【中学受験】暗記は最強の学習方法 暗記とは何か・暗記の仕方について(前編)

【中学受験】暗記は最強の学習方法 暗記とは何か・暗記の仕方について(前編)

中学入試過去問集の「傾向と対策」に書いてあることが大変香ばしく、秋の夜長に頰が緩む瞬間ってないですか?

と、多くに人の共感を得られない投げかけからスタートする本日は暗記の仕方やコツ、そもそも暗記ってなんだ、ってことについて書いていきます。

暗記でカバーできる問題

ちなみに「傾向と対策」にはこんなことが書かれていることが多いです。

 

「基本的な問題が中心ではあるが、応用問題も混じっているため日頃から応用演習をしっかり行うべきである。基本問題については基礎知識の習得を中心に取りこぼしのないようにすべき」

 

これって、「明日は概ね晴れるが、場合によっては雲が出てきて雨が降る可能性がある」とかいう天気予報と同じですね。要するに何も言ってないのと同じです。

 

で、よく分からないのが基本問題とか、応用問題という言葉でございます。何をもって基本と言い、そして応用と言うのかが定義されていないのでその中身については皆目見当がつきません。

 

そこで私が定義してしまいますが、基本問題というのは暗記で解ける問題です。応用問題というのは暗記+暗記の組み合わせや解答条件の発見が必要な問題です。

 

つまり、基本問題は暗記でカバーできます。また、応用問題を解くのにも暗記が必要となりますが、暗記にプラスして解答条件の発見テクニックが必要となります。

実例があると基本問題と応用問題の違いが分かり易くなると思いますので、中学受験の理科の問題で基本問題と応用問題の例を見ていきましょう。

基本問題例 ー 暗記で解ける問題の例

▼問題文

太郎くん「僕は群馬県の高崎市に住んでいるんだけど、夏になると毎日夕立で大変なんだ」

花子さん「それは大変ね。わたしは埼玉県のさいたま市に住んでるけど、毎日夕立なんて降らないわよ」

太郎くん「うちなんか毎日、雷もすごいんだよ!?高崎市とさいたま市では100kmも離れてないのにどうしてなんだろう?」

花子さん「高崎市って言ったら山に近いからかしら?そういえば群馬県の人って運動会の時に「赤城」とか「榛名」とか「吾妻」とか山の名前でチーム分けするらしいわね」

太郎くん「そうなんだ、今年の僕は「赤城団」で・・・(中略)。そういえば山の方から大きな雲が近づいてくるのを見るね」

花子さん「それってひょっとして( ① )じゃない?」

太郎くん「あ、そういえば( ② )の方から風が吹いてくる日には、もくもくと( ③ )が山の方で発生するね!」

花子さん「それが原因よ。( ② )の風は( ④ )の湿った空気をたくさん含んでいるもの」

太郎くん「ちなみに新潟県妙高市の天気はどうなんだろう?」

花子さん「( ① )は山の( ⑤ )で雨が降って、山の( ⑥ )では乾いた空気になるはずだからきっと( ⑦ )よ」

 

▼解答

①フェーン現象 ②南西 ③積乱雲 ④フィリピン海 ⑤風上側 ⑥風下側 ⑦晴れ

 

これは気象に関する基礎知識で解ける問題です。山に近い風上の地域で雲が発生し、夕立が起きるのはフェーン現象のせいです。かつ、夏は南西の風が吹き、冬は北東の風が吹くのも気象の基礎知識ですね。そして南西の風は山にぶつかって積乱雲を発生させ、雨を降らせた後に山の反対側に吹くので、新潟は晴れになります。

 

小学6年生のお子さんだったらきっと解けます。解けなかったら基礎知識の暗記が足りていないせいです。

暗記しているのに解けない?それは後述しますが、少ない手がかりから思い出す訓練をしていないからです。

 

ちなみにこうした問題は暗記だけで解けます。ところが暗記という学習方法はバカにされがちです。詰め込み教育とか言われて。

それとは逆に考える力というのはもてはやされる傾向にあります。ただね、正しい知識のインプットなくして、考えるなんてのは不可能なんですよ。正しい知識なくして考えるなんてのは、素手で薪を割るようなものです。斧が必要でしょ、斧が。あなたは大山倍達ですか?

 

考えることと暗記によって覚えた知識は不可分の関係なんです。だから、基本問題を解く上でも暗記は大事。応用問題も同様です。何度も言いますが正しい知識を覚えることは大事なんです。

応用問題 ー 暗記+条件の組み合わせや隠れた条件の発見が必要な問題

▼問題文

上記の太郎くんと花子さんの会話から榛名山の頂上付近の気温を求めよ。また、太郎くんの住んでいる高崎市と、妙高市ではどちらの気温が高いかを答えよ。気温は四捨五入せよ。

ただし、榛名山の標高は1450mとし、高崎市の気温は30度、海抜は100mとする。

▼解答

榛名山の頂上の気温:23度

どちらの気温が高いか:妙高市

 

気温は雲が発生する山の斜面では標高100mごとに0.5度ずつ下がるという基礎知識があれば榛名山の頂上の気温はすぐに出てきますね。高崎市と妙高市のどちらが気温が高いかというのは、妙高市が新潟にあり、群馬から見ると山の向こう側にあるという2つの基礎知識と、フェーン現象において風上側よりも風下側の気温が高くなるという基礎知識の組み合わせにより答えを求めることができます。

基礎知識を組み合わせて解いているという意味で応用問題ですがこれは簡単な部類の問題です。もっと条件が複雑になっていたり、解答を導くための条件が隠れていて計算を使う必要があったり、太郎くんと花子さんの会話じゃなくていきなりど直球に答えを求めてくる問題ですと難易度が上がります。

たとえば、「榛名山上空で積乱雲が発生している。高崎市と妙高市ではどちらの気温が高いか」とか聞かれるとやや解答条件の導出が複雑になります。

条件① 積乱雲が発生しているので季節は夏

条件② 夏なので南西の風が吹いている

条件③ 高崎市は群馬県

条件④ 妙高市は新潟県

条件⑤ 群馬県は風上側、新潟県は風下側

条件⑥ フェーン現象は風下側の気温が風上側よりも高くなる

という6つの条件が解答に必要となります。とくに条件①にて積乱雲が発生している事実から、季節が夏であるという隠れた条件を発見する必要があるため難易度が高くなっています。

 

応用問題では持っている知識を別の形に置き換えたり、組み合わせたりする作業が必要になります。基本問題ではそのまま知識が答えになります。したがいまして、純粋に暗記だけで解ける問題というのは基本問題と定義します。

なお、暗記にプラスして条件の組み合わせや隠れた条件の発見が必要な問題を応用問題と定義します。

 

とはいえ基本問題であれ、応用問題であれ暗記が必要なのはどちらも同じ。しいて言いますと、暗記しなければどちらも解けません

暗記のメカニズム

記憶のメカニズム、つまり仕組みについては以下が大変分かりやすいので読んでみてください。

エーザイ|もの忘れの教室|解明!記憶のメカニズム|記憶は脳でつくられる〜記憶の3ステップ〜

上記のリンク先で書かれている重要な事実は、記憶というのは3つのステップによって達成される点です。

すなわち、①情報を受け取る ②保つ ③呼び出す の3ステップ。そしてもの忘れは「③呼び出す」の機能低下によるものと言っております。

いいですか。「②保つ」ではなく「③呼び出す」がもの忘れの主因だと言ってるんです。これは重要な点です。忘れる、というのは本当に記憶がなくなってしまうのではなく、インプットされた記憶が呼び出されなくなる、ということを言っているんです。

 

また、理化学研究所では記憶の仕組みについて以下のように書いてます。

海馬から大脳皮質への記憶の転送の新しい仕組みの発見 | 理化学研究所

上の記事をすごーく単純にしますと、理化学研究所の発表では「記憶されたことは脳に保たれるものの、時間経過とともに別の部位によって神経回路が作られ、呼び出す部位が異なってくる」と書いてあります。

 

暗記した後、1日くらいは覚えているけれども、その後は忘れてしまうのは記憶がなくなってしまった訳ではないようです。何しろ、記憶として保持はされているようですから。

実際は③呼び出すための神経回路がきちんと作られていない(もしくは機能低下を起こした)から、覚えたことが呼び出せないという状態が忘れた状態と、私たちは言っているようなんですね。

 

つまり、暗記においては、脳の仕組みからして、呼び出す訓練を繰り返しやって呼び出すための神経回路をきちんと作ることが重要なんだと言えそうです。

 

経験的にもしっくりくるんじゃないですかね。

暗記の仕方 パターン別暗記方法

さあ、暗記しましょう!

と言ってもどう暗記していいか分からないですよね。暗記には2パターンあります。というか私は2パターンに分けてます。だって、経験的に分けられるんですもの。

暗記方法 単純暗記

単純暗記というのは単語を覚えたり、年号を覚えたり、漢字を覚えたりするのを指します。

覚え方はこう、ラジオ体操の要領でやりましょう。

 

ステップ① はーい、まずは覚えたいことを見て読んで書いて!

ステップ② それから、大きく教科書を閉じてぇ!

ステップ③ 唱えて、書いて、唱えて、書いて、唱えて、書いて!20回やりましたかぁ!OK!その調子だぜ。お前の前頭前野の神経細胞が育っていくのが俺には見えてるぜ!

 

はーい、最後だけブートキャンプのようになりましたが、こんな感じです。なにぃ!覚えることを小分けにしてるって?

馬鹿野郎!覚えるときは一気に覚えるんだ!漢字が500個あるって?上等だ。1日で500個覚えろ!30秒で漢字1個だとしたら、1分で漢字2個、60分で漢字120個。よく気づいたな間抜け、5時間あれば500個覚えられるゼ。

 

さて、覚えるときは一気に覚えるのが鉄則です。目に入った情報は脳に保持されますから、とにかく情報は入れる。それも一気に入れる。そして寝る

覚えてるわけがないとか言わないでくださいよ。翌日やって御覧なさい。半分くらい書けますから。信じてください。

 

そして、解けなかった半分をもう一度、唱える、書く、唱える、書く、唱える、書く。

ZONEに入ってきましたか?いいですねぇ。脳を暗記でキメてきてますよ。

この時のコツは思い出しながら唱えて書くこと。記憶を呼び出しながら唱えて書くんです。私は目をつぶりながらやってましたよ。目を閉じて、頭で思い出しながら、唱えて書きまくってました。

初日に書けなかった半分を翌日書いてみてください。全体の8割〜9割くらいは書けるようになってますから。

 

そして3日目。さらに残りの書けなかったのを書きまくります。すると、9割5分くらいは書けますが、どうしても書けないものが出てきます。

それはあなたが記憶から呼び出しにくい単語やら漢字やらです。こいつは何度やってもすぐに呼び出せなくなってしまいます。

超ヤバいモンスター、いわばボス級、その名はバラモス。

 

2日目で書けなかった1割〜2割、中ボス級、まるでカンダタ、斧持って塔の上で待ってろ。

 

さて、モンスター級のバラモスと中ボス級のカンダタ、こいつらはまとめて別の紙に記録しておきます。これね、超お宝級の記録ですよ。だいたい思い出せないのはこいつらです。

だから、これらは何度も何度もやるんです。他はどうかって?大丈夫です。1ヶ月に1回くらいメンテナンスしてれば記憶から呼び出せないことはないです。

暗記方法 概念暗記

参考書の説明を一問一答形式にして覚えていくのが概念暗記のやり方です。

例えば、上記の太郎くんと花子さんの問題のフェーン現象ですと、

100m標高が上がると1度ずつ気温が下がるものの、雲ができると100mごとに0.5度ずつ下がる。逆も然り。風上側では湿った空気のため雲ができるが、風下側では空気が乾いているため、100m標高が下がるごとに1度ずつ気温が上がる。

という概念を暗記するために一問一答形式にします。これを私は情報量の圧縮と呼んでいます。

山の天候 フェーン現象

では、例として上の概念を一問一答にします。

3つの問題を作ることができます。

 

問題1:乾いた空気は100m標高が上がると何度気温が下がるか

解答1:1度

 

問題2:雲を生成する空気は100m標高が上がると何度気温が下がるか

解答2:0.5度

 

問題3:山の風上側で雨が降り、風下側で気温が高くなる現象をなんというか

解答3:フェーン現象

 

いいですか。概念暗記のコツは一問一答形式にすることです。参考書の文章をそのまま覚えてはいけません。問題形式にするのがポイントです。

問題形式にすると、記憶を③呼び出す作業がやりやすくなりますし、その分記憶を呼び出しやすくなるんです。

 

決して初めから理解しようと頑張ってはダメですよ。とにかくまずは覚えるんです。その次に覚えたことの背景のロジックを理解するんです。

 

さあ、最高の学びまでもう少し。次回に続きます。

 

暗記の後編はこちらから。

【中学受験】暗記は最強の学習方法 暗記とは何か・暗記の仕方について(後編)

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