【中学受験】熱心な父親が邪魔したり殺人を犯したりする?父の役割ってなんだ?

【中学受験】熱心な父親が邪魔したり殺人を犯したりする?父の役割ってなんだ?

どうやら熱心な父親は中学受験勉強を邪魔したり、果ては殺人まで犯すようでして、ゴミ以上クソ未満の存在のように某漫画でも某ソムリエ氏の著作でも書かれております。

すっげえ嫌われようだな、おい、父親。

参照 文春オンライン:https://bunshun.jp/articles/-/12934

 

エクセル管理をすりゃエクセル管理パパとか揶揄されますし、「頑張るんだぞ!」と語気を強めて言うものなら自分の体験を我が子に強要する悪魔のように言われるわけでして、もはや何かの勢力が父親を排除したがっているように思えてしまうのは私の邪推でございましょうか。

 

某漫画の中で旧帝大出身の父親がやたらといばりくさってオラオラしているのを拝見いたしましても私としては、

「いやぁ、経験上、お母様方の方がよほどキャアキャアしてるけどなぁ」

と思うところであります。

 

私ね、いわゆる教育虐待的な行為に性差ってないと思うんですよ。

 

夜の12時過ぎに子供が泣くまで算数やらせてるお母様だっておりますし、椅子蹴っ飛ばしてなんでできないのか詰問するお父様だっていらっしゃいます。

 

一括りに父親は中学受験に関わるな的な空気を感じますけれども、子育てってそういうものですかね?お母さんとお父さんが協力して子供を育てていくものじゃないですか。

 

中学受験だけ子育ての例外?

 

んなわけねぇだろ、バカ。

 

あ、すみません、言葉が過ぎましたね。おバカさん♡

 

えーと、結論から言いますと父親が問題なんじゃなくて、根本は訳分かってない人が関わることにあると思うんですよね。

つまり、中学受験を経験したことのない人が関わりすぎるからやばくなるんじゃないかと。

 

少なくとも私の周囲にいる御三家出身のお父様方、結構、てゆうかだいぶ冷静でちゃんと関わっておられますよ。

 

ま、それはいいとして関わりすぎるとやばい理由は、中学受験の難しさにあると思っております。

なぜ難しいのか、まずはそこから話を進めていきます。

中学受験の難しさを知るべし

私、高校受験は経験しておりません。

なにせ中高一貫の学校に行っておりましたから。

 

なので中学受験と大学受験との比較でしか考えられないのでありますが、どっちが苦労したかったって圧倒的に中学受験です。

世間では東大、京大出てるとすげえ、みたいな感覚があるかと思いますが、私は桜蔭、女子学院、開成、麻布、豊島岡、洗足、吉祥、栄光、浅野、海城、聖光の出身の方がよっぽどすげえって思います。

こいつ頭いいんだなーってね。

 

なんでそう思うかって、頭悪くても東大、京大は行けますけど、上にあげたような中学は頭悪いと入れないからです。

シンプルな理由でございます。

 

はぁ、頭悪くても東大入れるとか何言ってんのこいつ?とか思われるかもしれませんね。

 

もう一回言いますが、頭悪くても東大入れます。

もちろん理Ⅲは別世界ですよ。

 

理由は3つあります。

その1 中学受験は生まれつきの頭のつくりがものをいう

東大に絞って話を進めますよ。

ちなみに東大ってどうやって点数をつけているか知ってますか?

 

共通テスト(センター試験)+2次試験を550点満点としております。

 

共通テストは900点満点ですが、こいつを110点満点に圧縮します。

そこに440点満点の2次試験をプラスして、550点満点です。

 

で、何点取ればいいと思いますか?

だいたい、340点くらいです。 ※理Ⅲは除く

つまり6割くらい。

6割でいいんです。

 

なお、難しい2次試験は6割とる必要はありません。

共通テスト(センター試験)なんて9割以上は取れて当たり前のテストですから2次試験は55%くらい取ればいける計算です。

計算式)(合格最低点340点ー共通テスト100点)÷440点=54.5% ← 2次試験の得点率

 

でも本質はそこじゃありません。

東大受験では6割を目標値にした時に、どの科目が得点源でどの科目で落とすのか、そしてどの科目をどのくらい勉強すれば何点取れるのか計算しやすいんですよ。

理由の一つは大学受験でヒラメキ☆とか必要ないからです。

6割を目標にしてロジカルに勉強内容と量を積み上げていけばいいだけです。

高校3年生はそれが十分にできるくらい頭が成熟してます。

 

苦労した方には失礼ですが、私は大学受験って単なる作業だと思ってます。

 

それに引きかえ、中学受験は未熟な小学生には分不相応な思考の力が求められます。

基礎の習得に加えて、問題を整理する力、整理したものをロジカルに組み立てていく力。

大人からすると当たり前の営みかもしれませんね。

 

ですが、子どもです。

 

中学受験をする小学生はションベン小僧であり、トイレの花子さんなんです。

いくら論理的に話をして言い聞かせても、聞く耳持たなかったり、そもそも論理を頭で理解できなかったりします。

 

高校3年生の成熟度だったら訳分かることを、小学6年生は分かる子もいれば分からない子もいる。

2月1日時点でそこまで頭が成熟しているか、していないかはもはや運次第。

 

難関校に受かる子は頭の成熟が早いとか、生まれつき頭のつくりが違うとか、そういう子たちだったりします。

そうでないと当然、合格点から逆算して学習計画を立てるなんていう荒技をかますことはできません。

 

一言で言って大学受験に比べて再現性が低いんですよ、中学受験って。

資質がものをいう世界、だからこそ私は感心してしまうのであります。

その2 短期間で急激な変化を求められる

小学4年生(小学3年生の2月)から塾に入ったとしましょう。

6年生まで約3年です。

で、それまで何してたかっていうと、超簡単なカラーテスト解いてたり、鼻垂れてボール蹴ってたり、すみっこぐらしのミシンで遊んでたり、まぁそんな感じでしょう。

大して頭使ってなかったわけです。

 

それが塾に入った途端、急になんとか算やら、読解力やら、超絶47都道府県暗記やら、寒風吹きすさぶ学習シベリアの地に落とされてしまうんですよ。

 

で、成熟したのかしてないのか分からない頭のまま3年後にテストが待ち受けている、と。

 

これ、やばくないですか?

 

大学受験を考えてみましょうよ。

中学、高校と割とガチの定期考査がありますし、内容も徐々に高度になっていって大学受験勉強に突入します。

徐々に、ってのがミソです。

 

中学入って急にy=logaxの話とかされましたか?

まずは文字式の作り方を覚えて、方程式、比例を学んで、それから関数の概念を理解して、一次関数、二次関数を経て、対数関数を勉強しますよね。

いきなり対数関数を教える中学教師なんてこの世のどこにもおりません。

 

ところがどっこい、中学受験ではすみっこぐらしの猫ちゃん可愛いとかいうホンワカした世界から、平行四辺形の面積を求めるみたいな世界に突入するんですよ。

すみっこぐらしに平行四辺形のキャラクターはいませんし、面積も体積も求めません、普通は。

 

こういう急激な変化があり、それも一週間ごとに違う学習内容がドカーンと出現して、受け止めていく生活が始まるわけです。

その3 中学受験と大学受験では情報量が違う

中学受験で塾行かずに合格する人はほとんどいません。

ただ、大学受験では塾(予備校)行かずに合格する人は結構います。

 

不思議ですよね、同じ受験なのに。

 

頭の成熟の度合いもありますが、もう一つには情報量が圧倒的に違います

嘘だと思うなら本屋に行ってみるといいです。

大学受験コーナーにはこれでもかと3列くらいの棚いっぱいに参考書が並んでいるのに、中学受験コーナーには1列の棚の半分くらいしか参考書がございません。

 

しかも、内容も大学受験の方が充実しております。

何より体系立っております。

 

一方、中学受験はいまいち体系立った参考書が見当たりませんし、数自体が少ないので選択の余地があまりありません。

独学で中学受験をやり切るのが難しいのは小学生の受験という性質と、参考書があまりないという情報の両面あると思っております。

予習シリーズを買えばいいじゃないか、とお考えかもしれませんが小学生が一人でこなすイメージが浮かびません。

 

小学生が一人でも理解できる参考書作ったら売れると思うんだけどなぁ。

小学生なら言うことを聞かせられるに違いないという傲慢

以上のように中学受験は小学生にとってそもそも難しいものなのであります。

そこへ持ってきて、親御さんも「小学生は親の言うことを聞かなきゃいけない」なんてしばしば勘違いしております。

さらに「小学生は親の言うことを聞くべきだ」「小学生は親の言うことを聞く」と、破滅の三段論法に陥ってしまいます。

 

いえ、ききませんよ、親の言うことなんか。

だって、一人の(幼いながら)自立した個人ですもの。

 

ところで、我が子が全然伸びない、勉強しない、だらけてあつ森やりまくっている姿を見てやり切れなさを感じるのは言うことを聞かない子どもが原因でしょうか?

それとも親のエゴでしょうか?

 

私は「このようにあらねばならない」という思い込みのせいだと思いますね。

宿題はやらなければならない、親の言うことは聞かなければならない、この学校に行かねばならない。

そういった、思い込みの正論で怒りがわき、苦しんで、やりきれなくなり、子どもを責め、果ては殺人まで犯す。

 

そしてそれが父親の仕業だった時に、

「父親は中学受験に関わるべきじゃない」

なんて暴論が出てくるんだと思いますよ。

 

いいじゃないですか、家族みんなで中学受験を楽しめば。

 

「俺、勉強は教えられるけど時々イライラしちゃうから、フォローはママお願い」

とか

「きつく当たりすぎちゃうから、パパも時々送り迎えやってね」

とか、普通のコミュニケーションができていたら虐待も殺人も起きないと思うんですがね。

 

子どもは奴隷でもロボットでもありませんし、奴隷でもロボットでもあるべきではありません。

その当たり前の前提を理解して一人の個人として、人格としてリスペクトして足りない部分を補うように親が協力したら何の問題もないと思うんですけど。

中学受験における父親の役割

したがいまして、父親の父親たる沽券に関わるような特別な役割なんかないと考えるわけですが、一つだけ言うなら、

 

小学生の子どもにとって、父親って怖い存在だ、ってところだけですかね。

 

母親が怒るのと父親が怒るのとではわけが違います。

当然、中学受験の指導に関しても。

 

普段接している時間が多い母親に比べて父親は時間が短いせいか、何考えているのかよく分かりません。

また、子どもにとって大人の男性って怖いんスよ。

 

父親本人的には文脈があって怒って(叱って)いるのに、子どもはたいてい理解できません。

 

合理的に怒って(叱って)いたとしても、なんだか分からないのに怒る(叱る)人という不名誉認定必至なのでございます。

 

こういった父親なる存在の性質を理解して夫婦間で役割を決めておくと、だいぶ変わりますよ。

会社でだってそうじゃないですか。

「課長の俺は厳しい役割でいくから、主任のお前は現場をフォローして意図をうまく伝えてくれよ。連携してうまくチーム目標を達成しようぜ」

なーんて会話しますよね。

 

家庭でだって同じと思うんです。

 

厳しいだけじゃダメだし、優しいだけでもダメ。

ちょうどいい関係を築けた時に楽しい中学受験と楽しい家庭の実現がなされる、とそう思うんです。

 

昔、父親の顔面をファミコンのアダプターで殴った元中学受験生より。

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