【中学受験】国語で8割正答する解き方と勉強法 説明(同義)問題編
今回は国語の説明(同義)問題を解くコツについて書いていきたいと思います。
前回は「国語で8割正答する解き方 3つのフレームワークと9つのバリエーション」と題して、中学受験の国語を解く上での基本的な頭の使い方をやっていきました。
全ては前回の記事で書いてますので読んでなければまずはこちらを読んできてください。
読んできましたか?OK、それじゃあやっていきましょう。
頭には使い方がある
前回でも書きましたが、私は思考力は入試には必要ないと考えています。思考法は優秀な、塾や予備校の先生方が考えてくれています。そして使い方レベルにまで落とし込んでくれます。
受験生に必要なのは正しく使い方をトレースするための訓練だけです。
ところで、今回は中学受験の問題ではなく、センター試験国語の問題を題材に使います。なぜなら簡単だからです。中学受験の問題よりもよほど簡単です。
簡単な問題を数多く解くのは、思考方法を身に付ける訓練にうってつけです。訓練のためには難しい問題を解いちゃいけません。
まずは型から身に付ける。そのためには簡単な問題を繰り返し解き、型をしっかり身につけるんです。
その後、難しい問題にチャレンジする。野球だってまずはキャッチボールと素振りからです。いきなり大谷翔平と対戦しても何も学べません。
頭の使い方は訓練によって身に付ける
国語を解くためのフレームワーク(頭の使い方)は前回やりましたね。
ふざけんじゃねえ、解けねえぞ!というクレームは受け付けませんよ。だって、訓練しましたか?してないでしょう。
訓練しなきゃ身につきません。当たり前です。私が前回書いたのは正しい腕の振り方です。正しい腕の振り方を知っても遠投100mを達成するのは無理です。
前回書いた説明(同義)問題の解き方はこうでしたね。
1.傍線部を分解する
2.分解した文章と同じ意味を持つ文章を文章中から拾ってくる
3.文章中から拾ってきた文章を再構成する
上記だけで少なくとも3つの技法をマスターしなければなりません。
1つ目は傍線部を分解する技術。これは簡単。傍線部を、ひとかたまりの意味のある文章に分解するだけです。
2つ目は分解したひとかたまりの意味のある文章と同じ意味を持つ文章を文章中から拾ってくる技術です。これが難しい。
なぜならば、まずは傍線部を分解した文章の意味を把握していなければなりませんし、それと同じ意味を持つ文章を文章中から拾ってこなければならないからです。分解するより100倍難しい(当社比)んです。
3つ目は再構成する技術です。これは慣れれば簡単。文章中から適切な文章を拾ってこれれば、自動的に再構成できます。
従いまして、おおよそ国語入試問題の50%近くを占める説明(同義)問題のキモは、
①分解した文章の意味を把握し
②同じ意味を持つ文章を拾ってくること
と言えます。これに尽きます。
だから今回はこの2つの技術をしつこくねちっこくやっていきます。
説明(同義)問題の例示
平成29年度のセンター試験国語の問題を例にやっていきます。(PDFが開きますので注意)
大問1 問2
傍線部A「先進国の社会体制を維持する重要な装置となってきている」とあるが、それはどういうことか。その説明として最も適当なものを、次の①〜⑤のうちから一つ選べ。解答番号は⑥。
大問1 問3
傍線部B「こうして『もっと科学を』というスローガンの説得力は低下し始め、『科学が問題ではないか』という新たな意識を社会に生まれ始めているのである。」とあるが、それはどういうことか。その説明として最も適当なものを、次の①〜⑤のうちから一つ選べ。解答番号は⑦。
大問1 問4
傍線部C「ゴレムのイメージに取りかえることを主張したのである」とあるが、それはどういうことか。その説明として最も適当なものを、次の①〜⑤のうちから一つ選べ。解答番号は⑧。
引用元 平成29年度センター試験 国語 大問1より
こんな問題が出ます。なんか難しそうですね。言葉だけ見ると。
でも問われていることは単純。同じ意味を持つ選択肢を選べってだけです。しかも自分で考えなくていいんです。文章中から抜き出してきて再構成した正解の文章と選択肢を見比べて、「同じかなー、違うかなー」とやればいいだけです。
説明(同義)問題を実践的に解く
では問2からやっていきます。
大問1 問2
分解する
「国民国家の社会体制を維持する」「重要な装置」の2つに分解します。
同じ意味の文章を文章中から拾ってくる
「国民国家の社会体制を維持する」・・・国民国家の競争の時代になると、科学は技術的な威力と結びつく
「重要な装置」・・・競争の重要な戦力としての力を発揮し始める
再構成する
そのまま文意に沿ってくっつけるだけです。
「(それまでは伝統的な自然哲学の一環としての側面が強く小規模な活動であった科学が)国民国家の競争の時代になると、技術的な威力と結びつき、競争の重要な戦力としての力を発揮する」
選択肢を落とす
①現代の科学は、伝統的な自然哲学の一環としての知的な楽しみという性格を失い、先進国としての威信を保ち対外的に国力を顕示する手段となることで、国家の莫大な経済的投資を要求する主要な分野へと変化しているということ。
②現代の科学は、自然の仕組みを解明して宇宙を説明するという本来の目的から離れて、人々の暮らしを自然災害や疾病から守り、生活に必要な製品を生み出すことで、国家に奉仕し続ける任務を担うものへと変化しているということ。
③現代の科学は、「科学者」という職業的専門家による小規模な知識生産ではなくなり、為政者の厳重な管理下に置かれる国家的な事業へと拡大することで、先進国間の競争の時代を継続させる戦略の柱へと変化しているということ。
④現代の科学は、「もっと科学を」というスローガンが説得力を持っていた頃の地位を離れ、世界大戦の勝敗を決する戦力を生み出す技術となったことで、経済大国が国力を向上させるために重視する存在へと変化しているということ。
⑤現代の科学は、人間の知的活動という側面を薄れさせ、自然に介入しそれを操作する技術により実利的成果をもたらすことで、国家間の競争の中で先進国の体系的な仕組みを持続的に支える不可欠な要素へと変化しているということ。
引用元 平成29年度センター試験 国語 大問1 問2より
①・・・「国家の莫大な経済的投資を要求する主要な分野へと変化」というのが傍線部の趣旨と違いますね。傍線部の趣旨は「競争の重要な戦力になった」ことです。「莫大な経済的投資を要求」する分野になったというのは、事実ではありますが傍線部の趣旨と違います。
②・・・科学は人々の暮らしや自然災害、疾病から守るものではありません。傍線部では「競争の重要な戦力としての力を発揮」するものです。傍線部の趣旨と違いますね。
③・・・これは作成した正解と趣旨が同じように見えますが、「競争の時代を継続させる」というのが微妙です。正解候補として残しておきますが、もっと良い選択肢が合ったらそちらに乗り換えます。
④・・・合っていそうに見えますが違います。なぜなら、この選択肢は「国民国家の競争の時代」20世紀前半)ではなく、20世紀後半の科学の状況だからです。
⑤・・・「先進国の競争」という言葉と「不可欠な要素」というのがいいですね。趣旨が同じです。
選択肢③と⑤でどっちが良さそうか、というのを比較すると⑤の方が自分で作った正解と合っており、良さそうです。
正解は⑤です。
大問1 問3
分解する
「こうして『もっと科学を』というスローガンの説得力は低下し始め」「『科学が問題ではないか』という新たな意識を社会に生まれ始めているのである。」の2つに分解します。
同じ意味の文章を文章中から拾ってくる
「こうして『もっと科学を』というスローガンの説得力は低下し始め」・・・「自然の仕組みを解明し、宇宙を説明するという営みの比重が下がり(中略)自然に介入し、操作する能力の開発に重点が移動している」
「『科学が問題ではないか』という新たな意識を社会に生まれ始めているのである。」・・・「科学ー技術の作り出した人工物が人類にさまざまな災いをもたらし始めてもいる」
再構成する
これもくっつけるだけですね。
「自然の仕組みを解明し、宇宙を説明するという営みの比重が下がり、自然に介入し、操作する能力の開発に重点が移動した結果、科学ー技術の作り出した人工物が人類にさまざまな災いをもたらし始めている」
平成29年度のセンター試験国語問題を見ながら、消去法で落としてみてください。正解は④です。
大問1 問4
「ゴレムのイメージに取りかえることを主張したのである」
もはや分解すら必要ありません。「ゴレムのイメージ」を文章中から抜き出せばいいだけです。しかもすぐ上に「ゴレムのイメージ」は書かれています。
「ゴレムのイメージ」・・・「不確実で失敗しがちな(人間の役にはたつが不器用で適切に制御しないと主人を破壊する威力を持っている)向こう見ずでへまをする巨人のイメージ」
正解は③です。
国語の勉強法 説明(同義)問題編
私は最初に説明(同義)問題のキモを、
①分解した文章の意味を把握し
②同じ意味を持つ文章を拾ってくること
と言いました。
①の傍線部を分解して、分解したパーツごとの「意味」を把握するというのは一般的な「意味」ではありません。文章中における「意味」です。
例えば、大問1の問4の「ゴレム」ですが、ドラクエでは防御力がやたらと高いが攻撃力は並みのモンスターです。ユダヤ教では土と水で作られた単純作業労働者です。
国語で求められるのは、そういった知識ではありません。文章に書いてある「ゴレムのイメージ」を把握することが求められます。
つまり、知識が不要なんです。文章に書いてあることから「ゴレムのイメージ」を特定できますし、そうすることが求められているんです。
暗記しなくても良さそうですよね、その通り、暗記は必要ないんです。文章に書いてあるんです。
ですから意味は文章中から拾ってくればいいんです。傍線部の意味を把握するのに必要なのは文章を読むことだけ。
次に同じ意味を持つ文章を拾います。同じ意味の文章は一箇所だけではなく、色々な箇所にあります。
「ゴレムのイメージ」も「不確実で失敗しがち」とか「人間を守りもするが危害も加える」とか色々と文章中に書いてあります。それらを全て抜き出していきます。
すると、「ゴレムのイメージ」について漏れなく抜き出せます。それが解答になります。
選択問題は最も難しく、自分で作った正解と選択肢を対比して消去法で落としていかないといけません。
抜き出し問題は最も易しく、抜き出した箇所で問題文の指示(〜文字以内)におさまる文章を解答欄に書けばいいだけです。
記述問題は抜き出した文章を、なるべく文章中の言葉を使いながら再構成していけばいいだけです。
勉強法のまとめ
国語の全配点の約半分を占める説明(同義)問題を解く手順はイメージできましたでしょうか。その調子です。まずはイメージからです。
まずは、傍線部を分解する。次に分解したパーツと同じ意味を持つ文章を拾ってくる。そして、拾ってきた文章を再構成する。
説明(同義)問題は上記の3つを訓練し、正確にできるようになると解くことができます。選択肢の消去法による落とし方は時間が余れば訓練してください。
実は、3つの手順を正確に行えると選択肢は簡単に落とせるようになります。
家庭での勉強
丁寧に3つの手順を行いマスターすることを主目的としましょう。
時間がかかってもいいんです。1日かけて一つの問題を解くのでも構いません。分解し、同じ意味の文章を拾い、再構成するという手順が少しだけ見えてきた、それは大きな進歩です。
逆に雑にやっていると時間ばかり浪費してしまい、身についた感覚が得られません。
丁寧に丁寧に積み上げていけば絶対に誰でもできるようになります。
塾での勉強
塾は課題を確認する場です。目先の正解不正解ではなく、一日一日しっかり課題を設定し、できたかできなかったかを必ず振り返り、良かったことと悪かったことをしっかり選り分けましょう。
家庭で学習したことによって課題を設定し、塾で自ら設定した課題に対して良かったか悪かったかを検証するんです。
目先の点数に惑わされないでください。合格というもっと大事な目的があるじゃないですか。
自信を持って言う理由
私が中学受験をしていた時はこういったことを教えてくれる大人がいませんでしたし、自分では考えもしなかったです。行き当たりばったりに勉強し時間ばかり浪費していました。
だから結果も出なかったです。
大学受験では夏休みをクズ同然の過ごし方をしました。一方で楽に勉強する方法を考え続けました。その成果もあり、夏前に強制的に受けさせられた全国模試の偏差値40以下でしたが、冬には75を超えていました。
ちなみに夏休みは勉強という勉強はしませんでした。が、過去問を手に取り、なぜこんな答えになるのか、どうやったらこういう答えを導けるのか、を遊びの合間に考え続けました。
各教科で合格最低点に達するための最短かつ、最小の勉強量で受かる方法を考え実践し、現役で最難関に受かりました。
塾・家庭教師の講師で子供に教えたのも、その時に考え続けた効率の良い勉強法です。結果も出しましたよ。
王道ではないかもしれませんが、一人でも多くの方が正しい勉強法、効率的な頭の使い方を身につけていただけると大変嬉しいです。
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