【中学受験】楽しい理科第7回 一問一答と解説 生物編②昆虫「昆虫の体・昆虫の定義」

【中学受験】楽しい理科第7回 一問一答と解説 生物編②昆虫「昆虫の体・昆虫の定義」

中学受験理科の生物編②、今回は昆虫の体のつくりと昆虫の定義についてやっていきます。

そこら中にいますよね、昆虫。ほら、あなたのお家の中でも立派なのを飼っていらっしゃる。

 

さて、植物のところでもちょろっと話しましたが、生き物というのはほぼ分類がされております。

植物とか昆虫とかエビとかカニとか、生き物につけられた名前は全て分類の名称です。

 

勘のいい方は気づかれたかもしれませんが、分類ですので必ず何かしらの共通した特徴があります。

昆虫もそうです。昆虫という分類名称を冠した生物にはその生物特有の特徴があります。

ハテ?なんだっけ?という方もクモが昆虫ではないことはうっすら覚えておいでではないでしょうか。

 

なんでクモは昆虫じゃないんでしたっけ?

8本足だし、頭胸部と腹部の2つの部分によって体が構成されているからです。これは昆虫という分類の特徴からは外れております。したがいまして、クモは昆虫ではないという理屈でございます。

 

中学受験理科の「生物」という単元は分類と分類の特徴を覚えることが重要です。正確に分類と分類の特徴を知っていると問題が解けるからです。生物の学習はほぼそれだけと言っても過言ではございません。

ちなみに昆虫というのは「節足動物門汎甲殻類六脚亜門昆虫綱」というグループに所属する生き物のことを指しています。

まるで中国語ですね。

 

訳しましょう。

「節足動物」・・・体に節があって、その節に足が生えている動物。

「甲殻類」・・・体の外側に硬い殻がある動物。

「六脚亜門」・・・足が3対6本ある動物。

「昆虫綱」・・・外顎綱と内顎綱に分けられますが、総称して昆虫綱と呼んでいます。

 

つまり分類上、昆虫とは体に節があって節ごとに足が6本生えており、体が硬い殻で覆われている生き物のことを言います。

 

さて、今回も書くにあたっては文献、論文を参照し、自分の考えは一切入れておりません。

参考文献)

「日本昆虫図鑑 新版 学生版」北隆館

「昆虫という世界―昆虫学入門」日高 敏隆 朝日新聞

「予習シリーズ理科」四谷大塚出版

サイエンスポータルウェブサイト

昆虫工学の基礎 – 山口大学

神戸市立須磨海浜水族園ウェブサイト

一問一答プリント

楽しい理科 生物②昆虫 昆虫の体・昆虫の定義 問題

楽しい理科 生物②昆虫 昆虫の体・昆虫の定義 解答

昆虫の体のつくり

いいかい。これは理屈じゃない。覚えるんだ。昆虫の体は、

頭部、胸部、腹部の3つの部分からなり、胸部に6本3対の足が生えていて、4枚の羽を持つ。

 

さあ、覚えたかい?

どうしていきなりこんなことを覚えるのかって?それは我々人間が勝手にそういう生き物のことを『昆虫』って呼びましょう、と決めたからだ。だから覚えるしかない。

これはルールだ。

 

野球のルールだってそうだろう。なんで打ったフライをとられてしまうとアウトになるんだろう。そりゃ、そういうルールのゲームだからだ。

 

昆虫だってそうだ。

昔の人たちが身の回りの生き物をとっ捕まえて、特徴ごとに分類して名前をつけていった。

その中でも体が3つの部分に分かれていて、6本3対の足があって、羽が4本ある生き物を原則的には『昆虫』と呼ぶことにしたんだ。

 

ところが生き物ってのは必ず例外がある。『昆虫』だってそうだ。羽が2本の昆虫もいれば、羽がない昆虫だっている。

ハエとかカ、アブなんかは羽が2枚しかない。

アリとかノミ、シミに至っては羽がない。

 

ただ、羽が2枚しかなくても、あるいは1枚もなかったとしても体に節があって、節ごとに足が生えていて、かつ6本の足があるという条件は満たしている。

羽が4枚というのはあくまで、大体の昆虫の特徴、というところだ。

 

君は暗記が苦手かもしれない。

一つ、分類を覚えるためのいいコツを教えてあげよう。

 

まずは原則を覚えるんだ。

次に例外を覚える

 

例外ばかりに目を取られていると本質が見えにくくなってしまう。だから、とにかく原則的な特徴を覚える。『昆虫』だってそう。

大体、足の本数にしたって6本じゃなく、4本しかない『昆虫』だっているんだ。

 

なーんだ、教科書は嘘ついてんじゃん!なんて子供っぽいことは言わないでくれ。教科書とか参考書ってのは頭のいい先生たちが君たちに良く理解してもらおうと思って一所懸命作った本だ。

先生たちだって、足が6本じゃない『昆虫』がいることくらい百も承知だ。

でもみんなが混乱しないようにあえて単純化してくれている。

昆虫の器官

頭部

昆虫の頭部にはたいてい、触角がついている。

よーく観察してみると、ちょこまか動かして何かを探っているようだね。

そう、触角は物に触れてその大きさや形、におい、味などを確かめるためにあるんだ。

 

あと、頭部には目がついている。2種類ある。ただし、2つで役割が違う。

複眼は小さな目がいっぱい集まったもので、周りにある物の形とか色を識別している。

単眼は光の方向を感じたり、明るさを感じ取っている。通常は3個ある。

 

下でトンボの複眼と単眼を図示してみたので参考にしてみてくれ。

トンボの複眼と単眼

胸部

『昆虫』の胸部には足が生えている。何本だったか覚えているかい?

 

6本だ。

 

それから羽は通常何枚あったっけ?そうだ、4枚だ。

 

まずは基本から覚えよう。次に例外だ。

羽が2枚の昆虫は何だったかな?

ハエ、カ、アブだったね。

 

羽がない昆虫は言えるかな?

アリ、ノミ、シミだ。

 

基本と例外。こういった関係性で分類を覚えていこう。

腹部

『昆虫』の胸部には気管と気門がある。

呼吸をするのは気管で、空気の通り道になっているのが気門だ。

 

人間で言うところの肺と鼻の穴の関係だね。

 

呼吸ってのは、空気を吸うだけの営みじゃない。空気中の酸素を体の中に取り入れることを呼吸という。だから、空気の通り道に過ぎない気門は呼吸のための器官じゃなくて、ただの通り道だ。

 

ちなみに生物は呼吸をすることで何をしているんだろうか?

植物のところでもやったね。

 

そうだ、酸素を取り入れて体の中でエネルギーを作り出すために呼吸を行なっている。

 

酸素ってのは猛毒だが、他のものとくっつきやすい性質を持っている。そして、くっつく時にすごいエネルギーを出す。そのエネルギーを使って、地球上の生き物ってのは生きているわけだ。

生き物って種類が多すぎない?

植物も昆虫もそうだけど、本当に種類が多いよね。一つ一つ覚えていたんじゃ大変だ。

だから分類がある。

 

アブラナと同じ性質を持った植物はアブラナ科としてまとめられる。キャベツもハクサイもダイコンもアブラナ科。だから、花弁は4枚しかない。一つずつ覚えていたんじゃ大変だよね。

 

昆虫だって分類っていう技術を使うと、覚えることが途端に少なくなる。甲虫ってまとめられる昆虫には共通の特徴があるし、チョウ、バッタ、それからみんなの苦手なあいつも同じ特徴を持った昆虫として分類されている。

 

昆虫一つ一つを覚えていくと大変だけれども、分類で覚えていくとわりかし楽だ。それに応用もきく。

 

中学受験の問題では、見たことも聞いたこともない昆虫の特徴を答えさせるような問題が出てくる。

ところがヒントはある。

昆虫の名前からどのグループなのかが想像できるんだ。

 

どのグループに属するのかが分かれば、あとはそのグループの昆虫の特徴を思い出して当てはめていけばいい。全部覚える必要はない。グループを覚えちゃえば中学受験で出てくる昆虫の問題は解けるようになっている。

なぜこんなにも沢山の虫がいるのか

最後にちょっとだけ受験とは違う話をしよう。

どうしてこんなに沢山の名前を持った、特徴が異なる虫がいるのか疑問に思わないかい?

 

生物というのはちょっとした手違いで変化してしまう。突然変異ってやつだ。

 

一般的に生物は多様性を獲得することで生き残ってきたと言う。

強い者が生き残るのではない、変化する者が生き残るのだ、と言う人も多いね。

とくに会社の社長さんなんかはこういうことを本当に良く言う。あんたが一番変わらないのにね、なんて口が裂けても言っちゃいけない。怒られちゃうよ。

 

だが、事実としては間違っている。変化する者が生き残るわけじゃない。

結果として生き残った者は環境に適応した変化をしていた

つまり、結果論だ。

 

そもそも変化とは何だろう。一言で言っちゃうとエラーだ。

生物ってのは自分の細胞をコピーして大きくなったり、増えていったりする。コピーする元になるのが遺伝子、そう、DNAだ。生物の設計図だね。

 

ところが、コピーを間違えちゃって、一部分が欠けていたり、一部分を間違えてコピーしちゃうこともある。

すると変化が起きる。

 

変化というのは間違え、つまりエラーから起きる。怖い怖いガンという病気だってエラーが原因だ。

 

話を戻そう。

昆虫もエラーを起こす。今までとは違った特徴を持った昆虫が誕生するってわけだ。それは違う名前で呼ばれたりする。しかも昆虫というのは個体数が圧倒的に多い。エラーが頻繁に起こるんだ。

結果として、昆虫の名前はたくさん。分類もたくさん。

 

分かったかい?

次回は昆虫の分類をやっていこう。体系的に覚えてしまうんだ。

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