験】入塾後の準備・買い揃えておきたいもの・乗り切るコツやルール

図形の問題は書き込んで思考を整理するのが基本です。

でもテキストに書き込むと復習ができません。

したがってA3でコピーです。でもA3を縮小してA4にしちゃダメですよ。

考えるスペースは大きければ大きいほどいい。

加山雄三だって、海はでかいほどいいって言ってますよ。

その4 計算過程は消さない

なぜか答えだけ出りゃいいんだろ、と考えるキッズがいます。

そして答えが出たら計算過程を消し始めます。

 

おいおいおい、そんなにやましい計算過程なのかよ。

消したら思考過程の振り返りができないじゃねぇかYO!

 

いいえ、これ、算数は計算科目だと思ってて答えが出りゃいいと思ってるから、大事な計算過程を消すんですね。

別に計算過程で卑猥な言葉を書いているわけでもなし。

むしろ計算過程で卑猥な言葉を連呼してみたい。

 

9×チン○=ヤマタノオロチとかね。別の才能はありそうですが、少なくとも開成向きじゃないです。

その5 単位を書く

答えで単位を書かなけりゃ当然×がつく。

そして計算過程でも単位を意識してなけりゃ妙な答えが出る。

 

単位を意識する大事さは4年生、5年生のうちに徹底しておきたいものです。

cm、m、km、mL、dL、L・・・とにかく単位を意識しましょう。

そのためには単位を普段から書くことです。

立体図形を理解するために

最後に図形を直感的に理解するためにいい方法があります。

展開図をウェブからダウンロードして紙で組み立てる?

いやぁ、昭和じゃないですから。今は令和ですよ。

 

ジオジブラというアプリを使うと空間図形や平面図形を簡単に描くことができます。

グラフも書けますから微分で3次関数の勉強をするときも直感的に理解しやすいです。

私はこいつを使って図形を身近なものにしておりました。

 

数Ⅰ・Aくらいの知識があれば使いこなせますのでお試しあれ。

パソコン活用に積極的な中学・高校の先生は結構使ってる太鼓判のアプリですよ。一部小学校でも使ってる教員いますけど。

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