【中学受験】「ゆる受験」 偏差値がそこそこで受かる中学を受験しろとかいうやばい話

【中学受験】「ゆる受験」 偏差値がそこそこで受かる中学を受験しろとかいうやばい話

定期的にとんでも話がささやかれて炎上するのは中学受験界の伝統芸なのであります。

↓の記事も、鼻ほじりながらインターネッツを見ていましたらおすすめ記事として出てまいりまして、「また出たな!」とワクワク感を隠せず一気に読んでしまいましたよ。

「塾通いは1年だけの”ゆる受験”でもOK」偏差値的におトクな私立中学10校(Presidentオンラインより)

 

案の定、twitterや某掲示板をはじめとした各方面で賛否両論、というか

「中学受験を甘く見てんじゃねぇ、ゴルァ!」

とお怒りの声が北西の季節風にのってこだましております。

 

読んでいただければおわかりになるかと思いますが、この記事、「ゆる受験」が成立するためのいろんな前提条件が抜けてるんですよね。

 

こんな前提条件です。

・小学6年生まで中学受験塾に通っていなかったけれど公文等で小学校範囲の算国の勉強は終えている

and

・低学年ですでに学習習慣が身についていて、毎日2〜3時間程度の勉強は苦にしない

and

・「絶対に××中学に行きたい!」と、うまいこと小学5年生の2月ごろに本人から熱烈オファーがあった

and

・小学6年生の一年間で年間200万以上の教育費を注ぎ込める経済力がある

 

この条件のもとでなら成立しそうなのであります。

が、この前提条件どこからどう見てもゆるくないですし、フワフワでもありません。

むしろ、小学4年生からコツコツ受験勉強をするよりハードモードです。

あるいはIQが130くらいあるとか。

 

厳しい条件のもとでなら成立しそうな話を「ゆる受験」とか、さも楽そうなネーミングで焚き付けてるから「んなわけあるか!」とお怒りになられているんですね、皆様。どうどう。

 

さらに、この記事やっちゃってます。

「ゆる受験」に該当する学校名を具体的に出しちゃってるんですよ。まるでガソリンかぶってキャンプファイヤーしているようなものでございます。

 

まずは一番やっちゃってる具体的な学校名のところからお話をしていきましょう。

「ゆる受験」で挙げられている学校

記事の中では共立、跡見、山脇、三輪田、富士見、普連土、聖学院、桐光学園、獨協、日大豊山があげられています。

これらの学校の共通点は算数1科目、算国2科目、思考力入試など4科以外の受験形式があって、合不合判定テストの80偏差値が40〜50です。

 

共立女子:2/3 合科型(国+社+理)+算 偏差値49

跡見学園:2/1 国・算 偏差値40

山脇学園:2/2午後 国・算 偏差値48

三輪田学園:2/1午前 国・算 偏差値41

富士見:2/2 算 偏差値47

普連土学園:2/2午後 国・算 偏差値50

聖学院:2/1午前 国・算 偏差値36

桐光学園:2/4 国・算・面接 偏差値49

獨協:2/1午後 国・算 偏差値49

日大豊山:2/2午後 国・算 偏差値49

※女子で紹介されている学校は赤、男子で紹介されている学校は青

 

上の日程以外でも2科目で受験できたりしますが、面倒くさいので省きました。

この記事は算国の2科目だったらいけるでしょ的なノリかと思われますが、本当に問題見たことありますかね?

算数・国語(もしくは算数、国語の1教科)だけとはいえ、やっぱり基本と応用の作法を身につけとかなきゃ解けない問題が出題されます。

一年でこの2科目を受験レベルまで引き上げるには、相応の学習量が必要です。

 

そもそも名指しで「ゆる受験可能な学校」とか言っちゃってる点は配慮が欠けすぎで、受験生、在校生ともに敵にまわしてますよ。

挙げられている学校は、けしてレベルの低い学校じゃないです。お手軽な学校でもありません。

2年、3年本気で勉強してきた子たちが第一志望、併願、あるいは最後の望みを託して受ける学校です。

 

なにより、2科目(あるいは1科目)で、問題的に、偏差値的に入れそうとかいう理由で学校選びをするのは本末転倒だと思うわけです。

入れるかどうかよりも入った後を考えろや。

控えめに言ってこの記事は地獄に落ちたほうがいいですね。

「ゆる受験」の入塾まで

小学4年生、あるいは小学5年生から受験勉強をしてきた子たちは6年生の初めの段階で、すでに小学校6年間の学習+αが終わっております。

そこに参入するわけですから四則計算、分数・小数、単位の換算、虫食い、分配法則など、6年生までに習う基礎計算能力が備わっていないと話になりません。

 

高い計算スピードと正確性があって、はじめて「小学校+α」をまともに解けるわけです。

もちろん国語でも漢字、熟語、ことわざ、言い回し、接続語の意味とか基本知識が入っている状態が求められますよ。

 

そこにもってきて小学6年生から入れる塾を探すのが難しいです。

記事中でも言及がありましたが、流行っていない小さな塾とかが第一候補になるんじゃないですか。

日能研が名前を挙げられていましたが大迷惑もいいところです。

入塾テストだって、小学校の6年間の勉強+αが求められます。

入るための対策をしなくちゃ入れません。

小学5年生の年明けから入塾テスト対策しなくちゃ入れてくれません。ぜんぜん、ゆるくないでしょ?

 

だいたい、大手塾が実施している新小学6年生の入塾テストは他塾からうつってくることを想定しています。

ハードルは高いです。

 

なので、流行っていない小さな塾が第一候補になりますが、そこでも「小学校+α」を学習してきたことが前提の授業が繰り広げられます。

ついていけません、普通は。

 

そこで通塾に加えて、個別指導塾、家庭教師を併用するでしょうね。

毎週3回の通塾と週1〜2回の個別指導塾または家庭教師。

人気の個別指導塾、家庭教師はもはや空いておりません

 

「無理のない受験を」とか記事には書いてありましたが、スタートの時点から無理ゲーです。

「ゆる受験」の学習スケジュール

さて、なんとかおぼえめでたく入塾を果たしたといたします。

個別指導も家庭教師も必死の思いで見つけてきたとしましょう。

 

「毎日3時間ずつ勉強して先行組に追いつくのだ!」

鼻息が荒いですね。

 

おっと、荒い鼻息は尊重いたしますが大事なことを忘れております。

小学生の一日の可処分時間って短いですよ。

毎日2〜3時間くらい大丈夫でしょ!なんて思わないでくださいよ。

 

小学生に毎日2〜3時間家庭で勉強をさせるのは困難を極めます

 

しかもです。

仮に3時間勉強するとしたら、それにかかる時間は4時間以上は見ておいた方が良いです。

3時間ぶっつづけで家で勉強できる小学生はそう多くはありません。休憩をはさんだり、途中でだらけたり、親御様からすると毎日がサバイバルダンスとなります。

 

具体的にいきましょう。

 

小学校のある平日はだいたい16時くらいに帰宅いたします。

帰ってくると1時間くらいはリラックスします。それくらいはいいでしょう。学校で疲れ切ってるんです。

やれやれと勉強を始めるのが17時くらい。

18時まで勉強したらご飯に風呂、リラックスする時間が入って勉強を再開するのが20時くらい。

そこから2時間勉強したら22時、じゃないんですよ。

22時30分、もしくは23時です。

だらけたり、リラックスしたり、テレビが気になったり、2時間勉強するのには30分〜1時間のスキマ時間が必要になります。

 

塾がある日はさらにハードです。

16時に家に帰ってきて、17時に塾に到着、20時まで勉強して帰ってくるのは20時30分。

ご飯と風呂で21時30分。

リラックスして勉強を始めるのが22時。

3時間勉強をするとしたら4時間は見ておいた方がいいので、就寝時間は26時。つまり夜中の2時

 

いや無理です、無理。

睡眠時間も無理だし、こんなに勉強させるのも無理です。

 

4年生、5年生の親御さんが子供に学習習慣をつけるために、どんだけ血を吐くような苦労をしていると思ってるんですか?

「ゆる受験」のモチベーション

受験にはモチベーションが必要です。

明確な目標がなければモチベーションは続きません。

つまるところ入りたい学校を子供が決めたほうがいいんです。

 

4年生、5年生から準備なさっているご家庭では学校の説明会やら体育祭やらにおもむいて無理やりモチベーションを引き出そうと努力しております。

 

『「ゆる受験」でいい学校に入れるのよ!』と親が勝手に理屈を押し付けたところで子供はやる気になりません。

 

で、先ほどからお話していました通り、「ゆる受験」のスケジュールは鬼です。上弦の参くらいじゃないスか。

週3の塾、週1〜2の個別指導もしくは家庭教師、寝る間も惜しんでの学習。

これに耐えられるだけのモチベーション、つまり子供本人なりの理由が必要です。

「ゆる受験」のコスト

週3の塾で月4〜5万、週1(2時間)の個別指導もしくは家庭教師だと4万〜。週2だと倍です。

まぁ、月10万以上はとんでいきます。

それに加えて模試、春期講習、夏期講習、冬期講習、正月特訓、年間で200万は超えます。

 

確かに4年生から塾に行かせるよりは安く済むかもしれませんね。

ただ、塾に行っていない4年生、5年生のうちは何かしら学習系の習い事をしている必要があります。

だって、6年生の初めまでに小学校範囲はすべて終えて、計算力や言葉に関する知識を身に着けている必要があるのですもの。

4年生、5年生の学習系の習い事を加味すると大してコストは変わらない可能性があります。

 

そもそも無茶なスケジュール、入試までに間に合うかどうかもわからないリスクを背負ってまで安く済ませようとするのは親の都合でしかないですよ。

 

普通はこういった事情を分かっているので小学4年生、遅くとも小学5年生時点では入塾させます。

事情が分からずに、みんながそうしているから4年生、5年生で入塾させるのかもしれませんね。

 

そりゃ正解です。

だって、小学6年生から入塾(できるかどうかも分からない)させて、苦労するのは目に見えてますもの。

「ゆる受験」にどんなメリットがあるのか?

入塾時点で苦労しまくり、塾に入ったら入ったで殺人的なスケジュールをこなし、その割には省けないコスト。

「ゆる受験」のどこにメリットがあるのでしょうか。

 

習い事をしながらやれる?スポーツも両立可能?

マジで何を言っているのか分かりません。

そんな時間どこにあるんですか。

 

さて。

小学4年生から入塾ってのは「やりすぎ」でも「過熱」でもありません。

小学4年生から中学受験勉強が本格化するんです。

早すぎる?

いえ、4年生、5年生の2年間で無理なく基礎が学べるようなカリキュラムになってるんですよ。

ゆるゆると学習習慣をつけつつ、毎週消化できる範囲の単元を消化していく方が無理がございません。

 

「ゆる受験」は簡単に塾にも入れない、個別指導も家庭教師もまっとうなところは満杯。殺人的なスケジュールで親も子供も疲弊。経済的なメリットもそこまで大きくない。

 

いったい誰にメリットがあるんでしょう?

 

あぁ、分かりましたよ!

お父さんが妙にハッスルして、presidentを買ってくれるからですよ!

presidentのメリットだったかぁ〜。これは盲点!気づきませんでしたよ、HAHAHA.

 

お父さんが「ゆる受験」とか言い始めたらお気をつけくださいね。

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