【中学受験】小学4年生の予習 予習シリーズ算数と塾技で基本を攻略 つるかめ算編
「予習大好き!ムラムラしちゃう!」
なんて言う子供は見たことがありません。どっちかって言うと、
「予習クソめんどくせえ。どうせ授業でやんのになんで予習するんだよ。こっちは復習と宿題で時間がねぇよ!」
と、言葉が悪くなりがちです。
おーい!予習ってすげえんだぜ!と言ってくれる頼りになる兄貴や姐さんでもいればいいんでしょうが、そんな都合の良い兄貴や姐さんはなかなかおりません。
ってなわけで何となく分が悪い四谷大塚でございます。そこで予習派の私がでしゃばりたいと思います。頼りになる兄貴や姐さんと言うには少々とうが立っておりますけどもね。
予習推しの理由は↓で書いてます。
上の記事でも書いていますが、予習を面倒くせえ!と言うお子さんは予習の目的をきちんと分かっていないのではないかと思います。
予習は実は効率的なんですが、なぜ予習をするのか分かっていないとクソ面倒臭い作業になってしまいます。
一言で言うと、予習とは分からないことを発見するためにあります。
で、予習で発見した分からないことを解決するために塾に行く、と。
すると、授業を受けるのに目的ができるので集中力も上がりますし、授業で解決するので家に課題を持ち帰ってきて唸ったり暴れたりしながら復習をする必要がありません。
で、今回は私が大好きな予習の方法を予習シリーズと塾技を使いながらやっていこうってわけです。
なぜ塾技?
それを説明していこうと思います。
Let’s 予習。
予習シリーズ4年算数「つるかめ算」
まあ、つるかめ算でも方陣算でもなんでもいいんです。
算数の予習の仕方のコツみたいなものが少しでも伝わればなぁ、と思いまして、縁起のいい鶴と亀が出てくる「つるかめ算」を一例にやっていこうかと。
予習シリーズ小学4年生の算数「つるかめ算」は3つの単元に分かれております。
1.つるかめ算
2.弁償算
3.「差」のつるかめ算
これら3つはなんだか別の解き方のように紹介されています。
でも、実は3つとも本質は一緒です。
つまり根本的な考え方は一緒。
「2量の増減による合計数値の増減に注目し、仮定から実数値を求める」
これが根本的な考え方です。
前回こんな表を使って説明いたしました。
鶴 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
亀 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
足の数合計 | 40 | 38 | 36 | 34 | 32 | 30 | 28 | 26 | 24 | 22 | 20 |
見ていただくと分かる通り、鶴と亀の数を1匹ずつ入れ替えていくたびに足の数合計が2ずつ増えたり、減ったりしてますよね。
鶴と亀の数を1匹入れ替えるたびに足の数の合計が2本ずつ増減する。
この関係に注目して、全部鶴やら亀やらだと仮定した時に何匹入れ替えれば本当の足の数になるのかを求めている。
それがつるかめ算です。
↓前回書いたやつ。
どうやって根本的な考え方にたどり着くのか
根本的な考え方にたどり着くには、めっちゃ解説と例題の解き方を読んで、どうして解けたのか考えるってな具合なのですが、この説明じゃ実践できませんよね。
予習シリーズは一つの単元につき、解説と例題の前半部分、基本問題と練習問題の後半部分に分かれております。
大事な点は解説と例題にありますのでここをめっちゃ読む。
とくに例題の解き方を重点的に読む。
読んだらその方法でなぜ解けるのかを考える。
ではやってみましょう。予習シリーズでは以下のような例題と解答が出題されます。
例題:
鶴と亀が合わせて10匹いました。足の数は24本でした。鶴と亀は何匹ずついますか。鶴は足が2本、亀は足が4本とします。
解き方の解説:
まずは鶴の数を求めていきましょう。
鶴の数を求めるので、鶴を0匹として亀を10匹とします。
このとき足の合計数は4×10=40(本)となります。
鶴の数と亀の数を1匹ずつとりかえていくと、
4ー2=2(本)
となり、2本ずつ足の数の合計が減っていくので、足の数の合計は
(40ー24)÷2=8(匹)
と鶴の数が求められます。
鶴と亀は合わせて10匹なので、10ー8=2(匹)
答え:
鶴は8匹、亀は2匹
解き方の中で赤字をつけたところが大事なポイントです。
どうして鶴の数を求めるのに全部亀だと仮定するのか、合計の足の数が2本ずつ減っていくのがどうして解答に結びつくのか、2本ずつ減っていく現象をどうして割り算で÷2としているのか。
これを自分の頭で考えて納得する。納得したことを人が分かるように説明できる。これが基本の理解です。
式だけじゃちょっと抽象的ですよね。ところがぎっちょん、予習シリーズの4年生、5年生のテキストは具体的なイラストや図、表を用いて分かりやすく説明してくれています。冒頭の解説でね。
ちなみにつるかめ算では↓こんな表が説明に使われてます。
鶴 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
亀 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
足の数合計 | 40 | 38 | 36 | 34 | 32 | 30 | 28 | 26 | 24 | 22 | 20 |
鶴と亀の増減の関係が足の数の合計にどう影響与えているか、視覚的に分かるでしょ?
どうして求めたいのとは別の方を全部と仮定するのか、1匹入れ替えたときの全体の合計数の増減が解答に結びつく理由、なぜ2で割ったのか。
これを自力で考えて説明できるようになる。
こういうめっちゃ地道なことを毎週予習でやって、それでも分からないことを解決しに塾に行くようになったらすげえ実力つきます。
飛ばし読みなんかしちゃダメですよ。テキストを大事にしてください。
手順をまとめますよ。いいですか。
①解説を読む
②例題の解き方を読む
③例題の解き方の中で「どうしてポイント」を見つける
④「どうしてポイント」の理由を考える
⑤考えるときは解説を参考にする
⑥自分なりに納得する
⑦人が分かるように説明できるようになる
ここまでやって基本問題を解く。自分の理論を反芻しながら解く。練習問題も解く。基本演習問題集もやる。
問題が解けたからOK!じゃないですよ。それは表面的な方法を覚えただけ。
ちょっとひねった問題が出てきたらたちまち解けなくなります。
基本を大事にしていたら、次のフェーズである「応用問題」にもスムーズにたどり着くことができます。
試しに弁償算にこの考え方を当てはめる
試しにつるかめ算の基本的理解を弁償算に当てはめてみましょう。本質は同じだって理解できますから。
つるかめ算とは別物のように解説されている弁償算の例題を改変して説明していきます。つるかめ算と考え方は同じだってことをね。
太郎君はおはじきを20個持っています。ゲームを1回行って、勝つと5個増えますが、負けると1個減ります。これについて、次の問いに答えなさい。
問題:このゲームを10回行い、おはじきの個数が52個になりました。何回勝ちましたか。
予習シリーズ4年 算数上 改
これ、つるかめ算と全く一緒だと思いません?
思わない?
そんな頑固なこと言わないでくださいよ。上と同じように表にしてみたら同じだって分かりますから。
勝ち | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
負け | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
おはじきの数 | 10 | 16 | 22 | 28 | 34 | 40 | 46 | 52 | 58 | 64 | 70 |
おはじきの数に法則があるのに気づきますよね。
そう、勝ちと負けを1つ入れ替えるとおはじきの数は6つ増減するんです。
ってことは、全部勝った、もしくは負けたと仮定して何回勝ち負けを入れ替えたら52になるかを算出すればいいんです。
ここでは全部勝ったと仮定して勝ちと負けを何回入れ替えたら良いのかを算出します。
(5×10+20ー52)÷6=3
3回入れ替えたらいいってわけです。
つまり、答えは10ー3=7
答え:7回
試しに「差」のつるかめ算にも考え方を当てはめる
次に「差」のつるかめ算とやらにもつるかめ算の考え方を当てはめてみましょう。
1個50円のみかんと1個70円のりんごを合わせて40個買ったところ、みかんの代金がりんごの代金より200円高くなりました。このとき、みかんとりんごをそれぞれ何個買いましたか。
引用 予習シリーズ4年 算数上
これも考え方は一緒。
では例のごとく表にします。40個は多すぎるので合計で3個としてみかん、りんごの合計金額の差の増減の関係を見ていきます。だって表組が面倒臭いんだもん。
みかん | 0円 | 50円 | 100円 | 150円 |
りんご | 210円 | 140円 | 70円 | 0円 |
合計金額の差 | 210円 | 90円 | 30円 | 150円 |
合計金額の差がみかんとりんごを1個ずつ入れ替えることで120円ずつ増減しているのが見てとれますかね?
90円と30円のところは60円じゃねーか!って?
いいところに目をつけましたね。
これ、今まで下回っていた(上回っていた)みかんの合計金額がりんごを上回る(下回る)瞬間なんですね。
ってことで、単純に見ると60円の差のように見えるんですが、実は120円増減しているんです。
さて、この問題を解きますよ。
全部りんごを買ったと仮定します。
(40×70+200)÷120=25個・・・みかんの個数
40−25=15・・・りんごの個数
答え:みかん25個、りんご15個
基本を理解する大切さに気づいてよ、パパ、ママ
さー、退屈でしたか?
大事なことってのは退屈なものです。
ここでお伝えしたかったのは基本の考え方を知れば解法をいっぱい覚えなくてもいいってことです。
実は予習シリーズではつるかめ算、弁償算、「差」のつるかめ算それぞれで違うものかのように説明してます。
でも本当は一緒。基本となる考え方が分かっていれば解き方は一緒。
では、なぜ予習シリーズでは解法が複数紹介されているのでしょう?
それは解法を当てはめれば、基本の考え方を知らなくてもささっと解けるから。
解法を覚えることは大事ですよ。いちいち基本に立ち返らなくてもパターン認識で解けちゃいますから。パターン認識して当てはめる方がスピードは速い。効率がいい。
ただ、私は言いたいんです。
解法の根本となる基本の考え方を知らないと足をすくわれるぞ、と。
予習シリーズは基本理解、塾技はポイント把握
予習シリーズの解説は本当に丁寧で素晴らしいです。
基本理解のためには本当に良いテキストだと思います。
ただ、お子さんが解き方だけ覚えてすごいスピードで問題を解いて、予習を終えているんだとしたら要注意ですね。
本当のところ基本を理解していないかもしれません。
予習シリーズの真髄は解説にあると私は考えています。丁寧な解説をしっかり読み込むとブレない基本が身につくからです。
問題を解くのが主目的じゃなくて、解説をしっかり読み込んで考え方の本質にたどり着く。これが予習シリーズの正しい使い方ではないかと。
ただ、予習シリーズだけですと、何がポイントで、どこを重点的に考えなきゃいけないのかが分かりにくい。
明示されてないですからね。
そこで塾技の出番です。
森さんというとてもセンスの良い方が書いた参考書なのですが、この参考書は大事なポイントがシンプルに分かりやすく書いてあるのが良いです。
塾技でも「つるかめ算」を解説しておりますのでそのまま引用いたします。
塾技7 問題で聞かれていない方を全てと仮定し図表で考える。
ほら、シンプル。大事なことがバシッと書いてあるんです。
予習シリーズは丁寧な解説が書いてある反面、何がポイントなのかが少々分かりにくい。その分かりにくいポイントにズバッと切り込んでくれるのが塾技です。
上の解説で言いますと、「仮定」と「図表で考える」という2点をしっかり書いてくれております。
「図表で考える」のは2量の増減が合計の増減にどのように影響するのかが分かりやすくなるからです。
予習シリーズと塾技の違い
予習シリーズが基本の丁寧な解説だとしたら、塾技は考え方のポイントを明示しています。
塾技で明示されたポイントが重要な点で、予習シリーズはポイントを丁寧に解説している。
つまり、塾技でポイントを把握し、予習シリーズでポイントの理解に努める。
塾技は↓の予習シリーズ攻略手順のうち③、④の手助けとなってくれます。
①解説を読む
②例題の解き方を読む
③例題の解き方の中で「どうしてポイント」を見つける
④「どうしてポイント」の理由を考える
⑤考えるときは解説を参考にする
⑥自分なりに納得する
⑦人が分かるように説明できるようになる
桜井おじさんは「つるかめ算」をどう説明しているか
ちなみに桜井おじさんの書いた下克上算数では「つるかめ算」をどう説明しているんでしょうか?
基礎編では連立方程式を使って「つるかめ算」を説明しています。
確かに連立方程式は素晴らしいです。つるかめ算を解くには最もスマートだと思います。
ただ、小学4、5年生に方程式を教えるのってめっちゃ苦労するんですよね。
なんか、数量をxとかyとかに置き換えるっていう概念の理解にすごい壁があって、子供がチンプンカンプンになっちゃうんですよ。方程式で説明するよりみかんとかりんごとか鶴、亀で説明する方が楽でした。
ってわけで小学4年生がつるかめ算を勉強するのに下克上算数を使うのは、あんまりかなぁと思います。
私は基本を理解するのは塾のテキストで十分だと思いますので、あえて下克上算数の基本編を買うのはどうかなぁと思ってます。
ちなみに予習シリーズの解き方とは少々違う解き方を使っていますので、かえって混乱してしまうかもしれません。
予習シリーズ、塾技、下克上算数の使い分け
どの参考書がいいのか、なんて話をするつもりはございません。
塾に向き不向きがあるのと同じく、テキストや参考書にも向く使い方、向かない使い方があります。
当然、予習シリーズ、塾技、下克上算数でも向く使い方と向かない使い方があります。
最後にこの辺をまとめてお話ししたいと思います。
予習シリーズ
丁寧な解説を読んで、「基本」を理解するのに向いているテキストです。
基本問題、練習問題と問題も結構載っておりますが、注目すべきは問題ではなく解説です。解説を読んで、例題を解きながら授業の前までに「基本」を自分の言葉で語れるようにする。
これが予習シリーズが向いている使い方です。
塾技
「ポイント」を把握するのに向いている参考書です。
重要なテクニックの見本市みたいな参考書です。重要なテクニックは塾技で覚えてしまいましょう。で、「基本的な」考え方は予習シリーズで理解する、と。
下克上算数
解き方の「ロジック」を理解するのに向いている参考書です。
テクニックではなく、解き方のロジックが分からない時に参照するといいですね。
下克上算数を使う時に注意しなくちゃいけないのは塾の解き方と異なっていたりする点です。少なくとも予習シリーズとはちょっと違います。使い方を間違えると子供が混乱します。
四谷大塚のみならず、四谷大塚準拠キッズには下克上算数の基本編はオススメしません。
参考書への向き合い方
というわけで中学受験算数の予習の仕方やら、参考書を紹介していきました。
参考書には向く使い方や向かない使い方があります。
何を買うべきかはお子さんの課題と照らし合わせて決めてみてください。
ただ、くれぐれも参考書をめったやたらに買うことはしないで欲しいと思います。
お子さんの課題とマッチしていない参考書を一所懸命やっても課題は解決しません。
ですから、お子さんが何に困っていてどんな参考書を買えばいいのかしっかりご判断ください。
ポイント把握だったら中学入試 算数 塾技100はとてもいいです。中学受験算数のほぼ全てを網羅しております。とっても効率的で、ズレのない優秀な参考書です。
塾のテキストと是非併用して使ってみてください。
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