2018年課題図書「がっこうだってどきどきしてる」(WAVE出版)あらすじと読書感想文例

2018年課題図書「がっこうだってどきどきしてる」(WAVE出版)あらすじと読書感想文例

小学校低学年向けの読書感想文としてもおすすめの絵本「がっこうだってどきどきしてる」のあらすじと読解・解説です。最後の方で読書感想文の例文も紹介しています。

絵本「がっこうだってどきどきしてる」おすすめポイント

①ひらがなのみで書かれている

おすすめの最大のポイントはズバリ、ひらがなのみで書かれている点です。

絵本を読み聞かせるのは非常に効果があって良いのですが、ひらがなのみで書かれていると自分一人でも読めるからです。

②「がっこう」の気持ちが想像しやすい

おすすめポイント二番目は主人公の「がっこう」の気持ちが想像しやすい点です。

小学校低学年であれば初めて小学校に行くときの少し不安な気持ちを自分でも少し前に経験していると思います。同じ経験を自分でもしているので「がっこう」の気持ちが想像しやすいのです。

気持ちが想像できると当然理解も深まります。

③小学校低学年の課題図書である

おすすめポイント三番目は小学校低学年の部(1年生、2年生)の課題図書に選ばれている点です。つまりこの絵本は小学校の読書感想文のための本として推薦されています。

読書感想文として書けて提出でき一石二鳥、というのが理由ですが、最も重要なのは書く訓練ができる点です。書く行為は思考を具現化する行為です。書くことによって、読むだけでは分からなかった点が分かるようになり、理解が深まります。当然、読解力が上がります。読書感想文の本として推薦されていれば書くモチベーションも上がりますよね?

あらすじ

①不安な気持ちの「がっこう」

新しく建てられたばかりの建物、名前は「がっこう」。まだ「がっこう」は自分がどんな存在なのか知りません。

用務員のおじさんが「がっこう」を綺麗にしていると、「がっこう」は自分が用務員の家なのだと思いますが、用務員のおじさんから「子供達が勉強したり、遊んだりするところだよ」と教えてくれます。

「がっこう」はそれを聞いて心配に思います。

②気持ちがトゲトゲする「がっこう」

新学期が始まって子供達がやってくる様子を見てドキドキする「がっこう」。子供達は元気いっぱいに遊んでいます。

ところが、子供達の何人かが「学校が嫌いだ」と言ったり、「学校に行くのは嫌だ!」と泣いているのを見て「がっこう」は悲しく思います。

そんな子供達に「がっこう」は意地悪をしたり、「僕も君が嫌いだ」と言います。

「がっこう」はむしゃくしゃして、うっかり非常ベルを鳴らしてしまいます。子供達を驚かせて一人一人に「ごめんね」と言う「がっこう」。

③子供達に溶け込む「がっこう」

給食の時間に牛乳を鼻から飛ばす子供がいて、「汚いなあ」と「がっこう」は文句を言いますが、思わず笑ってしまうとつられて「学校に行くのは嫌だ!」と泣いていた女の子も笑います。

勉強の時間に子供達と同じように授業を受ける「がっこう」、お絵かきの時間に「学校に行くのは嫌だ!」と泣いていた女の子がそっくりに描いてくれて嬉しく思う「がっこう」。

④自分の気持ちの変化に気づく「がっこう」

子供達が帰宅してから用務員のおじさんが掃除にやってきました。用務員のおじさんに今日あった出来事を話す「がっこう」。「明日以降も子供達が来てくれるといいな」と用務員のおじさんに言います。

そして、「がっこう」は、最初は用務員のおじさんの家になりたかったと言います。用務員のおじさんは学校は子供達を喜ばせてあげることができる素敵な存在だと言い、「がっこう」も「その通りかもしれない」と思います。

物語の構造・転換点・要約

構造と転換点

あらすじの①〜④の通り、4つの構造が存在します。

それぞれの転換点、つまり「がっこう」の気持ちが変化したポイントは、

  1. 用務員のおじさんが「がっこう」に子供達が勉強したり遊びに来ると伝えたこと
  2. 子供達に嫌いとか嫌だと言われたこと
  3. 牛乳を吹き出したのを見て思わず笑ってしまうと「学校が嫌だ」と言っていた女の子も笑ったこと
  4. 「学校が嫌だ」と言っていた女の子が素敵な絵を描いてくれたこと

要約

構造と転換点をもとにこの話を要約します。

不安な気持ちでいた「がっこう」が、不安ゆえに子供達に敵意を抱いてしまうが、素直に謝り子供達と協調することで次第に仲良くなり、やがて子供達のことが好きになる。

という話です。

読解のポイント・主題

①タイトル

「がっこうだってどきどきしてる」ということは「がっこう」以外にも、どきどきしている存在がいると示唆しています。それは子供達です。子供達もどきどきして不安だったから「嫌い」とか「嫌だ」と言っていたんですね。

②不安からの行動

子供達もどきどきしている、つまり不安なので「嫌い」とか「嫌だ」と言います。それに対して「がっこう」は仕返しをするような行動をとります。

「がっこう」も不安な気持ちゆえに自己承認欲求を過剰に感じていました。それが満たされないことで敵対行動にうつります。

その結果は両者の溝を深めただけでした。

不安に対して不安で応えると物事が悪化するということです。

③自らの過ちを認め、他者を許容すること

子供達と敵対関係になってしまった「がっこう」は、自分の行為を謝り、子供達の行為を許すことで次第に子供達と仲良くなっていきます。

結果として用務員さんが最後のシーンでかけてくれた言葉から自分自身の存在を意義あるものとして捉え、肯定的に物事を考えられるようになります。

自己承認欲求を満たすためには、まずは他者を認めることが大事なのだとこの絵本では言っているのです。

主題

他者を認め、寛容になることにより自己の存在意義を発見し、幸せに生きることができる

読書感想文例

お子様の学年を考慮して多少書き換えてください。読書感想文例です。

 

僕は「がっこうだってどきどきしてる」を最初に見た時に、がっこうがどきどきしたのがなんでなのかと、がっこうの他にどきどきしているのは誰なんだろうというのが気になって読んで感想文を書きました。

がっこうがどきどきしていたのは子供達とうまくやれるのかが心配でどきどきしていたのだと思います。それまでがっこうは用務員のおじさん以外の誰とも接したことがなかったからです。

そして他にどきどきしていたのは子供達だと思います。僕も初めて学校に行くときは心配でした。

心配でどきどきしているがっこうと子供達が、初めは不安な気持ちだったからけんかしてしまいますが、がっこうが子供達を受け入れてあげることで仲良くなれたのだと思います。

給食で牛乳をこぼされた時もがっこうは笑っていました。授業を一緒に受けたりして子供達となじんでいくと次第に子供達が受け入れてくれました。

最後は「学校に行くのがいやだ」と言っていた子が絵を描いてくれました。

僕はこの本を読んで、人に優しくすると人からも優しくされるのだと感じました。がっこうも子供達に優しくしたからこそ子供達と仲良しになれたのだと思います。

がっこうが心配な気持ちから楽しみな気持ちになれたのは、がっこうの気持ちが変わったからだと思います。

僕もこの絵本のがっこうのように友達と仲良くして、楽しく学校に通いたいなと思いました。

読解のポイント

・まずは「がっこう」の気持ちの変化を捉えるようにしましょう。

・そして変化に至った行動を見つけ出しましょう。

・気持ちが変化した結果、どうなったかを考えてみましょう。

・この絵本で伝えたかったのは何なのかを考えてみましょう。

そして、それを読書感想文として書いてみましょう。気持ちの変化、行動、結果、主題は全て上で書いた通りです。したがいまして本を読まなくても読書感想文は書けます。

本当はしっかり読んで書くのが理想ではありますが。

小学校低学年の子には無理ですが、もう少し大きくなったら物語の構造化と、主題の記述にもチャレンジさせてみてください。

読解の訓練をしていなければ中学受験の勉強をしている子供でもきちんと構造化し主題を捉えることはできません。こうした読解訓練は中学受験の国語を解くのに役に立ちます。「読む技術」は塾ではきちんと教えてくれませんので自分でやるしかありません。

「読む技術」を身に付けるための助けになることを願って止みません。

同じく小学校低学年の課題図書「ルラルさんのだいくしごと」の読書感想文例をパターン別に5例紹介しています。何かの参考にしてください。

2018年課題図書「ルラルさんのだいくしごと」(ポプラ社)読書感想文5例 感想文から学ぶ読解

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