童謡「赤とんぼ」読解・解説ー中学受験国語で満点をとる読解ロジック

童謡「赤とんぼ」読解・解説ー中学受験国語で満点をとる読解ロジック

この記事を読むと身につく読解能力

  1. 文章で書かれていないことを推測する能力
  2. 文章に書いてあることから状況や心理を推測する能力

童謡 赤とんぼの読解・解説

歌詞

夕やけ小やけの 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か

山の畑の 桑の実を
小籠に摘んだは まぼろしか

十五で姐やは 嫁に行き
お里の便りも 絶えはてた

夕やけ小やけの 赤とんぼ
とまっているよ 竿の先

引用元 赤とんぼ 作詞:三木露風

第一段落の読解

夕やけ小やけの 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か

「夕やけ小やけ」は「赤とんぼ」にかかっています。ここでは「赤」という色が「夕やけ小やけ」と対比されていることにより、この場面での夕日が赤いことを示唆しています。

赤とんぼが飛んでいるのは夏の終わりから初秋にかけてですから、赤い夕日(沈みかけの太陽)となるのは午後の5時〜6時くらいです。

 

「負われて見たのは いつの日か」と言っていることから、これは一人称の歌詞です。いつの日だろうか、というのはある主体が過去を思い出そうとしています。したがって一人称と判断します。

 

ここで現れた「赤とんぼ」は過去の思い出の中の「赤とんぼ」でしょうか?それともこの歌詞の主体が今まさに目の前で見ている「赤とんぼ」でしょうか?

この歌の最後で「夕やけ小やけの 赤とんぼ とまっているよ 竿の先」と歌っているので、今まさに目の前で見ていると分かります。もし過去の出来事であれば「とまっているよ」ではなく、「とまっていたよ」と歌うはずです。

 

「負われていた」というのは「背負われていた」という意味です。つまり、過去において一人称の主体が誰かに背負われていた=おんぶされていた状況を表しています。

 

これらをつなげますと第一段落はこのような歌詞に変換されます。

「夕焼どきに私の目の前で飛んでいる赤とんぼ。おんぶされながら私が見ていたのはいつの頃だろうか」

第二段落の読解

山の畑の 桑の実を
小籠に摘んだは まぼろしか

山にそのまま畑を作ることはできませんから、これは段々畑のことを指していると理解します。

その畑では桑の実を栽培しています。

そして私は小籠に桑の実を摘んでいましたが、その出来事は「まぼろしか」と歌っています。

 

「まぼろし」ですから、歌の主体も桑の実を摘んだ記憶が正しいものかどうか分からないということです。

この状況となるには、以下の2つの可能性が考えられます。

1.山の畑がなくなってしまった

2.山の畑に行くことができなくなってしまった

 

しかし第二段落ではいずれかが判別つきません。第三段落に移りたいと思います。

第三段落の読解

十五で姐やは 嫁に行き
お里の便りも 絶えはてた

「十五で」がこの歌を歌う主体の年齢なのか、「姐や」の年齢なのかは判断しにくいですが、「姐や」にかかっていることから「姐や」の年齢が十五であると判断します。

さて、「姐や」というのは誰でしょうか?もし実の姉であれば「姉や」となります。

「姐」は血の繋がっていない女性に対して用いる言葉です。したがって、ここでいう「姐や」は実の兄妹ではない人物です。

 

「姐や」は何者なのか、その答えは次の歌詞で明らかにされます。

「お里の便りも絶えはてた」です。

「お里」は自分の故郷ないしは自分の実家のことです。「便り」は手紙のことですので、故郷からの手紙=実家からの手紙と理解するのが自然です。

そのまま訳すと「自分の実家からの手紙も来なくなってしまった」です。

 

さて、「姐や」が嫁に行ったことにより「手紙が来なくなってしまった」ことから「姐や」は嫁に行く前には実家にいたものと判断できます。

実家にいる親族でない女性ですから、「姐や」はお手伝いさん、もしくは女中であると考えられます。

 

ここでおかしなことに気づきます。この歌の主体は実家でお手伝い、もしくは女中をしている女性から手紙を受け取っています。もしこの人物が実家にいるのであれば、「姐や」は手紙を送る必要がありません。

したがって、この歌の主体は何らかの事情で実家ではない場所にいると考えられます。

歌の主体はあえて「姐や」と言っていることから、このお手伝いさん、ないしは女中よりも年下であると判断できます。

15より下の子供が実家ではない場所にいる理由として考えられるのは以下の3つです。

1.奉公に出された

2.両親が離婚した

3.家出した

 

手紙が届いていることから歌の主体は手紙を受け取れる場所にいます。3はありません。

手紙は「姐や」が書いています。奉公に出していただけだとしたら実家の両親から手紙が届かないのは不自然です。したがって、1は可能性が低いです。

したがって2が最も可能性が高いです。

 

第二段落で1.山の畑がなくなってしまった、2.山の畑に行くことができなくなってしまった かのいずれかの可能性があると言いましたが、これは両親が離婚してしまったことでこの人物が実家に帰れない状況となったと理解するのが自然であり、正解は2です。

 

これにより第二段落、第三段落の歌詞を訳すことができます。

第二段落

「今は見に行けなくなってしまった段々畑。そこで栽培していた桑の実を摘んで小さなカゴに入れていった思い出は本当にあった記憶なのだろうか」

第三段落

「15歳でお手伝いのおねえちゃんはお嫁に行ってしまった。それ以来、実家からの手紙も来なくなってしまった」

第四段落の読解

これはそのままですね。本来は深い意味があるのかもしれませんが、この歌詞のみでは判断できません。

「夕焼けどきの赤とんぼが今私の目の前で竿の先に止まっている」

童謡「赤とんぼ」の主題

第一段落から第四段落までを繋げます。

「夕焼どきに私の目の前で飛んでいる赤とんぼ。おんぶされながら私が見ていたのはいつの頃だろうか。今は見に行けなくなってしまった段々畑。そこで栽培していた桑の実を摘んで小さなカゴに入れていった思い出は本当にあった記憶なのだろうか。15歳でお手伝いのおねえちゃんはお嫁に行ってしまった。それ以来、実家からの手紙も来なくなってしまった。夕焼けどきの赤とんぼが竿の先に止まっている」

この歌詞の主題は、

「ひょんな出来事により今は帰ることのない故郷を思い出す」

です。

 

誰かにおんぶされていたことも、桑の実を摘んでいたことも、15歳のお姉ちゃんの記憶も、「赤とんぼ」を見たことにより思い出されます。

そして思い出に耽っていた歌の主体は一瞬にして目の前の現実に引き戻されます。

最後の歌詞で、それまで自分の過去が蘇っていた歌の主体が急に目の前の赤とんぼが竿に止まっている様子に引き戻されるからです。

で、中学受験の国語を解く方法は教えてくれないわけ?

解く技術を教えないわけ

中学受験の国語の「解く技術」で覚えることはそう多くはありません。教えようと思えばすぐにでも教えられますし、「解く技術」を覚えれば短期に成績を上げることができます。

ただ、「解く技術」だけでは満点は取れません。私は100点を目指して欲しいのです。国語は絶対に満点を取れる教科ですから。

「解く技術」を学べば短期で成績が上がりますが、難関校における本質的な国語の理解を問う問題では太刀打ちできません。

 

ちなみに国語の問題は3パターンしかありません。

1.傍線部の意味を説明、または選ばせる問題 = 説明問題

傍線部の記述の背景となる事実や事象、著者の主張を文章中から拾ってきて、説明になるように再構成することにより解ける問題です。

2.傍線部の理由を記述、または選ばせる問題 = 理由問題

文章の論理構造上、傍線部の記述を導くための裏付けとなる事実や事象、著者の主張を文章中から拾ってきて、傍線部の理由となるように再構成することにより解ける問題です。

3.傍線部を別の言葉で言い換える、または選ばせる問題 = 同義問題

傍線部の記述と同様の意味を持つ事実や事象、著者の主張を拾ってきて、傍線部と同じ意味になるように再構成することにより解ける問題です。

※傍線部は空欄、もしくは文章全体からという形態になっていることもあります

国語の問題パターンはこれだけ

勢い余って国語の問題パターンを書きましたが、これだけです。これに対処できる能力を身につければ良いわけです。「読む技術」による読解で文章を構造的に理解し、著者の言いたいことや登場人物の心の移り変りを把握して、上記のパターンに当てはめると国語の問題は解けます。

国語の問題への小手先の対処法

  1. 傍線部に関する問題が出てきたら、まずは傍線部の前後を見て答えのパーツを探します。
  2. 次に傍線部の段落内に答えのパーツがないか探します。
  3. 次に傍線部の前後の段落に答えのパーツがないか探します。
  4. 最後に文章構造から傍線部と同じ主張や登場人物による同種の行動様式がないかを探します。

 

はい、小手先の対処法です。これだけでもおおよそ解けちゃいます。

 

ただですね、これは超表面的なテクニックであり、少々凝った問題には対処できません。まあ短期で成績は上がりますけどね。

ところが「読む技術」は少々習得の手間が要ります。ですからまずは時間のかかる「読む技術」を鍛え、十分に「読む技術」が身についたところで「解く技術」をささっと覚えてしまう、という順序で学習した方が良いと考えています。

「解く技術」を教えるのは容易いですが、そのことによって少々点数が上がって満足してしまうよりは国語の本質を身に付け、満点を安定して取る方が望ましいと私は考えています。

解く技術だけで以下の問題に答えられますか?

国語の「解く技術」をいくつか紹介しました。では紹介した「解く技術」を使って、「読む技術」なしに以下の問題を答えられますか?

・この人物が赤とんぼを見ていたのは何時頃だと推測されますか?

・この人物は実家に住んでいますか?そうだとしたらその理由を答えてください。

・「姐や」はどんな人物だと考えられますか?

 

絶対に答えられません。

表面的なテクニックでは答えられない問題が難関校では出題されます。

それに対応するには絶対に「読む技術」が必要なのです。そして満点をとるのです。

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