【中学受験】楽しい理科第9回 一問一答と解説 生物編③昆虫「チョウの生態」

【中学受験】楽しい理科第9回 一問一答と解説 生物編③昆虫「チョウの生態」

楽しい理科、第9回「チョウの生態」です。

 

昆虫の中でもわざわざチョウを取り上げるのは他の昆虫よりも出題される頻度が高いからです。

一問一答にごくごく基本的な事柄を問題として載せましたので、まずは問題を解きつつ単純暗記をしてしまいましょう。

それだけだと時間が経つほど覚えたことを呼び出せなくなってしまいますので、仕組みや関連性を覚えるために解説を読んでみてください。

 

分かる!なるほど!という経験を通じて、理科という科目の楽しさを知って頂き、テストでいい点数を取れるようになって頂けるととても嬉しいです。

今回も自分の考えを一切入れず、一問一答と解説を行ってまいりたいと思います。

参考文献)

「日本昆虫図鑑 新版 学生版」北隆館

「昆虫という世界―昆虫学入門」日高 敏隆 朝日新聞

「予習シリーズ理科」四谷大塚出版

九州大学 農学部 大学院生物資源環境科学府 大学院農学研究院ウェブサイト

北海道大学 農学部/大学院農学院/大学院農学研究院ウェブサイト

J-STAGEウェブサイト

農研機構ウェブサイト

JT生命誌研究館ウェブサイト

一問一答プリント

楽しい理科 生物②昆虫 チョウの生態 問題

楽しい理科 生物②昆虫 チョウの生態 解答

モンシロチョウとアゲハチョウの卵

不思議だと思わないかい?

なぜモンシロチョウはアブラナ科の植物の葉に卵を産み、アゲハチョウはミカン科の植物の葉に卵を産むのだろうか?

 

チョウにアブラナ科やミカン科の植物を見分けるような仕掛けがあるからに違いない。それは何か。

ふ節だ。

 

チョウの成虫は前脚の先端にある「ふ節」という部分を使って、植物に含まれる化合物(産卵刺激物質)を認識し、その植物が卵を産むべきか産まざるべきかを判断している。

 

では、チョウが卵を産むためのきっかけとなる植物の化合物を幼虫の食物として適していない葉っぱに塗るとどうなるか?

チョウは幼虫の食物として適していない植物に卵を産む。

 

ここから分かるのは、チョウが複眼を使って植物を見分けているのではないということだね。

 

チョウはふ節を使って幼虫の食物として適した植物を特定し、そこに卵を産む。一般的には葉の裏側だ。他の昆虫や動物などから目立たないようにしているんだね。

モンシロチョウとアゲハチョウの幼虫

モンシロチョウの幼虫はアブラナ科の植物の葉を食べ、アゲハチョウの幼虫はミカン科の植物の葉を食べる。

なぜだろう?

 

楽しい理科第8回でも話をしたけれども植物には毒素がある。アブラナ科の植物だとカラシ油、ミカン科の植物だとフラボノイド酸という物質がそれに当たる。

モンシロチョウの幼虫はカラシ油を分解できるけれども、アゲハチョウはできない。逆もまたしかりだ。

 

というわけでチョウの幼虫は特定の植物の葉っぱを食べるし、成虫は幼虫が食べられる植物に卵を産む。すごく合理的だ。

 

チョウは生まれてすぐに自分の卵のからを食べる。この理由については色々な意見があるのだけれども、卵のからには幼虫が必要な物質が含まれている、ということらしい。

栄養分をとるだけだったら、葉っぱからデンプンを摂取できるし、わざわざ卵のからを食べる必要はないというわけだ。

 

ちなみにチョウの幼虫はアオムシとも呼ばれる。緑色っぽい体をしているからだね。

ところが、1令幼虫の体の色は緑色ではない。薄い黄色だ。

葉っぱを食べるうちに緑色に変化していく。

 

昔、小学校の先生から「緑の葉っぱを食べることでチョウの幼虫は緑色の体になる」と言われたのを僕は覚えている。

それから30年経って、それが間違いだということを知った。

 

幼虫の緑色は葉っぱの緑色ではない。

 

ところで葉っぱはなんで緑なんだろうか。そうだね。葉緑体(クロロプラスト)に含まれる葉緑素(クロロフィル)が緑色だからだ。

しかし、チョウの幼虫は葉緑素(クロロフィル)を吸収することなく、フンとして排出してしまう。幼虫の緑色には葉緑素(クロロフィル)は関係ないってわけだ。

 

正解を言ってしまおう。

チョウの幼虫の緑色は、植物の葉から得られるカロチノイド(黄色)、脂質を運搬するリポホリン、体内で合成されるビリン系色素(青色)が混ざり合ってできている。

葉緑素(クロロフィル)ではないってことだ。

 

試験には出てこないし、こんなことは大学に行かないと教えてくれないけれども覚えておいて損はない。正しく仕組みを知るのが楽しい勉強の第一歩だ。

モンシロチョウとアゲハチョウの脱皮

モンシロチョウもアゲハチョウもさなぎになるまでに5令幼虫まで成長する必要がある。4回脱皮するってわけ。

5令なのに4回脱皮ってのはこういうわけ。

 

1令→脱皮→2令→脱皮→3令→脱皮→4令→脱皮→5令

 

さあ、脱皮は何回したかな?そうだ、4回だ。

 

脱皮というのは読んで字のごとく、「皮を脱ぐ」行為なのだけれども、正しくは皮を脱ぐのではなく殻を脱いでいる。

昆虫という生き物は外骨格を持っている。君にも骨はあるよね?それは体の外側にあるかな?内側かな?

もちろん内側だね。ところが昆虫は外側に骨格を持っている。

 

骨格というのは生き物の形を維持するために必要なものだ。昆虫はそれを体の外側に持っているんだ。

 

もちろん、チョウの幼虫にも外骨格はある。この外骨格はクチクラという物質によってできている。クチクラはキューティクルとも呼ばれる。昆虫だけじゃなくて人間もクチクラはあるよ。髪の毛の表面はクチクラで覆われている。

 

クチクラは主にキチン、タンパク質、炭酸カルシウムという物質によってできている。キチンという物質をタンパク質や炭酸カルシウムがおおうことによって硬い外皮を作り出しているんだね。

 

クチクラでできた外骨格は体を維持したり、外敵から身を守るためには有効だがデメリットもある。

硬いので大きくなるときには邪魔になるんだ。

 

幼虫は栄養分を体に取り込み、成虫になるための準備期間だと言える。必然的に大きくなるってわけだ。

だが、外骨格が邪魔で大きくなれない。そこで脱皮だ

 

幼虫の体の表面を図にしたので見て欲しい。

幼虫のクチクラ、真皮細胞

一番下の真皮細胞はクチクラ内層と通常は結合している。だが、栄養を沢山とって体が大きくなってくると外骨格(つまりクチクラ外層と内層)が邪魔になってくる。

そこで何が起きるかというと、真皮細胞はクチクラ内層を分解する酵素を分泌して、クチクラ内層を溶かす。すると結合していた真皮細胞とクチクラ内層の間に隙間が生まれるわけだね。その隙間に真皮細胞が新しいクチクラを作るんだ。

 

クチクラ内層は分解されるんだけども、分解された物質は真皮細胞に取り込まれて新しいクチクラを作るのに使われる。

無駄がないね。

 

で、本当に不要な外骨格の部分が脱皮のときにはからとして脱ぎ捨てられる。

 

これが脱皮だ。

 

脱皮が起きるのはエクダイソンと幼若ホルモン、そしてホルモンの分泌をコントロールしている神経ペプチドの働きによる。この辺りは第8回の楽しい理科で書いているから併せて読んでみてほしい。

 

脱皮の仕組みについては分かったかな?ちなみにこれは大学レベルの知識だ。中学受験では絶対に出てこない。本当のことを知るのに大学まで待たなきゃいけないなんて学校教育ってやつはどうかしてると僕は思うよ。

モンシロチョウとアゲハチョウのさなぎ

さなぎになる仕組みと脱皮の仕組みはほぼ同じなんだ。

エクダイソンと幼若ホルモン、どちらが強く働くかによって脱皮かさなぎかが決定される。

 

エクダイソンは成熟を促すためのホルモン、幼若ホルモンは成熟を抑えるためのホルモン。脱皮のときは幼若ホルモンが強く働き、さなぎになるときはエクダイソンが強く働く。

 

ところで幼若ホルモンが分泌されるのはアラタ体という部分だけれども、こいつを切除してしまうと幼若ホルモンが分泌されない。だから、4令幼虫がさなぎになっちゃったりするんだ。

 

でもそいつは不都合だ。

 

なぜなら成虫として立派にやっていけるだけの体ができていないからだ。幼若ホルモンの働きによって幼虫は、成虫にふさわしい体になるまでさなぎでいるってわけだね。

 

また、さなぎというのは無防備な形態でもある。抵抗ができないから他の昆虫や動物からしたら格好の獲物ってわけだ。

簡単に獲物になってたまるか、というわけで葉の近くでさなぎになるときは緑色木にひっついてさなぎになるときは茶色と、色を変えて敵の目をあざむいている。

成虫

モンシロチョウの成虫も、アゲハチョウの成虫も花のみつを吸うと教わるよね?ただ、吸うのは花のみつだけでなく、樹液など、自身のエネルギー源となるものであれば吸ってエネルギーを取り入れる。

 

成虫の目的は繁殖だ。

 

繁殖するために他のオスやメスを探して飛ぶ。そのためにはエネルギーが要るよね。花のみつ以外だってエネルギーは摂取できる。食べ物が花のみつだけに限らない理由だ。

 

みんなは、モンシロチョウ、アゲハチョウが越冬するときはさなぎになると教わっているんじゃないかと思う。だから、チョウはさなぎで冬を越すんだと思っているかもしれない。

 

それは違う。

 

チョウの中には卵で越冬するのもいるし、幼虫で越冬するのもいるし、成虫で越冬するのもいる。たまたま、試験でよく出てくるモンシロチョウやアゲハチョウがさなぎで越冬するってだけなんだ。

 

冬になると木の幹に隠れて寒さをやり過ごす成虫もいるし、暖かいパラダイスめがけて何千キロも離れた南の島を目指すチョウもいる。

ファンタスティック!

 

いいかい、普通は僕が書いていることは小学生には教えてくれない。それどころか大抵の先生は知らない。受験にも出ない。

 

でもね、聞いてほしい。

 

仕組みやカラクリを知るってことは楽しいことだ。せっかくだったら楽しく学んだ方がいい。本来は勉強っていうのはそういうものだ。

 

勉強しようとしている教科を好きになって欲しい。そうしたら勝手に成績が上がってるはずだ。そうなってくれることを望んでいるよ。

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