【中学受験】楽しい理科一問一答 水溶液① 水溶液とは?水溶液の定義と特徴

【中学受験】楽しい理科一問一答 水溶液① 水溶液とは?水溶液の定義と特徴

いきなり、理科の水溶液をぶっ込んでいきます。

水溶液について教えて欲しい、とお問い合わせを頂いたからであります。大学受験レベルの化学の知識で終わっており、どれどれと主に予習シリーズを使いながら水溶液の勉強をしておりましたが、いやぁ難しい。

 

何が難しいって理科が覚える科目になっているのでありまして、私の老化した頭には全然入ってきません。若い頭だと違うのかもしれませんけどね。

中学受験レベルの理科で習うことをちゃんと理解するには中学、高校レベルの学習内容が必要なのであります。

でもそこが省略されているので理屈がよくわからないまま覚えないといけない、と。

だから難しいのであります。

 

そんなわけでこの際、理屈をひもといて、理科ってのは暗記科目じゃないんだよ、ほんとは、ってところをご理解いただくべく書いていきました。

 

WEB上で参照できるものにはリンクを貼りましたのでご興味があればぜひ原典を参照してみてください。出どころがきちんとしたもののみご紹介しております。

▼参照サイト

コーヒーや牛乳は水溶液? 物質を溶かす水の不思議な力(PHPオンライン衆知)

化学基礎第31回 NHK高校講座(PDF)

兵庫県高等学校教育研究会 科学部会ウェブサイト 実験化学18

 

最後におまけ程度に一問一答も用意していますので、一通り読んでいただいてから解いてみると良いかと思います。

水溶液ってなんだろう?

そもそもの疑問。

「水溶液ってなんだ?」

 

たぶん、塾のテキストや参考書にはこう書いてあるんじゃないかな?

下の3つの条件が全て満たされているのが水溶液だと。

①濃さが一定

②透明

③放置しても溶けたものが出てくることはない

 

オーケイ。これをおぼえてしまえばいいってわけだ。

 

でも君はこう思うかもしれない。

「他にもおぼえなきゃいけないことは山ほどある。しかも何回も解き直さないと忘れちまうよ!」

 

その通り。

君は100%正しい。

僕だってこれをそのまま覚えるだけだったら明日になれば忘れてしまうかもしれない。

 

ただ単に暗記しただけのことってのはおぼえるのも早いけど、忘れるのも早い。

しかも全く応用がきかない。

 

だから、テストでちょっとひねった問題が出てくると解けないし、半年前にやったことは忘れている。

当たり前の理屈だ。

 

というわけで水溶液の3つの定義をちゃんとひもといていこう。

中学受験における水溶液の定義

一つ僕から問題を出そう。

「味噌汁は水溶液かな?」

 

当然、君は答えるだろう。

「水溶液じゃない。透明じゃないから」と。

 

バッチリ合っている。中学受験的にはね。でも本当にそうなのかな?

僕は本当に水溶液じゃないのか確かめるために味噌汁を作ってみることにした。

水溶液とは何かを知るための味噌汁1

うーん、完全ににごっているね。どう見ても水溶液じゃない。ただ、一所懸命かき混ぜたから同じ濃さにはなったはずだ。

 

で、これを数時間置いた。

そしたらどうなったと思う?

 

こうなった。

味噌汁が分離した

おやおや、さっきと様子が違うぞ。味噌汁の上の方は茶色の液体で、下の方は何かがたまっているように見える。

 

次にストロングゼロというお酒をコップに注いでみよう。君は未成年だから実験するならポカリスエットをオススメするよ。

ストロングゼロをコップに注ぐ

おや?これは味噌汁とは様子が違うぞ?

液体の向こう側が少しだけ見える。でもにごっているよね。

あと、下に何もたまっていない。

 

何時間置いても液体のにごり方は変わらなかった。つまり液体は均一で、放置しておいても何かが出てくることはなかった。

でも透明じゃない。だからこれも水溶液じゃない。

 

次に塩を水に溶かしてみた。

これだ。

食塩水

透明で向こう側がちゃんと見えるよね。

これが水溶液だ。

 

透明かにごっているか、これが中学受験で言うところの水溶液とそうじゃないものの決定的な違いだ。

 

まとめておくよ。

液体特徴
味噌汁うわずみ(上の方)はにごっている、下に何かがたまっている、何時間置いてもうわずみのにごりは一定
ストロングゼロ全体がにごっている、何時間置いてもにごり方は一定、何かが出てくることもない
食塩水全体が透明、何時間置いても透明、何かが出てくることもない

なるほど、食塩水は中学受験で言うところの水溶液の定義に当てはまっている。

が、味噌汁とストロングゼロは当てはまらない。

ただし、味噌汁のうわずみとストロングゼロの「何時間置いてもにごり方は一定」という性質と、ストロングゼロの「何かが出てくることがない」という性質は水溶液に当てはまっている。

ところが透明じゃない。にごっている。これが決定的な違いだ。

 

さて、なんで同じように水に溶けているのに透明だったり、にごっていたりするんだろう?

味噌もストロングゼロの成分も塩も同じように水に溶けているように見える。

 

これを理解するには、味噌汁とストロングゼロと食塩水の中で起きていることを絵にしてみると分かりやすいかもしれない。

味噌汁とストロングゼロと食塩水

これがそれぞれの見たままの状態だ。

これをどのように物質が溶けているかを絵にしてみよう。

水溶液の中には何が溶けている?

実はそれぞれの液体の中は目に見えないレベルでは上の絵のようになっている。

 

大きさで言うと、個体の沈殿物が一番大きく、次にコロイド粒子、次に分子とイオンだ。

 

コロイド粒子、分子、イオンなんて聞いたことないよね?

言葉は覚える必要ないよ。ただ、溶けている物質の大きさによって透明かどうかが決まる、これだけは覚えておいてほしい。

 

コロイド粒子は光を反射するくらい大きいから溶液がにごって見える。

分子やイオンは光を反射しないくらい小さいから溶液が透明。

 

そう覚えておいたらいい。

 

さて、コロイド粒子が溶けている(分散している)溶液のことをコロイド溶液と呼ぶ。

固体の沈殿物、コロイド溶液、真の溶液

味噌汁のうわずみとストロングゼロはコロイド溶液と言う。コロイド溶液なんて難しいよね。これは覚えなくていい。大学受験の化学までおあずけだ。

にごって見えるのはコロイド溶液。

透明なのは水溶液。高校レベルの化学では「真の溶液」なんて呼んでいる。

 

つまり、中学受験で言うところの水溶液とは「真の溶液」のことを指している。

君たちが中学受験で勉強する水溶液というのは正確に言うと「真の溶液」のことなんだ。

 

つぶの大きさはこんなイメージだ。

水に溶けている粒子

味噌汁の底に溜まっていた沈殿物は大きかったから目でもつぶが見えた。

味噌汁のうわずみはつぶは見えなかったけれども、にごって見えるくらいには大きいつぶだったんだ。

そして、水に溶けている塩は小さすぎて見えない。だから透明に見える。

こういう理屈だ。

 

でも、実はにごって見えるはずのコロイド溶液の中にも透明に見えるものもある。

コロイド溶液というのは、コロイド粒子というつぶが溶けている。

コロイド粒子はある一定の範囲の大きさのつぶのことを言う。大きいコロイド粒子と小さいコロイド粒子の大きさは100倍くらい違う。

 

だから、小さいコロイド粒子が溶けた溶液は透明に見えるんだ。

 

これを見分ける方法が一つある。

溶液にレーザー光を当てるんだ。すると、透明に見えたコロイド溶液の中に光の筋が見える。小さなつぶでもレーザー光が反射して光の筋が見えるんだ。

光の筋が見えることをチンダル現象と言う。中学受験では出ないから覚えなくてもいい。

チンダル現象は↓のWEBサイトで写真とともに紹介してくれている。興味があれば見て欲しい。

兵庫兵庫県高等学校教育研究会 科学部会ウェブサイト 実験化学18

 

なお、真の溶液ではレーザー光を当てても光の筋は見えない。光が反射しないくらい小さいつぶだからね。

 

あと、色がついているけれども透明で溶液の向こう側まで見えるのは水溶液だ。

色にだまされちゃいけない。

あくまでにごっているかどうかだ。

ろ紙を使って水の中のつぶをこしとってみよう

水の中に溶けているつぶ、ろ紙を使うとこしとれるって習わなかったかな?

その通り、こしとれる。

ただ、こしとれるのは味噌汁の底に沈んでいたつぶのみだ。

コロイド溶液の中に溶けているものはこしとれない。コロイド溶液からコロイド粒子をこしとるには半透膜が必要だ。

 

味噌汁をろ紙と半透膜でこしとるのを絵にしてみよう。

ろ紙と半透膜

ろ紙に空いている穴は沈殿物は通さないけれども、コロイド粒子と塩は通してしまう。

そして、半透膜の穴はコロイド粒子は通さないけれども、塩は通してしまう。

なお、半透膜を使って物質をこしとることを透析という。これも中学受験ではあまり関係ないかもしれない。

 

味噌汁をろ紙と半透膜を使って極限までこすと何が残るか。

わかるね。

正解は主に食塩水だ。(実際は他の物質も混じっている)

 

だから味噌汁のうわずみはコロイド溶液なんだけども、それを取り除くと水溶液(真の溶液)と言えるわけだね。

水溶液に溶けている物質とは

参考書やテキストでは水溶液に溶けている物質は、

①固体

②液体

③気体

と習うはずだ。

 

どんなものがあるのか表にしてみたよ。

水溶液に溶けている物質の種類水溶液の名前溶けているもの
固体食塩水食塩
砂糖水砂糖
石灰水石灰(水酸化カルシウム)
重そう水重曹(炭酸水素ナトリウム)
水酸化ナトリウム水溶液水酸化ナトリウム
ホウ酸水ホウ酸
液体アルコール水アルコール(エタノール・メタノール)
さく酸水さく酸(酢)
気体アンモニア水アンモニア
炭酸水二酸化炭素
塩酸塩化水素
亜硫酸二酸化硫黄

 

水には色々なものが溶けるんだ。固体も、液体も、気体もね。

かなりストライクゾーンが広い溶媒だ。

溶かすための元になる物質を溶媒と言う。水は溶媒なんだ。

 

ちなみに溶かされる固体、液体、気体のことを溶質と言う。

 

最終的に溶かされてできあがったものを溶液と言う。

 

この辺の用語は覚えちゃおう。

ちなみにこれが食塩水ができるまでの絵だ。絵でイメージをつけてほしい。ちなみに溶質を溶媒に溶かすことを溶解という。ついでに覚えちゃおう。

食塩水ができるまで

水に溶けた物質はどうなるのか

塩を水に溶かすと無色透明の食塩水になる。

これって不思議じゃないかい?

だって、塩は白いんだよ。だったら食塩水も白くなるって思っても不思議じゃないよね。

 

でも違うんだ。塩は水に溶けると違う物質に姿を変える

 

水はすごい溶媒だと言ったね。たくさんの物質を溶かすし、溶かした物質の姿を変えてしまうんだ。

塩はどうなってしまうのか。

 

塩がどうなってしまうのかを知るためには、塩が2つの物質がくっついてできていることを知っておく必要がある。

塩素とナトリウムの2つだ。

塩素はプールの消毒で使われるね。ナトリウムは見たことないかもしれないけれども金属だ。

この2つがくっつくと塩になる。

 

そして水に塩を入れるとくっついていた2つの物質はバラバラになってしまう

 

こんな感じだ。

食塩水

塩は水に入れるとめちゃくちゃ細かくなっていって、ナトリウムイオンと塩化物イオンという2つの物質に分けられてしまう。

そしてこの2つの物質は光を反射しないくらい小さいんだ。

だから、食塩水は無色透明に見える。

 

ちなみに砂糖も水に入れるとめちゃくちゃ細かくなって光を反射しないくらい小さい物質になってしまう。だから、砂糖水も無色透明に見えるんだ。

水溶液の濃さが一定である理由

まずは水について考えてみよう。

水は少し詳しく言うと「水分子」という形で存在している。小さなつぶのようなものだと思ってもらったらいい。

 

塩は水分子の中に混じるとバラバラになる。

そしてさっき言ったようなナトリウムイオンと塩化物イオンという、とってもちっちゃなつぶに姿を変える。

すると、ナトリウムイオンと塩化物イオンは水分子の中に取り込まれる。

こんなイメージだ。

食塩水の中

均一に存在する水分子の中にナトリウムイオンと塩化物イオンが取り込まれるから濃さが一定になるって理屈だ。

 

また、放っておいても勝手に食塩水の中から塩が出てこないのは水分子にきちんと取り込まれていて、安定しているからだ。

塩は水に溶けるとバラバラになりたがる性質を持っていて、水の中ではバラバラなのが塩にとっての安定した状況なんだ。

安定した環境は手放さない。だから、放っておいても勝手に塩が出てくることはない。

 

もちろん、色々な操作をすると食塩水から塩を取り出すことはできる。

でもそれは次回以降のお話。

 

ちなみにコロイド溶液も濃さは一定なんだけど、コロイド粒子同士が反発しあっているから一定になっている。

ちょっと理由が違うんだね。

これは覚えなくてもいい。

 

ただ、味噌汁のうわずみを飲むときに

「コロイド溶液を飲んでいるなー」

と思いだすくらいで構わない。

最後に

さて、水溶液ってなんだろうという超基本的な話をやってきた。

次は水溶液の性質をやっていこうと思う。酸性、アルカリ性、中性ってやつだね。

ここまでの話が理解できていないと酸性、アルカリ性、中性ってなんだ、ということは理解できない。

 

実際に自分でやってみるといい。レーザーポインターを買ってきてコロイド溶液に当ててみてくれ。

味噌汁にレーザー光を。

「水溶液とは」「水溶液の定義」の一問一答

1.水溶液の定義を3つあげよ。

2.にごっている溶液は水溶液か。

3.牛乳は水溶液か。

4.コーヒーは水溶液か。

5.砂糖水は水溶液か。

6.泥水は水溶液か。

7.アルコール水は水溶液か。

8.ホウ酸水は水溶液か。

9.塩酸は何を水に溶かしたものか。

10.炭酸水は何を水に溶かしたものか。

11.石灰水は何を水に溶かしたものか。

12.石灰水は水溶液か。

13.固体を溶かした水溶液を5つあげよ。

14.液体を溶かした水溶液を2つあげよ。

15.気体を溶かした水溶液を3つあげよ。

16.食塩水において水のことをその性質に注目してなんと呼ぶか。

17.食塩水において塩のことをその性質に注目してなんと呼ぶか。

18.にごった溶液にレーザー光を当てると溶液に光の筋は見えるか。

19.水溶液にレーザー光を当てると光の筋がは見えるか。

20.水溶液に溶けている物質をろ紙でこすことはできるか。

21.20の答えの理由を答えよ。

「水溶液とは」「水溶液の定義」の一問一答の解答

1.透明である、濃さが一定である、放置しても溶けたものは出てこない。

2.水溶液ではない。

3.水溶液ではない。

4.水溶液ではない。

5.水溶液である。

6.水溶液ではない。

7.水溶液である。

8.水溶液である。

9.塩化水素

10.二酸化炭素

11.水酸化カルシウム

12.水溶液である

13.食塩水、砂糖水、ホウ酸水、石灰水、重曹水など

14.アルコール水、酢酸など

15.アンモニア水、炭酸水、塩酸など

16.溶媒

17.溶質

18.見える

19.見えない

20.できない

21.水溶液の中に溶けている物質はろ紙の穴を通過するから

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