【中学受験】論説文・説明文を読み解く力 具体的な学習方法、整理の仕方
説明文・論説文のお話です。
先日、↓を書きました。これ、物語の読み方にしか触れておりません。というわけで本日は居残り補習のように説明文・論説文について半べそで触れていきたいと思います。
ところで国語の問題を解くってどういうことでしょうか?
ステップに分けてちゃんと把握しときたくないですか?
いいですね。
何事もしつこさと粘りが必要でして、淡白だと千載一遇のチャンスを失いがちです。
私も伴侶選びが淡白で・・・、とこの先は地獄の釜のふたが開くことになりそうなのでやめておきましょう。
国語の文章題を解くってのは次の3つのステップで行う作業と同義です。
1.文章を把握する
2.問いを読む
3.本文中から答えを探す
さ、遠い昔のテストを思い起こしてください。
あー、文章?何それ、食えんの?問いを読んで何となく探す?みたいな?
あぁ、すみません。
私の青春時代はガングロギャルがルーズソックスで昭和第一のセカンドバッグ担いで宮下公園でたむろっていたもので、国語なんてどうでも良かったんですよね。
そういう奴らは対象外だーっ!
はい、お行儀の良い淑女・紳士のみなさま、だいたいこんな感じのスリーステップで国語の問題を解いていたのではないでしょうか。
ところでこの3つのステップのうちで、物語と論説文・説明文とで異なる処理の仕方をする段階がございます。
1の「文章を把握する」です。
この把握の仕方が物語と論説文・説明文とで異なります。
ですからこの2つの種類の文章は別物として認識しておく方がいいんです。
論説文・説明文を構造的に把握する
さぁ、出ました。構造です。
何かと構造構造と申し上げているのは、言っておくと格好良さそうなのもありますし、文章を読み、把握する時の一助になってくれるという実用的な理由もございます。
物語は「場所、時間、登場人物、出来事」というまとまりごとに整理して登場人物の気持ちの変化を把握していきましたよね。
同じように論説文・説明文もまとまりごとに整理していけるんです。段落で。
論説文・説明文は段落ごとのまとまりで把握していく
物語は場面ごとに読んでいくのがコツですが、論説文・説明文は段落ごとに把握していくのがコツです。
まずは段落に番号をつけていきます。
第1段落、第2段落・・・と数字を振っていきます。
次に段落ごとの意味を把握していきます。
第1段落では問題提起、第2段落では具体例、第3段落では具体例から分かること、みたいにね。
例えば、
①科学技術の発展によって私たちは便利になり、余暇や趣味に使える時間が創出され、より安全に暮らせるようになった。労苦を伴う作業から解放され、身の危険を感じる機会も減ったのだ。これは一見良いことのように思えるし、人々は数100年前よりも幸福を享受できるようになったはずである。しかし本当にそうだろうか?
②実は便利さと幸福度にははっきりした相関関係が見られない。例えば2021年の幸福度ランキングでは世界で最も便利な国の一つである日本は56位であり、メキシコや台湾、ブラジル、タイなどよりも順位は低い。これらの国は日本よりもGDPは低く犯罪発生率は高い。つまり、日本と比べて便利でも安全でもないのだ。
③便利でも安全でもないのに幸福度が高い、ということは何らか別の要因が幸福度に影響を与えているように思える。より幸福になるために希求されてきた便利さや安全さといったもの以外に目を向ける必要があることを意味している。では何が他の要因となるのだろうか。私が注目したのは・・・
みたいな文章っすね。文章は適当に書きました。
①〜③までの文章では、
①普通は便利で安全になったら幸せになるって考えるよねー、でもほんとにそうなの? ← 問題提起
②いや、実際はそうでもないよ ← 具体例
③じゃ、幸せになるには他のことが影響してそうだよね ← 具体例から分かること
といった感じで段落ごとに意味のまとまりがあるんですよ。
つまりですね、段落ごとに著者はなんでこんなこと言ってんの?ってのを整理していくと全体の趣旨=著者の言いたいことが分かるんです。
これが論説文・説明文を読むときにやること。やったほうがいいこと。
ずいぶん物語と違うでしょ?
で、問題はこれを小学4年生、5年生ができるかどうかってことですよ。奥さん。
できませんよね?教えたって、「分かんねー!」となって家庭の修羅場が創出されて幸福度が落ちること間違いなしですよ。
じゃあどうすんのか。大きく3つに分けさせるんです。
論説文・説明文の段落ごとの意味は3つしかない
いや、ビッグに言いましたけど本当は4つとか5つとかあるんです。
でもね、大きく分けると3つだけなんです。
何かっていうと、
1.著者の意見
2.著者とは反対の意見
3.具体例
の3つです。
本当は4つ、5つに分けたほうが解像度が高まるんですけど、とりあえず3つでよしとします。
3つなら何とかできそうじゃないですか?
はい、ここで登場するのが3色蛍光ペンです。
著者の言いたいことにピンク、著者の反対意見に黄色、具体例に青とか色付けしていくと構造が色で分かります。
↓は実際に3色の蛍光ペン・・・、もとい黒のネームペンと2色の蛍光ペンで塗り分けしておりますよ。
本当は3色にするはずだったのに・・・!
著者の意見、著者とは反対の意見、具体例を色で塗りつぶせたら終了です。
これで論説文・説明文の構造を色ではっきりさせることができます。
論説文・説明文で最も大事なのは著者の意見を把握すること、次に著者とは反対の意見を把握することです。具体例はせいぜい著者の意見を導くだけのものです。
これらを色ではっきりさせると文章全体の構造が分かります。
え?物語よりも簡単じゃね?と思いましたか。
そうです、論説文・説明文は物語よりも簡単なんです。ただし蓮實重彦氏の文章は除く。
物語が場面ごとの登場人物の心情の変化を追うものだとしたら、論説文・説明文は整理するだけ。
心情の変化はもっと複雑です。前の場面の出来事を踏まえて、今読んでいる場面の出来事を・・・、ってな感じで関連しあっております。
国語の難易度はどうやって決まるのか
国語の難易度は文章の意味を把握する粒度で決まります。
とりあえず論説文・説明文は3つに分けろ、と言いましたがさらに上を目指そうとすると、4つ、5つに分けて、それぞれの段落の趣旨を正確に読む必要があります。
例えば、選択肢の問題であれば、
1は趣旨は合っているけれど、この表現は言い過ぎている
2は趣旨は合っているけれど、この表現は少し足りない
3は趣旨と少しズレている
4は趣旨と合っていて、言い過ぎも不足も1や2に比べて小さい
5は反対意見にやや近い
したがって4が正解。
みたいな微妙なラインを突いてくるんですね。
でも大原則は文章の把握。
小学4年生、5年生は文章を構造的に把握する練習を(構造を意識せずに)したらいいと思います。
大人じゃないですから。
構造とか理屈っぽいことじゃなくて、肌で覚えるための訓練、訓練、また訓練ですよ。
色を付けろよ!My son!
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