小学校卒業式の袴着用 禁止理由は費用や体の負担でなくややこしい人の存在
知り合いの小学校で次年度より卒業式での袴着用が禁止となりました。とても興味深かったので小学校からのお達しのプリントを見せてもらいました。
「次年度の卒業式より過度に華美な服装(袴など)を控えて頂きますよう保護者の皆様にはお願い申し上げます」
とのこと。
袴など、って言いますか袴狙い撃ちですよね。これ。
ニュース等で小学校卒業式の袴問題について知ってはいたものの、身近なところで禁止のお達しがあるとは驚きでございました。
何がいけないのか、どうして問題になっているのかよく分からなかったので調べてみましたよ。
小学校卒業式での袴着用禁止の理由
①袴を着られない経済状況の家庭を考慮せよ
おおっと出ました、「人の気持ちを考えろ」というご意見。
どうやら今回の「人の気持ち」とはお金がなくて袴を着られないご家庭のお嬢様と保護者様の気持ちを考えろ、ということらしいです。
ほほう、ということは袴って高いんですね。
本当なのかどうかよく分かりませんので、小学生が卒業式で着用する袴のレンタル価格を調べました。
レンタル業者名 | レンタル価格 |
RENCA | 9800円〜29800円 |
京都着物レンタル夢館 | 10800円〜43200円 |
HAKAMA GIRLS | 13800円〜49000円 |
京都かしいしょう | 14800円〜29800円 |
※2018年10月21日調べ
大体、10000円から50000円くらいの範囲で振袖と袴をレンタルできるようです。ちなみに上記価格で小物もついてきます。
では、当日の着付け費用とヘアセットはというと、美容院でやる場合はおおよそ10000円程度を見ておけば良さそうです。
ということは「振袖と袴のレンタル費用」+「当日の着付けとヘアセット」でしめて20000円〜60000円というところですね。
では、袴と比較するためワンピース、スーツ(ブレザー)についても調べてみましたよ。
レンタルブティック LEcru・・・6480円〜21600円
レンタルのアーベル・・・4800円
東京レンタル衣裳・・・5800円〜9800円
※レンタルのアーベルでは靴のレンタルはなし
おー、確かに袴の方が総額が高いですね、15000円くらい。
つまり、家庭の経済状況に配慮せよ、という意見は
「(卒業式で娘が袴を着用したいのに+15000円が惜しくて)ブレザーにしなさい!」
と言う保護者を配慮しなさいということですね。
えーっとね、娘の晴れの日に15000円〜を出し渋る保護者って少数派だと思いますよ。そんな少数派の気持ちを害さないように袴を着たい女の子に我慢しろ、と言うんですかね?
一体、どこまで配慮すれば気が済むんですか。ここは日本人民主義人民共和国なんですか?
②袴は着付けとヘアセットの必要があり子供に負担がかかる
多くの美容院では着付けとヘアセットで約1時間を見込んでおります。式の開始の1時間前までに着付けとヘアセットが完了している必要がありそうですね。
小学校の卒業式開始時間はおおよそ午前9時〜午前10時ですので、7時に美容院に到着し、8時に美容院を出るということになります。
すると起床は6時頃でしょうか。
通常の小学校では、登校時間は8時頃です。登校班はおおよそ7時30分〜7時45分頃に出発しますから、起床は6時30分頃。卒業式ではなんといつもより30分も早く起きないといけないのです!!!
ってか、卒業式の日くらい30分早めに起床したってバチは当たらないんじゃないですかね?
③袴は慣れてないと危険。壇上に上がる階段で転んでしまう!
今日び、袴に慣れている日本人がどこにいるんですか。大学生だってつんのめってますよ。
危険だとか言うのなら小学生に限らない話です。
ちなみに袴を着用した時の歩き方としては、すり足でやや足を内側に入れつつ足の裏全体に重心を置いて小幅に歩くのがポイントです。でないと裾を足で引っ掛けます。この歩き方、昔着物を着ていた日本人の平均的歩き方ですね。
昔の日本人の歩き方、なかなかいい歩き方ですよ。疲れにくいです。
とはいえ確かに慣れてないと平地でもつんのめりますし、階段では裾を踏んづけて転ぶ恐れがあります。そんな時はお母さん、大学生の卒業式の時の経験を元に娘にアドバイスをしてあげるんです。
「階段を登る時は裾を手でつまんで登りなさいよ」
これでOK。
④トイレに行くのが困難
袴着用時の用の足し方は以下のサイトに書いてあります。読んだら不安は解消されるはずです。
要するにスカートと変わらないというお話でございます。
心配しすぎて大人用オムツなんか買ってこないでくださいよ。小学6年生の娘さん、泣きますよ。
合理的な禁止理由なんて何もない
いいですか。袴を禁止する合理的な理由なんてほぼないんです。
経済状況も、子供への負担も、所作も、トイレも、理由として語られることは多いのですが、ほとんど理由になっておりません。
合理的な理由がないのに禁止する自治体や学校では何を言っているのかというと、
過度に華美であり、卒業式にふさわしくない
とかいうめちゃくちゃな見解でございます。
一体、誰がどうやって過度に華美なのかそうじゃないのか判定したんでしょうか?何と比較して過度なんでしょうか?
さっぱり訳がわからないのです。
というわけでPTA役員の方に聞いてみました。
聞くと、何でも袴着用に関してごく少数の苦情が学校に寄せられたのが始まりなようです。で、そういう声が年々増えてきているらしいです。
ほっほう、なるほど。
で、公共的性質を持つ学校としてはごく少数の苦情であっても真摯に対応することが求められるので、袴を禁止する方が無難な選択である、と。
だって、文句を言う人の声の方が賛成意見よりも大体声が大きいんですもの。
学校を責めちゃいけません。
校長先生だってサラリーマンですからね。
少数のややこしい人たち
声のでかさだけを取り柄に他人に自分の意見を押し付けようとする人たちが世の中には一定数存在します。
まともな人は「あの人変わってるから」と言って相手にしませんが、面倒くさいからと相手にせずに、こういう人たちの言っていることを聞いているとそのうち理不尽な要求が出てまいります。
他人を屈服させることに生きがいを見出している人たちは合理的な理由もないのに文句を吹っかけてきます。
例えば、小学校の袴問題とかね。
袴問題は袴の問題ではありません。何事にも文句を言いたいややこしい人にまともな人が屈服する社会問題でございます。
費用がどうちゃら、危険性がどうちゃら、トイレがどうちゃらと言うのはちゃんと事実関係を調べてないだけです。
揉め事は誰でも嫌です。でも言いましょう。空気や声のでかさに負けずに言いましょう。
「それは事実に基づいた意見なんですか?」
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