2018年課題図書「ルラルさんのだいくしごと」(ポプラ社)あらすじと読書感想文例
小学校低学年(1年生、2年生)向け課題図書「ルラルさんのだいくしごと」の読解、解説、そして読書感想文例を紹介します。うっかり「ハラルさん」に見えたのでイスラム教関係の絵本かと思いましたよ。
参考のため↓のページでは読書感想文例を5パターン載せてます。
課題図書「ルラルさんのだいくしごと」おすすめポイント
①ひらがなのみで書かれている
ひらがなのみで書かれている絵本はやはりいいですね。わざわざ読み聞かせなくても小学生だったら自分で読めます。読書は自分で読み、自分で書かないと身につかないので、最低条件の「自分で読める」図書はとても良いです。
うちの息子も勝手に読んでます。
②絵がかわいい
この絵本の主人公ルラルさんは波平さんから頭の毛を一本ブスリと抜いてやったような男ですが、とてもかわいい絵に仕立て上げられています。
また、登場する動物達も素朴でありながらかわいいので、読んでいてほのぼのします。
③小学校低学年の課題図書である
小学校低学年の部(1年生、2年生)の課題図書に選ばれている点です。読書感想文はこれで書いておけば間違いなしなので読むモチベーションが上がります。
読んで楽しめ、書いてよし。
夏休みは遊んでこそなんぼです。さっさと読んで、読書感想文を書いて、カブトムシでも捕まえに行きましょう。
あらすじ
①ルラルさんという人物の紹介
ルラルさんは本物の大工さんではありませんが、大工仕事が得意です。
②ルラルさんが屋根の修理をする
そんなルラルさんが雨漏りのする屋根にハシゴで登ってヒビを直し、雨漏りをしないようにします。すると登るのに使ったハシゴが倒れているのに気づきます。
③動物達がハシゴを持ってどこかに行ってしまう
ハシゴが倒れて、屋根の上から降りられなくなったルラルさんの異変に気づいた動物達が集まってきます。ルラルさんは「ハシゴをかけてくれ」と頼みますが、動物達は「汽車みたいだね」と言い、電車ごっこに興じて林の方に去って行きます。
④諦めの境地に達するルラルさん
動物達がどこかに行ってしまったのを見てルラルさんは途方にくれます。これからパンを焼いて、お風呂の掃除をする予定だったからです。ところが、雲を見ているうちにそんなことはどうでも良くなってきます。
⑤動物達が帰ってきてようやく大工仕事が終わったルラルさん
しばらく屋根の上にいると、動物達が帰ってきてハシゴをかけてくれ、ルラルさんはようやく屋根から降りられます。動物達は「楽しかった」と言い、ルラルさんも「それはよかった」と思います。そして、ルラルさんは大工仕事を終えます。
物語の構造・転換点・要約
構造と転換点
構造はあらすじの①〜⑤までです。
変化のポイントとなったのは、以下の4つです。
- ルラルさんが屋根の修理をする
- 屋根の修理中ハシゴが倒れてしまう
- ハシゴを持って動物達がどこかに行ってしまう
- 動物達が帰ってくる
構造が5つあるのに転換点が4つしかないのは、最初の①の構造がルラルさんや周囲の物事が変わったわけでもなく、単純なルラルさんの人となりの紹介で構成されているからです。
要約
大工仕事の得意なルラルさんがある時屋根の修理をしていると、ハシゴを倒してしまい屋根から降りられなくなる。そのハシゴを持った動物達が林の方に遊びに行っているうちに、ルラルさんは屋根から降りることがどうでも良くなってしまい、パンを焼くのもお風呂の掃除をしなくともみんなが楽しく遊んできたことに満足した気分になる。
読解のポイント・主題
動物達にハシゴを持って行かれた後のルラルさんの行動を考える
読解のポイントは1点のみです。
ルラルさんが動物達にハシゴを持って行かれたあと、鷹揚に構え、雲を眺めているうちに屋根から降りるのがどうでも良くなってしまいます。そして最後に満足そうにしていたルラルさんの気持ちを推測することがこの絵本の読解のポイントです。
最後に、
こうして、ルラルさんの だいくしごとが おわりました。
引用元 ルラルさんのだいくしごと 作:いとうひろし
と満足そうな顔を浮かべたルラルさん。どうしてそうなったのか。
この理由を考えるだけで、この課題図書の読解は完了します。
なぜなら、ルラルさんの行動において上記以外に違和感のあるポイントはなく、違和感がないということはあえて読み取るべきポイントがない、ということだからです。
読解のポイントは書いてある通りにすんなり読める点ではなく、なぜそうなったのか一読するだけでは分からないポイントにこそあるのです。
したがって違和感のあるこのポイントに焦点を当てて読解していきます。
ルラルさんが動物達にハシゴを持って行かれてしまったあとで、空を見ていたのは諦めの気持ちです。ハシゴがない以上、下に降りられないので空を見る以外に選択肢がなかったのです。
空を見ているうちに、当初予定していたパンを焼いたり掃除をするのがどうでもよくなってきました。
そして、ルラルさんが最後に満足そうにしていたのはなぜでしょうか?
それは、自らの「大工仕事」が間接的に人を喜ばせたからです。
最後の文章が「こうしてルラルさんのだいくしごとがおわりました」と言っていることから、屋根を修理しただけでなく動物達が喜んだことも大工仕事に含まれています。
もし屋根の修理のみがルラルさんの大工仕事であったなら、屋根の修理を完了させた時点でルラルさんは「大工仕事が終わった」と総括するはずです。
屋根を修理した時点ではルラルさんの仕事が終わっていないと、この文章が示唆しています。
主題
得意だから行なっていた自らの行為が、人を喜ばせることに繋がった。
読書感想文例
多少書き換えてください。特にお子様の学年で習わない漢字を使うのはご法度ですから書き換え必須です。
僕はルラルさんの大工仕事がどんな仕事なのかが気になってこの本を読みました。
ルラルさんは大工が得意で、屋根の修理をしましたが、屋根に立てかけていたハシゴが倒れてしまって下に降りられなくなってしまいました。
そのハシゴを発見した動物達はハシゴを使って遊びに出かけてしまいます。ルラルさんは「え?」と思いますが、諦めて空を眺めているうちに自分の予定がどうでもよくなってきてしまいます。
そのうち動物達が帰ってくると、みんなハシゴを使って遊べて楽しかったと言います。
ルラルさんは動物達の様子を見て嬉しかったのだと思います。
自分の仕事は人を幸せにしたり、喜ばせることだと動物達の楽しそうな様子を見て気づいたからだと思います。
最後の「ルラルさんの大工仕事が終わりました」という文から、ルラルさんの仕事は、直すことだけでなく人を幸せにしたり、人に喜んでもらったりすることも含まれていたのだと僕は感じます。
この本に出てくるルラルさんのように人に喜ばれる仕事をしたり、そういう仕事をして自分も満足感を得られるようになりたいと感じました。
読解のポイント
動物達がハシゴを持って行ってしまった後のルラルさんの行動と、動物達が喜んで戻ってきた後の「大工仕事が終わった」というルラルさんの感じ方を結びつけて、なぜそう感じたのかを考えてみると良いと思います。
読書感想文のためと割り切らずぜひともこの作品を読んで欲しいと思います。
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