【中学受験】楽しい理科第2回 一問一答と解説 生物編①植物 「いも」
前回は「種子と発芽」でした。今回は「いも」です。
いもは普通の中学受験参考書・テキストではあまり解説量が多くないのですが、種子と混同しやすいかと思い1回分を使って解説していっている次第です。
例によって解説、一問一答の作成にあたっては必ず文献・論文を参照し一切自分の考えを入れておりません。
参考文献)
「新しい植物分類学 1」日本植物分類学会/監修 講談社
「新しい植物分類学 2」日本植物分類学会/監修 講談社
「しくみと原理で解き明かす 植物生理学」佐藤直樹/著 裳華房
「しぜん キンダーブック いも」麻生健州/指導 斎藤雅緒/絵 フレーベル館
「予習シリーズ理科」四谷大塚出版
2014年ジャガイモの実がなりました。2015年種を蒔いてみました(ウェブサイト)
一問一答プリント
いもと種子
種子から芽が出てくるのは知ってるよね?じゃ、いもってなんなんだ、って疑問に思わなかったかな?
いもって種子なのかも、なんて思ってると大間違い。いもは種子じゃない。
いもってのは根とかくき(地下茎)に養分を溜め込んで作られたものなんだ。
ちなみにジャガイモとサツマイモ、同じいもでも実は違う。
ジャガイモはくき(地下茎)で、サツマイモは根だ。
ジャガイモと同じく、くき(地下茎)に養分をたくわえる植物はこんな感じだ。
ヤマノイモ、サトイモ、クワイ
サツマイモと同じく、根に養分をたくわえる植物はこんな感じ。
ダリア、ラナンキュラス
参照元 環境研ミニ百科 ジャガイモは根っこか、それとも茎か?
ダリアやラナンキュラスは普通はいもとは言わずに球根と呼ぶよね。球根もいもと同じく養分をたくわえて作られるんだ。
ちなみに、みんながよく知ってるチューリップ。あれは「球根」と言っているけど根じゃない。葉っぱだ。みんなが食べてるニンニクやタマネギもチューリップと同じく葉っぱなんだ。
いもの発芽
いもの発芽条件わかるかな?
水、空気(酸素)、適当な温度の3つだ。これは種子と変わらない。でもいもは種子と違って胚がない。くきとか根には胚はないよね。だから種子のように胚が水を吸ってジベレリンを出すわけじゃないんだ。
根やくきそのものであるいもが、蓄えられた養分を使って発芽(根やくきを発生させる)のエネルギーを作る。これがいもの発芽だ。
発芽(根やくきを発生させる)のときに養分を使うから種イモは発芽後だんだんしぼんでくる。
発芽(根やくきを発生させる)ってのはめちゃくちゃ労力を使うことなんだね。
いもの養分
ジャガイモ、サツマイモの中にたくわえられた養分は主にデンプンだ。
デンプンを糖分に分解して、エネルギーに変えるためには酸素が必要だね。これは種子のところで話をしたから知らなければ見といて欲しい。
あと、水はデンプンを糖分に分解するときに必要、そして適当な温度じゃないとせっかく発芽しても枯れてしまう。
だから、いもの発芽にも種子と同じ3条件が必要だ。でも、いもと種子とでは3条件のうち水が必要な理由が少し異なっている。種子はジベレリンを出すために必要。いもはデンプンを糖分にするために必要なんだ。
こんなことは中学受験では多分問われないけども覚えておいて損はないよ。
土や肥料はもちろんいらない。だって、いも自体に発芽(根やくきを発生させる)のために必要な養分があるから。
デンプンはどのようにたくわえられるか
ジャガイモやサツマイモにデンプンがたくわえられているって言ったけど、どうやってたくわえられるんだろう?
葉っぱで光合成を行ってつくられたデンプンが夜の間に糖類に姿を変えて、師管を通って地面の下まで移動し、地面の下で再びデンプンに姿を変えてジャガイモやサツマイモになる。
こういう仕組みなんだね。
デンプンってやつはそのままじゃエネルギーにならないけど、長期的に保存するには向いているんだ。だから、すぐにエネルギーになるブドウ糖のまま保存するんじゃなくて、一度デンプンに変えてからたくわえておく。
ジャガイモやサツマイモは長期保存されることを見越してデンプンとして養分をたくわえている。戦略家だね。
ちなみにヨウ素液をジャガイモやサツマイモに振りかけると青むらさき色になるのはデンプンにヨウ素液が入り込むからだ。ブドウ糖だったら青むらさき色にはならない。
あと、同じデンプンでもジャガイモとサツマイモでは形が違うってのも覚えておいた方がいいかもしれない。ちょっと絵が下手だから、図鑑を見てちゃんと確認した方がいいけどね!
ジャガイモ、サツマイモの花、実、種子
ジャガイモやサツマイモに花、実、種子はあるのか気にならなかったかい?いも自体で発芽するんだから、花も実も種子もいらないって普通は思うよね。
すごいこと言うよ。
ジャガイモやサツマイモはいもから芽が出るだけじゃなく種子からも発芽する。
見たことあるかな?ジャガイモ、サツマイモの種子。
下のリンクから写真で見ることができる。
じゃあ、なんでジャガイモやサツマイモを学校で栽培するときは種イモを使うんだ?って思わなかったかい?
その理由は2つある。種子ができにくいから、種子自体があまり流通してないんだ。しかも種イモから作った方がでかいいもができる。つまり、種子から栽培してもいいんだけど、人間の都合で種イモを使ってるだけなんだ。
上のサイトで紹介している実とか種子ってのはレアアイテムだ。ぜひ目に焼き付けて欲しい。
そして上のジャガイモのサイトで実と種子を紹介している人の家では、なんと種子がなり、その種子を植えた。
で、いもができた。卓球のピンポン球くらいの大きさのジャガイモだ。
みんなが好きなカレーライスをつくるのに何個ジャガイモが必要になるのかわからない。
だから、種イモからつくるようにしてるんだ。
OK、いもについては分かったかな?本当はもっと勉強すると、いもについて深く理解できる。気になるなら調べてみて欲しい。そうやって自分の力で身につけた知識はなかなか忘れない。
忘れなければテストでいい点数が取れる。
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