【中学受験】国語の文章を読み解く力=読解力をつけるための具体的学習方法
まーた国語の話です。
私のブログをちょこちょこ読んでいる方は「こいつ国語の話ばっかりしやがる」と毒づいているかもしれません。
なんで何回も国語の話をするかというと、国語は得点源にできるにもかかわらずちゃんとした読み方・解き方を知らないまま受験を終えていく子供が多いからです。
やれ読解力をつけろとか、やれ文章をちゃんと読めとか、登場人物の気持ちを捉えましょう、とか間違ったことは言ってないですけどほとんど精神論に近い曖昧な指導で埋め尽くされております。
お子さんが宿題をやっているときに、ついそんな言い方をしてないですか?
これ、全く意味がありません。
それどころかちゃんと教えてくれないからお子さんからすると嫌になるだけです。
例えて言いますと、長嶋茂雄が「パーンときたボールをカキーンと打ちなさい!」と言っているようなものです。
結果として、国語の勉強が後回しになります。てゆうか後回しにしてませんか?
ちゃんと読み方が分かれば国語は満点取れる科目なんですけど、指導方法がよく分からないから後回しにする、と。
もったいないですよね。
得点源になるのに。
だからなんべんでも国語のことを書いていますし、今後も書こうと思ってるんです。
また、国語はすぐにピョーンと成績が上がる科目ではございませんので、小5できれば小4くらいから読むための訓練をしておいた方が6年生になって困りません。
では本日は国語の指導の具体的方法についてやっていきます。
とくに文章題の宿題で頭をかきむしるお子さんのいらっしゃるご家庭向けに書いております。
まずは国語とはどう解くものかを知ろう
国語を克服するためのロジックについては下に書いてます。
今日はその実践編でございます。
国語の文章の読み方はいわゆる読書とは全然違います。
読書だったら「あぁかわいそう、サラ・コナー!」とか「やったぜ!ジョン・コナー」とか感情をわき立たせながら読めばいいですよ。
あ、すみません、上であげたのは両方ともターミネーターですね。うっかり映画の話をしてしまいました。
国語の文章を読むってのは、感動するために読むんじゃなくて書いてあることを構造的に捉えて、
「物語だったら登場人物の感情変化を読み取る」
「説明文だったら著者の言いたいこと(主張)を読み取る」
これが国語の文章を読む、ということです。
ではその具体的練習方法にいきます。
ちなみに、小4、小5の段階では解き方よりも読むための練習に時間を割いた方が絶対にいいです。
解き方は短期間でもなんとかなりますが、読み方は短期間でどうにもならない場合が多いからです。
小6の秋ぐらいになって「全然読めないんです!」と言われてもジ・エンド。
小4、小5のうちにテストの点数とかは気にせずにひたすら正しく読む練習をやっていれば必ず6年生で巻き返せます。
テストの点数も気になるって?
テストでいい点数取るより志望校に受かる方が優先順位高いでしょうが。
家庭でもできる簡単国語レッスン
大前提として苦手な子がご家庭で国語を克服するためには誰か(ま、お父さんかお母さんですね)の補助が必要です。
補助をしつつ、国語の文章を読むとはどういうことかを分からせてあげる必要があります。
補助は面倒くさいからやらねー、とおっしゃるのでしたらそのまま受験まで勘で解くといいでしょう。
運がよければいい点数取れるかもしれませんね。
サイコロ任せにしたくない方は補助をしましょう。
ではどう補助をするか。
国語の文章を読む際の補助方法、その1
物語は登場人物の感情変化を読み取ることが大事だと申し上げました。
そのためにはどうするか?
その第一歩は、お題として提示された文章が物語なのか説明文なのか見分けることです。
物語と説明文では読み方も解き方も違います。
ですからまずはどっちの文章なの?ってのを見分けないと話になりません。
宿題にとりかかる気だるそうなお子さんに文章を黙読させます。音読でもいいです。
そして読み終わったら最初の一言。
「この文章、物語?それとも説明文?」
このように問いかけます。
ここまでが第一段階。
国語の文章を読む際の補助方法、その2(物語だったとしたら)
さて、お子さんからかえってきた言葉が「物語」で、実際に物語だったとしましょう。
ここまではだいたい大丈夫なはずです。
次にやることは、物語の構造を把握することです。
これも国語が苦手だったり慣れていないお子さんだと難しいはずです。
なので問いによって導いてあげる方がいいです。
物語の構造なんてなんだか難しそうですよね。
いえいえ簡単です。
物語の構造を把握するとは、「人」「時間」「場所」「出来事」を捉えることです。
お子さんに問いかけてください。問いかけの補助なしでは従来通りの漫然とした読み方になってしまいます。必ず補助!
第一の問い
「この物語に出てきたのは誰?全員書いてみてー!」
紙に登場人物を書かせてください。
第二の問い
「誰が主人公だと思う?」
主人公は一人称視点の物語だったら「わたし」「ぼく」「おれ」「あちき」「うち」で語っている人物が主人公です。
三人称視点だったら物語の中心になって感情を変化させていく人物が主人公です。
三人称視点の方が若干判断が難しいですよね。でもこれも訓練です。訓練次第で絶対にできるようになります。
書かせた登場人物のうち、主人公に丸をつけさせてください。
第三の問い
「じゃあこの物語の最初の場所はどこー?」
そして
「次にどの場所になったー?」
さらに
「次にどの場所になったー?」
という具合で場所(ない場合もありますが)を書かせてください。
時間の変化よりも場所の変化の方が把握しやすいです。場所の変化から捉える方がハードルは低い。したがって慣れていないうちは場所から把握します。
第四の問い
「じゃあさー、その場所に誰がいたー?場所ごとに登場人物を書いていってー!」
と場所の変化で登場した人物を整理していきます。
第五の問い
「場所が変わったときに時間はどうなったかなー?場所ごとに時間を書いてみてー!」
場所と時間を整理することは物語の構造を把握する上でとても重要です。
このとき、同じ場所で時間が経過していたとしら、分けて整理させてください。
例)
場所:体育館 時間:授業の始まり 人物:ぼく、たかしくん、よしこさん
場所:体育館 時間:授業の終わり 人物:ぼく、よしこさん
みたいな感じで場所は同じでも時間が違っていたら別ものとして整理します。
ここまでの問いで場所と時間ごとに登場人物の整理ができます。
なんだかいけそうな気がしてきませんか?
もう少しです。頑張れ、お父さん、お母さん・・・!
第六の問い
「場所と時間で分けたらさー、それぞれで起きた出来事を書いてみてくれる?あ、言葉で説明してくれてもいいよー!」
これも物語で書いてある出来事をそのまま書くだけです。
が、ちょっとハードル高いかもしれません。
なぜなら色々な出来事が起きているからです。
でも大丈夫。
最初のうちは簡単でいいんです。そのうち複雑な出来事もわかるようになってきます。
例)
場所:体育館 時間:授業の始まり 人物:ぼく、たかしくん、よしこさん 出来事:ぼく、たかしくん、よしこさんが同じチームになった
場所:体育館 時間:授業の終わり 人物:ぼく、よしこさん 出来事:ぼくとよしこさんが言い合いの喧嘩になった
第七の問い
「それぞれの場所と時間でぼくやよしこさんの気持ちを表す言葉を書き出してみてー!なかったら『なし』でいいよー!」
気持ちを表す言葉は「悲しい」「嬉しい」「寂しい」「怒った」といった直接的表現をまずは抜き出せればいいです。
比喩や間接的表現までは最初のうちは求めなくてもいいです。
比喩や間接的表現は「天にのぼる心地になった」「汗をぬぐった」「涙をふいた」みたいなやつで、これも感情を表現しているんですが最初はこれが感情を表現していると理解できないんじゃないでしょうか。
なので、直接的表現をきちんと抜き出せるようになってから、比喩や間接的表現を抜き出せるようになればOK。
国語の文章を読む際の補助方法、その3
ここまで整理できると、主人公をはじめとした登場人物の感情変化が整理できるはずです。
基本的に物語は↓のような構造になっています。
人 → 出来事 → 気持ちの変化 → 出来事 → 気持ちの変化 → 以下同様
受験で出てくる物語の中では同じ場所にいて、何も出来事が起きず、時間も変化しないのに嬉しかった人が急に怒り始めることはありません。
何かしらの出来事が起きて気持ちが変化します。
そして気持ちの変化とその理由が問題として問われます。
出来事は気持ちの変化をもたらし、場所や時間が変化した時に何かしらの出来事が起きます。
私、最初に言いましたよね?
物語は登場人物の感情変化を読み取ることが大事だと。
だって、そういうところが出題されるんですもの。
ですから、場所や時間の変化に伴う出来事に注目すると感情変化を読み取りやすくなるんです。
これが物語を構造的に読む、ということです。
小学4年生の組分けテストの国語(物語)を構造化します
では、2021年3月13日実施の小学4年生の組分けテストの物語を題材にして実際に構造化していきます。
親御さんご自身でもやってみてください。
四谷大塚通ってねーよって?
うーん、四谷大塚に転塾すればいいんじゃないですかー!?
物語は大問3のぼくとモリおじちゃんの話です。
では整理していきましょう。
①の場面
場所:山小屋
時間:山小屋に到着した直後
人物:ぼく、モリおじちゃん
出来事:ぼくがキツネを発見した
感情変化:なんでこんなおんぼろ小屋買ったんだよ → おんぼろ小屋が格好良く見えてきた
ここでは主人公のぼくが最初はなんでこんな山小屋買ったんだよ、おじちゃん。と思っているんですが、キツネを発見したことにより、かっこよく見えてきた場面までを描いています。
おじちゃん自身の感情も読み取れますがまずは「ぼく」の感情変化だけを捉えていきます。
②の場面
場所:山小屋
時間:①の場面後、休憩中
人物:ぼく、モリおじちゃん
出来事:最初聞こえていたウグイスの声がしなくなり、なにかが落ち葉をふむ音をぼくが聞く
感情変化:なし
②の場面では感情変化は起きていません。ぼくはおんぼろの山小屋を買ったおじちゃんの気持ちが分からないと最初から思っており、この場面でもモリおじちゃんが「へんなことを言う」と考えていることから感情変化は起きていない、と考えます。
また、直接的に感情を表す言葉もありません。
したがって感情変化は「なし」です。
③の場面
場所:山小屋
時間:夜
人物:ぼく、モリおじちゃん
出来事:おそろしい風の音が聞こえてくる
感情変化:心ぼそくて家に帰りたい
この③の場面がこの物語の最大の転換点です。
まず時間が日中から夜に変化しており、かっこよく思えてきた山小屋(ポジティブな感情)が心ぼそくて家に帰りたい場所に変わっています。
この転換点の把握。これが大事なんです。理由とともにどのような感情に変化したかが問われることが非常に多いからです。
構造化することのメリット
このように場所、時間、人物、出来事、感情変化を整理して読む癖をつけると、大まかにどんな話なのかが分かるようになります。
これが読解力です。
問いに答えられるかよりもまずはこのように整理して構造的に物語を読めるかどうかが大事です。
え?これだけじゃ問題は解けないって?
いいんです。問題を解けるようになるよりも構造的に物語を理解できるようになるのが先です。
このように整理して読む練習をすると物語の理解力がグーンと高まります。
国語の学習においては、文章を理解できるようになるまでは骨が折れますが、文章さえ理解できるようになれば問いに答える力は短期的に身につけられます。
したがって、まずはこのような訓練を親御さんの補助のもとで行なってみてくださいな。
説明文については全然説明してない?
あ、忘れました。
また後日具体的にやっていきますので待っちょれ。
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