【中学受験】国語の読解問題訓練 基本動作と教え方
先日、国語の先生とお話をしていたときのことです。
「読解問題が苦手な子はどうしたらいいんスかね?」
「初めて見る文章をたくさん読んでたくさん解いたらいいと思いますよ」
「量ですか。それで解決します?」
「多分しませんね。そもそも学校の授業で読解訓練なんてしてませんから」
「え?」
「授業では教科書の指導書をもとに展開しますよね。で、テストでは教科書から出題しますよね」
「まぁそうなりますよね」
「そうすると国語のテストは授業の内容、つまり指導書の内容を覚えていたかどうかのテストになるんですよ」
「記憶の再現テストってわけですね」
「ノートに書いてあることを覚えるのが一番のテスト対策になるわけで、これで読解力なんてつくわけありません。読解は技能です。ですからテストは技能を再現するものにすべきなんです」
いきなり当事者がご自分を全否定していらっしゃり、泡を吹いて倒れそうになりました。
そう言われますと、たしかに読解力に不自由されている方は結構いますね。
たとえばヤフコメとか。
ヤフコメの特徴は3つあります。1.不正確な知識、2.論理の飛躍、3.根拠のない断定。
1.不正確な知識:中学受験は開成、麻布等に合格するのを至上命題とする、塾による課金ゲームだ。
2.論理の飛躍:課金ゲームであるがゆえに、そこに子どもたちの意思は反映されない。
3.根拠のない断定:塾による教育ビジネスが子どもたちの意思を奪い取り、今の日本をおかしくしているのは明らか。
といった具合で、人の話をちゃんと聞かないでご自分の心情を高らかに表明するのがヤフコメ流なのでして、あれを読んでいると読解力が落ちるような気がいたします。ちなみに上の3つの文章をくっつけるとヤフコメっぽくなります。
読解はまず人の話(文章)をちゃんと聞く(読む)ところから始まります。いきなりご自分の意見で他人をぶっ叩こうとするのはお行儀が悪いわけです。
なお、ヤフコメっぽさを更に出そうとするなら「言語道断」とか「一目瞭然」みたいな切れ味のいい四字熟語を使うといいです。きっと我が国伝統の相撲道の影響を受けているのでしょう。
さて、ちゃんと文章を読むのには訓練が必要です。
「読みまくればいい?」
いえ違います。
答え合わせをしなきゃいけません。
読解の訓練ってのは「自分の認識」と「正解」をすり合わせていく作業です。
ですから読みまくるだけですと「正解」にはたどり着けません。
要するに冒頭にあげました、
「初めて見る文章をたくさん読んでたくさん解いたらいいと思いますよ」
って発言は「自分の認識」と「正解」をすり合わせる訓練をたくさんするといいよ、ってなわけですね。
ところが一方で、「それだけでは解決しない」とも仰っております。
一体どういうことなんでしょう?
読解の基本動作
型を習っていない状態で練習をしても間違った型を覚えてしまう結果となります。
ですから問題量をこなすだけでは正しく型を習得できないんですね。つまり国語の成績は横一直線、ピクリとも動きません。
国語読解問題を解くための基本動作は「読む」「探す」「言い換える」の3つです。
読解問題を「読む」訓練
当たり前すぎてわざわざ言うほどでもないのですが、国語の読解問題の基本動作、1つ目は「読む」です。
ところで「読む」ってなんですかね?何をすれば「読む」が達成されるのでしょうか?
字面を追うだけは「読む」ではなくて「見る」です。一心不乱に文章を読んでいる様子でも、見ているだけかもしれません。
「読む」と私達が言葉にするとき、その本当の意味は「理解する」です。
↓よくある親子のやりとり
母「学校からのお便りは読んだ?」
子「読んだよ」
母「で、新学期からは何が必要だって?」
子「え?知らない」
母「ほら、読んでないじゃない!」
子どもは「読む=字面を追う」と理解していて、お母さんは「読む=理解する」のを求めているから、こんなすれ違いがおきます。
つまり、読解問題を「読む」とは「理解する」のことです。
では、読解問題を「理解する」ってなんでしょうね?
一言で言いますと「要約できる」です。
物語でしたらテーマ、説明文でしたら著者の意見、読み終わった後にテーマや著者の意見を言えると一応は「理解した」と言えるでしょうね。
中学受験の国語で出てくる物語のテーマとしてよくあるのは「勇気ある少年たちの成長」だったり「思春期を迎える女の子たちの友情と葛藤」だったり「酒と泪と男と女」だったりします。
説明文でよくある著者の意見は「人の力だけでは環境問題は解決しない」だったり「文字の発明によって文明は発達した」だったり「飲んだ日の翌朝は頭が痛くなりがち」だったりします。
これって、何かに似てません?
そうです、本のタイトルです。
つまり、読むときに「タイトルをつける」のを意識すると「理解する」読み方になります。
漫然と読んでも仕方ないですし、技巧的に読むのは小学生っぽくありません。ってか小学生は技巧的に読めないものと思っておいたほうがいいでしょうね。
ですので、やたらと技巧的に読む練習をするよりは「タイトルをつける」練習をするといいでしょう。
あ、でも「蝉しぐれ」とか「渡良瀬橋」みたいなタイトルはだめですよ。昭和っぽいですし、どんな話なのかさっぱり分かりません。ここは令和風にライトノベル的なタイトルをつけるよう心がけましょう。
たとえば「少年たちが力を合わせて困難に立ち向かったら全員少しだけ大人になってた件」みたいなのがいいですね。
いいタイトルと悪いタイトルの例)
×「渡良瀬橋」
○「私、地元を離れるのは嫌なの」
ちなみに渡良瀬橋は栃木県足利市にあります。足利市はいいところだとは思いますが、未練たらたらになるくらい好きだった恋人と別れてまで執着するような場所ではありません。きっと別の理由があるのでしょう。悪い女ですよ。
更にいいますと森高千里は大阪生まれで熊本育ちです。栃木とも群馬とも何の関係もありません。歌詞にある渡良瀬橋とはいったい、どこの渡良瀬橋なんですか!
と、前述の国語の先生が憤りながら仰っておりました。
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