【中学受験】中学入試で必要な能力「考える力」を解説 子供は何を勉強してる?
「塾で『勉強してる』って言うけど成績は一向に上がらないし、一体何を勉強してるのかしら?四角い頭を丸くするなんて粘土細工じゃあるまいし・・・。」
と、思考の迷宮組曲を奏でている方も多いんじゃないかと思います。
中学受験で必要な能力ってなんだ?中学受験で必要な勉強ってなんだ?と。
一番手っ取り早いのは塾の授業を受けさせてもらうことですが、普通は受けさせてもらえません。
次くらいに良いのは親御様ご自身で私立中学の入試問題を解くことですが普通は歯が立たないかと思います。
ってわけで本日は、中学受験って何を勉強すればいいの?考える力とか良く聞くけど何のこっちゃ、さっぱりわけわからねえYO!という方にほかにはないアンサーをお届けいたします。
中学受験で求められる考える力って何?
いきなりで申し訳ないのですが、私、考える力っていう言葉が本当にしっくり来ないんです。
だって、何かを言い表しているようで何も言ってないでしょ。この言葉。
例えば塾の先生に成績が上がらなくて相談持ちかけた時にこんな回答をされたらどうします?
「花子ちゃんは基本はしっかりできてるし、真面目に授業も聞いてますから大丈夫ですよ。ただ、そこから上に行こうとするなら考える力をもっと磨かないといけませんね。普段から考える癖をつけるために新聞を読んだり、色々なものに興味を持つといいですね」
私だったらブチ切れながら質問をしますね。
質問①「先生のおっしゃる考える力って具体的に何でしょうか?頭悪くてすみません・・・」
質問②「考える、というのは何について考えることでしょうか?何をしたらいいんでしょう・・・」
質問③「考える癖をつけることがどのように成績アップと結びつくのでしょうか?どうもわからなくて・・・」
上で書いた塾の先生の回答がひどすぎるのはさておき、「考える力をつけろ」という言葉だけでは定義や対象、そしてどう成績と結びつくのかさっぱり分からないわけです。
で、考える力、ひいては中学受験で必要な能力とはなんぞや、という話です。
まずは定義からいきましょう。
中学受験における考える力、必要な能力とは、与えられた条件から最適解を見つけ出す力です。
与えられた条件から最適解を見つけ出す?
余計何のことを言っているのか分からなくなったと苦情が来そうですね。
苦情はジェロに言うといいです。
ああ、すみません。苦情を言うのはジャロです。ジャロ。歳のせいか間違えが多くて。許してください。
さて、「与えられた条件から最適解を見つけ出す」というのは「与えられた条件」、「最適解」、「見つけ出す」という3つに分けることができます。
でははじめに「与えられた条件」からいきましょう。
与えられた条件とは?
理屈よりも実際の問題を見て頂いた方が早いと思います。
問題:20以上50未満の整数のうち、奇数は何個ありますか?
下線を引いた部分が与えられた条件です。
条件1:20以上50未満ですから、20〜49までの数字ですね。
条件2:整数ですから、小数点がある数とか割り切れない数とかは対象外です。
条件3:奇数というのは2で割り切れない数字のことです。ですから対象になるのは21〜49までの数字です。
問題文の中には最適解を導くための条件が書いてあります。上の問題はとても簡単ですが、難しい問題でも条件を見つけ出さないといけません。
そもそも条件を見つけ出さないと問題は解けません。
問題が難しかろうが、易しかろうがやることは一緒です。
問題文の中に書かれている条件、それが与えられた条件です。
では次、最適解についていってみましょう。
最適解とは?
最適解というのは問題文で与えられた条件全てを満たす解のことです。
上の問題で言いますと、「21〜49までの数字」「整数」「2で割れない」という全ての条件を満たすものが最適解です。
問題が与えられると中学受験キッズは条件を見つけだし、自分の頭の中から考えるための道具を引っ張り出して来たり、今まで解いた問題で似たようなパターンはないかどうか、頭の中で検索をかけます。
で、頭の中で検索した解き方と目の前の問題がうまく合致していたらスラスラ解き始めます。そうじゃないと悩みます。
私が上であげたのは算数の問題ですが、国語でも一緒です。条件の与えられ方と考えるための道具が違うだけで本質的にやっていることは変わりません。
問題文で与えられた条件を全て満たす解、それが最適解です。
そして、最適解を導くためには考えるための道具が必要です。道具が揃ったらようやく見つけ出す作業に入れるというわけですね。
見つけ出すとは?
「見つけ出す」というのは最適解を出すために手順に則って解く作業のことです。
つまり、答案用紙にカリカリ書く作業です。
ちなみに上の問題の答えは(49ー21)÷2+1=15となります。「+1」は最初の21もしくは最後の49の分をを足してます。
これを解くために必要な考える道具は3つです。
・四則計算
・差に関する理解
・奇数の性質
この3つがあるとこの問題はすぐに解けます。小学6年生でしたら1秒で解くと思いますよ。
なに?わざわざ書き出した?
ま、それもいいでしょう。考えるためのいい道具を持っていないから書き出す作業をしただけです。例えると、車がないから42.195kmを歩くことにした、ってなわけです。
いい道具を持っていない、もしくは、頭の中で検索してみて考えるためのいい道具が見つけられないと車で1時間で行けるところを、歩いて10時間くらいかける羽目になります。
成績とは?
成績の良し悪しがなぜ出るのかというと、「条件を整理・発見する能力」「考えるための道具を検索する精度とスピード」「実作業の正確さ」が人によって違うからです。
そもそも「考えるための道具」が頭に入っていない人もいます。
成績の良し悪しは頭が良いとか悪いとかいう問題ではなく、目の前に与えられた条件に対して頭に詰め込んだ考えるための道具をいかに素早く取り出して、正確に扱えるかにかかってきます。
これは頭の良し悪しではありません。向き不向きはありますが、訓練でカバーできます。
そもそも頭が良い悪いという話は私は嫌いです。救いがないですし、頭が良い悪いという言葉自体の定義があいまいだからです。
あやとりの天才であるのび太くんはいつもテストで0点ですが、頭が良いか悪いかは定義次第です。もしあやとりが必修科目だったらのび太くんは頭が良いということになるでしょう。
正しく努力さえすれば頭に物を詰め込むこと(記憶)はできますし、何度も出し入れすれば素早く取り出せます(問題演習)。
では、考えてみましょう。受験をする時に行かなくてはならない塾って何のためにあるんでしたっけ?
そうですね、成績を上げて志望校に受かるために利用するのが塾です。
ではそこで何をしているのか?
考えるための道具を与え、早く正確に最適解を導くための訓練をやってます。
中学受験勉強とは?
実は考えるための道具だけでしたら塾に行かなくても参考書を買ってくれば解決します。
中学入試 算数 塾技100というとても優秀な参考書がありますが、こいつは考えるための道具を過不足なく提供してくれます。
じゃあ塾に行かなくていいのか?と言いますと、極論するとそうなのですが普通は中学受験勉強の仕方なんて分かりません。
条件を発見して、最適解を導く方法を考え、実行する。
たった3つの所作ですが、解くためには色々な方法やパターンがあるので、訓練をいっぱいしないといけません。家庭でできるのであれば良いのですが通常はできませんよね。だから塾が必要だってわけです。
中学受験で必要な能力・身につく能力
では中学受験ではどんな能力が必要で、どんな能力が身につくのでしょうか?
図にしました。
与えられた条件の範囲内で答えを出す能力が身につきます。
家づくりに例えて言いますと、「用意された材料をもとに好きな道具を使って仕様を満たす家を作る」能力です。
こういった訓練を小学生のうちからやるのが中学受験です。これは社会に出ても絶対に役に立ちます。
しかもかなり高度なレベルで学習しますから、条件さえ与えられたら大体は解けるようになるわけです。
裏を返すと条件を与えられないと解けないってわけです。
玉石混交の国会議員と、一律に頭のいい官僚、どっちが威張っているかというと国会議員です。なぜかと言いますと、条件を与える側と与えられる側だからですね。
本当は条件を与える側に回った方が得なのですが、そこまでは中学受験塾でも教えてくれません。
それは本人がいつか気づけばいい話です。
さて、必要な能力は理解いただけましたでしょうかね?
必要な能力は3つです。
条件の発見、考えるための道具、道具の使い方。
どれかが欠けていると成績は悪くなります。
ではどうやって鍛えるのか?
条件の発見
国語だったら問題文に線を引く訓練。算数だったら問題文で与えられた条件を整理する訓練。
どちらも線を引くといいでしょう。
線の引き方は以前に書いたので探してみてください。
考えるための道具
国語だったらパターン別に解く方法を学習するといいですね。算数だったら中学入試 算数 塾技100で道具は手に入ります。
国語はモーフィアス先生が教えてくれます。
道具の使い方
使い方ってのは理屈じゃありません。いっぱい問題を解くと使い方が体に染み付きます。
ただ、条件整理の方法や、考えるための道具が揃っていないとあまり意味がない点には注意しておきたいですね。
木材もトンカチも釘も接着剤もないのに椅子を作るようなものです。いくらジタバタしても椅子は作れません。
最後に
実は1月受験の私立中学の問題をこの3日間くらい解きまくって学校別に対策を書いておりました。
が、思い直して公開するのをやめました。
この時期の小学6年生にそんなものを公開するのは毒にしかならないと思ったからです。
どうか、信じた道を進んでぶち当たってください。
合格したことと同じくらい価値があるのは合格しなかったことです。どちらにしても力の限り頑張った結果だからです。
ではまた来年。
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