【中学受験】小学校4、5年生のテストと6年生の模試の違い
海城中学校、ベン図を使って解く問題
40人のクラスでA、Bの2種類のテストを行いました。どちらのテストも100点満点であり、60点以上で合格です。Aの合格者は27人、Bの合格者は21人で、Aだけ合格した人の数はBだけ合格した人の数の2倍でした。また、Aを80点以上で合格した人は13人で、そのうちBも合格した人は6人でした。
(1)AもBも不合格だった人は何人ですか。
(2)Aを80点未満で合格したが、Bが不合格だった人は何人ですか。
引用元 海城中学校入試問題 算数より
さて、この問題は何の問題に見えますでしょうか?
「Aの合格者27人、Bの合格者21人、そして2倍というキーワード・・・、これは分配算だ!」
当てはめ型ですとこんな思考になってしまう子もいるかもしれません。
ま、線分図を書いて分配算的に考えても解けますが、変な線分図を書く羽目になります。
なお、この問題は典型題に毛が生えたくらいのレベルです。
ある程度の難易度の問題を解くのに大事なのは、「どうやって解くのか」を考える前に「まず条件を整理しよう」って発想です。
これは簡単な問題ですので、「当てはめ型」でもいけますが、もうちょい難しくなると当てはめ型では難しくなります。
どつぼにはまります。
では条件を整理します。
条件整理の方法その1 書かれている条件を書き出す
まずは書かれている条件の書き出しです。本番でやれとは言いません。訓練です、訓練。
・クラスは40人
・Aの合格者は27人
・Bの合格者は21人
・Aだけ合格した人はBだけ合格した人の2倍
・Aを80点以上で合格した人は13人
・Aを80点以上で合格した人のうちBも合格した人は6人
条件整理の方法その2 書かれていない条件を見つける
難しいのは「書かれていない条件」の発見なんですね。
正解の道に続いてないとだめなんすよ。
センター南駅から横浜に行きたいのに、気づいたら中山駅にいて、「やけにこじんまりとした横浜にきたな!」となってしまうようなものです。あるいは八王子に行きたかったのに拝島にいるみたいな。
と、非常に分かりづらいたとえを使ってみました。グリーンラインとブルーライン、そして青梅線と中央線の話です。
で、「書かれていない条件」を発見するときはまず問題文の整理です。整理するための思考道具を使うとうまくいきます。
上の問題の場合は、ベン図を使います。
Aだけ合格した人を②として、Bだけ合格した人を①とします。すると下のようなベン図を描けます。
この汚いベン図、つまり便図から下のような関係が分かります。
①+□=21人
②+□=27人
では①は何人ですかね?
一瞬で答え出ますよね?
①は6人です。
ということはAだけ合格した人は12人、Bだけ合格した人は6人、両方合格した人は15人と出てきますね。
最後にベン図(便図)から答えをひねり出す
さぁ、ばっちい話もいよいよ最終局面です。
クラス40人から「Aだけ合格した人」「Bだけ合格した人」「両方合格した人」を引けば、両方不合格だった人の人数が出ます。ひねり出します。
40ー12ー6ー15=7
答え 7人
(2)を解くために条件を整理する
次は(2)です。
これもベン図を書きます。さらに汚いベン図です。大便図です。
分かりやすいように斜線を色で塗り分けました。そして現代絵画のようになってしまいました。
まず青い斜線部分は(1)より6人です。
黄緑の斜線部分は6人です。問題文にAが80点以上のうちBも合格した人は6人と書いてます。
黄色の斜線部分は9人です。AB両方合格した人(15人)から黄緑の斜線の人数(6人)を引けば求められます。
赤色の斜線部分は7人です。Aが80点以上の13人から黄緑の斜線の人数(6人)を引けば求められます。
最後に黒の斜線部分は、Aの合格者27人から赤と黄色と黄緑の斜線の人数を引けば求められますから、
27ー7ー9ー6=5
答え 5人
これ、別解として表を使って解く方法もあります。
が、集合の概念を絵で視覚的に整理して解くほうが小学生には分かりやすいと考えておりまして、ここでは紹介いたしません。
条件整理には作法があります。
まず、問題文中で与えられた条件を書き出します。あるいは線を引っ張ってもいいかもしれませんね。
書き出した条件だけで答えが求められるなら求めてしまいましょう。据え膳食わぬはなんとかでございます。
ところが書き出した条件だけでは答えが求められないような、いけずの問題もあります。また文章だけではよく分からなかったりします。
模試の真ん中以降の問題はおおよそいけずなのであります。
そこで、書き出した条件から、書かれていない条件を見つけなくちゃいけないんですね。
このときに絵やグラフやベン図、線分図などを使って自分が分かるかたちに整理していくと、道筋が見えてきます。
道筋さえ見えてしまうと、あとは簡単な計算でどうにかなる場合が多いです。
自分が分かるかたちに整理ってのがキーワードです。
そのためにはいろいろな考える道具を知っておいた方がいいんですよ。
解き方、解法じゃないですよ。考える道具です。整理する道具です。
では次も小学4年生が解ける問題を解きながら条件整理の方法を見ていきましょう。
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