【中学受験】広尾学園中学校 入試問題国語 論説文の解き方
簡単で確実に点が取れる広尾学園中学校の入試問題、国語の論説文(説明文)をやっていきますよ。難しく考える必要はございません。答えは全部文章の中にあります。
あとはそれを抜き出せば良い。
簡単、かつ明快。
じゃあどうやって抜き出すのか?コツさえつかめれば楽勝、読みながらコツを学んで頂けると幸いでございます。
広尾学園中学校の中でもとくに人気のある医進・サイエンスコースに絞ってやっていきます。
広尾学園中学校医進・サイエンスコース国語 論説文の特徴
医進・サイエンスコースの国語の論説文についてやっていきます。ま、医進・サイエンスコースの国語長文読解問題は論説文しか出ないんですけどね。
2016年〜2018年の3年間の傾向
出題される問題文はいずれも科学的考え方について書かれております。2016年、2017年は疑似科学に対する批判的論説でございます。
科学についての正しい理解を事前に勉強しておかなくちゃ、と早まってはいけません。全ては文章に書いていることが正しいのであり、「引き寄せ」とか「マイナスイオン」とか「免疫療法」が科学であるとする文章であれば、すなわちそれらは「科学」なんです。
ちなみに「引き寄せ」が気になったので調べてみますと、出るわ出るわ「引き寄せの法則」と称して検索結果に大量に!
深淵を覗いた気が致しましたので、そっとタブを閉じてしまいましたよ。HAHA、でも深淵を覗くとき、人は深淵から見られているんですけどね。
2016年〜2018年の医進・サイエンスコースの国語平均点、合格者平均点
年度 | 合格者平均点 | 平均点 |
2018年 | 38.6 | 34.2 |
2017年 | 29.5 | 24.9 |
2016年 | 35.7 | 30.6 |
おおよそ、6割から8割が合格者平均点というところですね。広尾学園中学校医進・サイエンスコース程度の国語の問題でしたら9割もしくは満点は余裕で取れると思いますので、合格者平均点はかなり低い印象です。
平均点と合格者平均点が5点以内に収まっている点に注目です。5点って大問1、2の漢字問題でしたら2〜3問の差です。大問3の長文読解問題でしたら1問の差です。
つまり、平均的な受験生と平均的な合格者の間に大した差はありません。
漢字問題は絶対に落とすな!
とすると、何が言えるか。
大問1、2は絶対に落とすな、というのがまず1点目
漢字と熟語は覚えれば必ず点が取れます。暗記しましょう。
大手塾に通っている方でしたら、塾の四字熟語・熟語・漢字のテキストをやってちゃんと暗記しましょう。
更に大問3の長文読解でも四字熟語を答えさせる問題が各年度で出題されてます。
ということは50点満点中の半分近くが四字熟語・熟語・漢字で構成されているんです。絶対に落としちゃいけませんよ。
大手塾のテキストを持っていない人はこれ。一冊で国語の漢字問題を済ませたい人はこの参考書を買ってきてやってください。
この手の参考書を数冊、書店で立ち読みしましたがこれが一番優れてます。
1点だけ注意点があります。
中学受験の入試問題で出題される漢字問題のうち、長文読解問題の中で出題される問題は、前後の文章の意味から適切な漢字・熟語・四字熟語を書く必要があります。
したがいまして、必ず意味も一緒に覚えてください。
論説文の長文読解は簡単
2点目。長文読解の記述問題は落とすな、ということ。
長文読解の選択肢問題と記述問題の解き方は同じです。
詳細は以下に書いてます。
広尾学園中学校の国語の問題で長文読解の記述問題を落としてはいけないのは、配点が高いからではなく、選択肢問題と同じ解き方ができるからです。
すなわち、記述問題ができないということは選択肢問題ができないということです。
だから、記述問題と選択肢問題に対応できるよう、必ず自分で正解形を作る訓練をしましょう。記述は落としてもいいから、選択肢を落とさないようにしようなんていうのは無理ゲーです。
ちなみに、論説文と物語文の違いは、文章から推測の余地があるかないかです。
論説文は文章から推測の余地がない、物語文は文章から推測の余地がある、と覚えておいてください。
つまるところ、論説文と物語文では、ちゃんとした読み方、解き方を身につけていれば論説文の方が簡単ということです。
推測をしなくてはならない物語文の方が思考のステップが一つ多くブレが生じるため物語文の方が得点が取りにくく、論説文の方が得点が取りにくいんです。
じゃあ論説文を読んでいきますよ。
広尾学園中学校 平成29年国語 論説文の読み方
平成29年、2017年の合格者平均点および受験者平均点は2016〜2018年で一番低いんです。なぜでしょう?
さっぱりわかりません。
だって、問題の難易度は大して変わらないんですもの。
しかも2017年の合格者平均点は6割未満です。
問題を解くよりも、なぜこのような結果になっているのか推測する方が難しいのですが、無理やりこじつけますと、結局受験生の大半は国語の問題を解く技法を身につけていないんじゃないかと思ってます。
それは他校の国語においても、合格者平均点、受験者平均点が8割を下回っていることからも言えるのではないか、と。
だって、普通に読んで、普通に解けば得点が8割以下になることなんてないですよ。
というわけでチャンスです。ほとんどの受験生が身につけていない技術を身につけて余裕で8割以上、あるいは満点を取ってやりましょう。
じゃあ一番合格者平均点、受験者平均点の低い2017年広尾学園中学校医進・サイエンスコースの問題の読み方と解き方をやっていきますね。
平成29年(2017年)出題 論説文の読み方
大問3の長文読解です。
科学について述べられた文章です。
まずは問題文を読みながら接続詞の前後に線を引っ張っていきましょう。
物質の混合実験の膨大なデータが残り、そこからパターンを発見でき、科学(ケミストリー)の発展に貢献したのである。
科学では時に失敗によって生まれた知見が、思わぬところで役に立つこともある。
理論的な仮説を立てるには、こういった危ない橋を渡らざるをえない場合もある。
科学に証明など存在しない。
これにしても「XならばY」が正しいという前提が、100%受け容れられるわけではない。
引用元:平成29年度広尾学園中学校入試問題 大問3 石川幹人『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』PHP新書
次に私が重要だと思い線を引っ張った部分を引用します。
科学には理論が不可欠であるが、理論が十分に整備されない技術であっても、実際に使えるのであれば、将来科学になりうるものとして重要視すべきである。
科学は、何かの思想の裏づけをする手段ではなく、経験の集大成から有益な知見を得る営みなのである。
本来の科学では、仮説(つまり不確実な理論)は、検証によって確実かどうか確かめる作業が必要である。
理論の検証段階では演繹的推論から得られた帰結を順次チェックしていく。
科学の成果はいつまでたっても仮説なのである。
引用元:平成29年度広尾学園中学校入試問題 大問3 石川幹人『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』PHP新書
はーい。この問題文は科学について述べた文章です。そして、問題文の途中で判明しますが二項対立になっています。
この問題文を読むポイントは二項対立に気付けるかどうかです。
すなわち、「科学」と「疑似科学」の二項対立。それと同じく、「演繹的推論」=「科学」と「帰納的推論」=「疑似科学」。ちなみに著者は「科学」と「演繹的推論」を支持する立場でございます。
なお、上の線を引っ張った箇所だけでこの文章の趣旨を明らかにできます。
「科学は経験によって有益な知見を得る営みであり、検証によって確実かどうかを調べる必要があるため、検証のない科学は本来の科学ではない」
接続詞の後の文章に線を引っ張るのは誰でもできると思いますが、重要だと思い、線を引っ張るのは誰にでもできることではありません。では何故線を引っ張ったのか説明します。
線を引っ張った理由は、冒頭の
科学には理論が不可欠であるが、理論が十分に整備されない技術であっても、実際に使えるのであれば、将来科学になりうるものとして重要視すべきである。
引用元:平成29年度広尾学園中学校入試問題 大問3 石川幹人『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』PHP新書
から、この文章が科学について述べられている文章なので、著者が「科学」だと言っている事が重要だと思い、線を引っ張ったまでです。
気づいていただけましたでしょうか?単純に何の文章なのかを把握して、それを説明している箇所に線を引っ張っているだけなんです。
文章を読んでいる途中で二項対立の文章であり、「科学」と「疑似科学」の二つに分けて書いていることにも気づきましたが、とりあえず「科学」について述べられている箇所に線を引っ張りました。
私が線を引っ張った箇所は「科学」について述べられている箇所、それとは逆の内容が「疑似科学」です。
つまり、「検証をせず」「帰納的推論」によって「科学」を自称するのが「疑似科学」である、と。
平成29年(2017年)出題 論説文の解き方
平成29年度広尾学園中学校入試問題 大問3 問2
ー線②「錬金術が目指した目標」とありますが、それは具体的にどのようなものですか。最もふさわしいものを次から一つ選び、記号で答えなさい。
ア 科学の発展のために多くの物質のデータを集めたり、金を他の物質を混ぜ合わせることで作り出したりすること。
イ 何でも作り出せるという「賢者の石」を見つけたり、為政者のために各地から金を集めたりすること。
ウ 為政者のために各地から金を集めたり、科学の発展のために多くの物質からデータを集めたりすること。
エ 金を他の物質を混ぜ合わせることで作り出したり、何でも作り出せるという「賢者の石」を見つけたりすること。
引用元:平成29年度広尾学園中学校入試問題 大問3 問2
傍線部②の「錬金術が目指した目標」を意味を変えずに、なるべく問題中の言葉を使って別の言葉に言い換えましょう。
「錬金術」・・・他の物質を混ぜ合わせることで金を作れないかと試行錯誤したり、賢者の石を発見すること
「目標」・・・金を作ることと賢者の石を発見すること
さて、この二つを合体させます。
「他の物質を混ぜ合わせることで金を作ること。また賢者の石を発見すること」
これがこの文章で書かれている「錬金術」です。
では、問題の選択肢を消去法で落としていきます。
ア・・・「多くの物質のデータを集めたり」が違います。また賢者の石を発見するという目標が書かれていません。したがって選択肢から落とします。
イ・・・「為政者のために各地から金を集めたりする」が違います。金は集めるのではなく、他の物質を混ぜ合わせて作ろうとしたんです。
ウ・・・全然違います。「為政者のために各地から金を集めたり」ではなく、他の物質を混ぜ合わせて作ろうとするのが錬金術です。また科学の発展のためにデータを集めた、という記述も全然違います。あくまで金を作るために試行錯誤したんです。
エ・・・正しいです。これが正解候補です。
というわけで、正解候補が一つしかありませんので、エが正解です。
もう一問やりましょうか?
平成29年度広尾学園中学校入試問題 大問3 問3
ー線③「こういったあぶない橋」とありますが、それは具体的にどのような推論ですか。本文に出てくる「Aさん」を主語にして二十字以内で答えなさい。
引用元:平成29年度広尾学園中学校入試問題 大問3 問3
傍線部の「こういった」に注目します。「こういった」と言っていることから、傍線部全体が直前の文章を指しております。
では直前の文章では何が書かれているかというと、
「『病気ならば病院に行く』のが合理的だが、病院に行っているからといって、他の理由を考えずに病気だと断言することはできない。」
ところが、断言することができないことを断言しちゃうのが帰納的推論であり、それが「あぶない橋」だと言ってるんです。
したがいまして、傍線部は、
「病院に通っている理由は病気だからであると推論すること」
となります。
「こういった」は「病院に通っているので病気だと推論すること」で、「危ない橋」というのはそういう推論をすること自体のことを指しています。したがいまして、上記のように言い換えられます。
問題文では「Aさん」を主語に使って二十字以内と指定があります。
とりあえず、「Aさん」を主語にして解答になる文章を作ってみます。
「Aさんが病院に通っている理由は病気だからである。」
ヒャッハー、24字になってしまいましたよ!
じゃあ4文字削りましょう。
「Aさんが病院に通うのは病気だからである。」
20字ぴったり。ジャストミート。
よってこれが正解です。
国語は基本的読み方、解き方に忠実に
読み方
論説文であれ物語文であれ、まずは文章の構造をしっかり把握するのが国語を解く上での基本的読み方となります。その上で論説文では趣旨(著者が言いたいこと)を把握し、構造的に読解するのがポイントとなります。
論説文では7割以上、二項対立が用いられます。二項対立を知っていると簡単に構造化できます。
二項対立とは
著者が言いたいことと、著者が否定したいことの二つの概念を並べ、著者が言いたいことを際立たせる技術のことです。これを知っていると、記述問題、選択肢問題ともに簡単に正答を導けます。
なぜなら、傍線部が著者の言いたいことなのか、否定したいことなのかを判別できるからです。
広尾学園中学校の医進・サイエンスコース程度の国語の問題だったら余裕でいけますよ。
解き方
説明(同義)問題の解き方は再三説明してきておりますように、傍線部を問題文の言葉を使って意味が同じ別の言葉に言い換えればOKです。
必ず自分で正解形を作ってください。
理由問題はちょいと解き方が違いますけどね。
記述問題は自分で作った正解形がそのまま答えになります。文字数制限があるのならば削ればいいだけです。
選択肢問題は消去法で自分の作った正解形と異なるものを落としていってください。これも重要なので言いますが、選択肢問題は必ず消去法で落としてください。
読み方と解き方のまとめ
・問題文を読むときは構造に着目する
・論説文の7割は二項対立
・傍線部は問題文中の意味が同じ別の言葉に置き換えて正解形を作る
・記述問題は正解形がそのまま答えになる(文字数制限があるなら削る)
・選択肢問題は正解形と異なるものを消去法で落とす
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