【中学受験】算数の基礎固めってどうやる?基本問題を解きまくることではない
「基礎ってなんじゃらほい?基礎固めしろ、とか塾の先生に言われるけど、そもそも基礎固めって何すりゃいいのよぉぉぉ?」
と、ムンクの「叫び」のようになっていませんか?
なっていないのでしたらそりゃ素晴らしい。そういう人はトロピカル気分で塾に行かせて吉田美和っといてください。
中学受験パーリーピーポー!
さて、中学受験は基礎力と応用力が大事って誰でも言ってますよね。
昔も先生がたが言ってましたよ。
「入試問題を解くには基礎が大事だZO!手抜くなYO!」
とかね。
「なるほどぉ!基礎かぁ!やっぱ先生すっげいいこと言う!マジすっげ!」
と、意気込んで基本問題を解きまくった土曜日の午後。これが明日につながるんだ!Yeah!とか思いながらね。
でも、実際は全然違いましたね。歯ごたえのない基本問題を解いても解いても、肝心の入試問題につながっている気が全くいたしませんでした。
ちなみに解きたかったのは開成中学の問題で、練習として解いていたのは塾のテキストの基本問題でございました。
しかし、肝心の開成中学の問題は一向に解けません。
当時は不思議で不思議で。なぜだ、ってな具合。
なんで塾の先生が言っていることをやっているのにできるようにならないのだ、と絶望的な気分になりましたよ。
過去問の解き方見てたって、どうしたらそんな解き方を発想できるのか分からなくて毎日絶望。
で、そこから歳月は流れ、一通りの入試問題が解けるようになって気づきました。
やっぱ基礎って大切!
寝返ったわけじゃないですよ。本当にそう思うんです。
基礎、今日はこいつをとっちめてやろうと考えてます。
そもそも基礎は何につながってるの?
基礎を勉強するのは入試問題を解くためです。
入試問題には応用問題がいっぱい出てきます。もちろん学校にもよりますが。
合格するためには入試レベルの応用問題を解けるようにならなければいけません。そして応用は基礎から成り立っている。だから基礎を勉強するというわけです。
と、まあこんなロジックではございますが、どのように基礎が応用につながっているのか皆様考えたことはありますでしょうか?
闇雲に基礎をやったって応用にはつながりません。
↑では応用問題の姿を絵にして基礎と応用の関係を書いてます。絵が少々ヨレていますが気にしないでください。
一言で言ってしまうと、応用問題は基本問題の組み合わせでできあがっています。
その基本問題を解くのに必要なのが基礎。
だから基礎を勉強しましょう、ってわけです。
基礎はどうやって勉強するんだよ!?
最初に書きましたように基本問題を解きまくっても応用問題は解けるようになりません。
基礎が大事だって言ってるのに、基本問題を解きまくっても応用問題が解けない?
訳分かりませんよね。何故なのか?
答えを言ってしまいましょう。
どういう時に基礎的解法を使うかが分かっていないからです。
で、どういう時に基礎を使うか分かるためには、なぜそう解くのかが分からないといけません。
この辺の事情は↓で「つるかめ算」を例に解説してます。
つまるところ、基本問題を超いっぱい解いたところで、どんなロジックでそう解くのか分かっていないと、せっかく習った解法を使う場面に困っちゃうわけです。
例えば、ハサミっていう便利な道具を与えられたとしても、どんな場面で使うのか、どんな対象に使う道具なのか分からなかったら役に立たないじゃないですか。
それと同じです。
道具の使い方が分からなければ使えない。逆に道具の使い方が分かれば適切な場面で使える。
中学受験における基礎学習とは道具そのものではなく、道具を使う場面や使い方を分かるためのものです。
使い方を分かるためには、なぜその道具を使うのかが分からないといけません。
つまり、基礎が大事と塾の先生方が仰るのは、各分野における基本問題の解き方を使う場面や使う方法を知れ、ということなんです。
それを勉強するのが基礎固め。
では、基礎を分解して正体を暴いていきましょう
さて、とっても大事な基礎を分解して正体を暴いていきます。
中学受験の算数の基礎を分解しますと、
①計算能力
②解法
③解法のロジック
の3つに分かれます。
で、塾の先生が基礎は大事だぞーと言うときは、③の解法のロジックを知れよ、と大抵は言ってます。
なぜなら解法のロジックを知らないとどんな場面で、どんな対象に使うのかが分からないからです。
基礎が大事と言う塾の先生(③を勉強してほしい)と、基本問題をやるぞー、と意気込む親子(②を勉強すればいいのかな)の間に生まれるギャップはこんなところにあるんですね。
抽象的な話が続いてしまいましたので、具体的な問題で①計算能力②解法③解法のロジックとは何なのかを説明していきましょう。
周期算の問題
基礎とは何なのかを周期算の問題を使って説明していきます。
「また、文章題を解きやがって」と思われるかもしれませんが、それには理由があります。
私の使っているペイントソフトが直線を描けずフニャフニャの線になってしまうからです。
ITスキルが極めて低い私には文章題が限界なんですね。
いいソフトがあれば図形や比で説明しますが、今はご勘弁を。
さて、周期算の問題いきますよ。
ちなみに周期算とは「ある一定の法則を持って並べられた数字の周期に着目し、その周期を利用して解く」方法です。
ある年の6月23日は火曜日です。これについて、次の問いに答えなさい。
(1)この年の8月5日は何曜日ですか。
引用 予習シリーズ算数 4年上
1週間は7日ありますよね。ですから、7日の周期なわけです。
たとえば6月23日に7日を足すと30日となり、30日は火曜日となります。
つまり、6月23日との差が割り切れる数字なら、23日と同じ火曜日になるってわけ。
これが周期の理解です。
さて、解いていきましょう。
6月23日から8月5日までは、23日を除きますと7+31+5=43日となりますね。
43日を7日の周期で割りますと、43÷7=6・・・1
あまりが1となりますので、8月5日は火曜日の次の日ということになります。
答えは水曜日です。
実は上の問題を解く中で①計算能力②解法③解法ロジックの3つをちゃーんと使ってます。前提として6月は30日まで、7月は31日までという知識もなければいけませんが。
①計算能力・・・7+31+5=43と、43÷7=6・・・1という2つの場面で計算能力を使ってます。これが正確にできないとお話になりません。
②解法・・・「43÷7=6・・・1」という式をたてましたよね。これが解法に該当します。つまり、求めたい地点を周期で割ることにより解が求められるというわけです。
③解法のロジック・・・さあ、こいつが問題です。私は前段で周期算とは「ある一定の法則を持って並べられた数字の周期に着目し、その周期を利用して解く」方法だと言いましたよね。これが解法のロジックです。
解法のロジックの理解とは、解法が意味していることそのものの理解です。
この問題で言いますと、曜日は7日周期であり、当日を含まない7日後は必ず当日と同じ曜日であり、したがって求めたい日までの差を周期で割ると解ける、という過程を理解することです。
でね、この解法のロジックを理解するのがめちゃくちゃ大事なんです。
解法だけ理解している状態ですと基本問題は解けますが、ちょっと難しくなるとたちまち解けなくなります。
なぜなら、解法が何をやっているのか理解していないから応用がきかないんです。
中学受験の目的は志望校の入試問題を解いて合格することですよね。志望校の入試問題では応用問題を中心に出題されます。したがいまして、応用問題を解くための解法のロジックを理解することが重要なんです。
例え話を使って説明する
基本問題を解くのは、例えて言うと「動かない的に石を当てる」ようなものです。
対して入試で出題される応用問題は、「ウサギを投石で仕留める」ようなものです。
動かない的に石を当てるには正確に石を投げればいいだけです。
ウサギを仕留めるには音を立てずに忍び寄ることや、動き方を予想して正確に石を投げる能力が必要です。
基本問題を解きまくってもウサギが仕留められないのは的が動くからです。
動く的に石を当てるにはどのくらいの力で投げるのか、どの方向に投げるのかという理解が必要ですよね。
これが塾の先生たちが言う基礎です。つまり、石を投げて標的にモノを当てる、という行為をちゃんと理解しろと言ってるわけです。
ではもう一問
3を10回かけ合わせた数と、7を6回かけ合わせた数の積を求めると、一の位の数はどんな数になりますか。
引用 中学入試塾技100算数 より
一定の法則がありますと周期性が発生します。
上の問題では、3のn乗と7のn乗に注目します。
3のn乗の一の位の数には周期性があります。
3×3は9
3×3×3は7
3×3×3×3は1
3×3×3×3×3は3
てなわけで3のn乗の一の位の数の周期性は、
9、7、1、3、9、7、1・・・と、「9、7、1、3」となります。
つまり、「9、7、1、3」の周期です。
7のn乗の一の位はというと、
7×7は9
7×7×7は3
7×7×7×7は1
7×7×7×7×7は7
ということで、9、3、1、7、9、3・・・と、「9、3、1、7」で周期性があります。
「9、3、1、7」こちらも4つの数字で周期になってます。
3を10回かけ合わせた数字の一の位は10÷4=2・・・2ですから、7となります。
7を6回かけ合わせた数字の一の位は6÷4=2・・・2ですから、3となります。
したがってこの両者の積の一の位は1となります。
周期算の基礎とは
「周期で割ればいいんだよねー」という理解では基礎固めのうち、半分くらいしか固めておりません。
本当に大事なのは「ある一定の法則を持って並べられた」という部分を頭にちゃんと入れておくことです。
これは何を意味しているのかというと、一定の法則があるという条件のもとで算出された答えには、周期性が発生するということなんです。
これを知っていると、「じゃあ、一定の法則があれば周期性が発生するんじゃない!?」と気付けるわけです。
例えば、n乗の一の位の数。
例えば、ある数値で割った余りの数。
例えば、20年後の今日と同じ日付の曜日。
これらは周期性をもとに答えを算出できます。
基礎固めとは
基礎固めとは基本問題を解くことではありません。
基本問題を解くための解法が、どんなロジックで解けるのかを知ることが基礎の理解です。
しつこいようですが、塾の先生が「基礎は大事だぞー」と言う時には基本問題を闇雲に解くことではなく、「なんで解けるのか理解しろよー」と言っております。
つまり、なぜを繰り返しなさい、というわけ。
これが30年前の失敗。僕たちの失敗。つまり森田童子。高校教師だYO。
ちなみに基本の理解と併せてテクニックを覚えるのも基礎固めの要素の一つです。
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