【中学受験】大学入学共通テストと中学受験の変化

【中学受験】大学入学共通テストと中学受験の変化

難化著しいと巷間かまびすしかった大学入学共通テスト。

とりわけ数学ⅠAは令和2年度の平均点が57.68点、令和3年度は37.96点と約20点下がっています。

これ、平均ですよ。

平均で20点下がるってのはすごい話です。全員腹を壊していたとしても平均点は20点も下がらないでしょうよ。

 

実態はというと腹を壊してはいません。みなさんマスクをしながらもピンピンしておられました。そんな状況において20点も下がるってただごとではありません。

共通テストの直後、識者はこのように言っておりました。

「前年は易化しており、今年度は難化することが予想されていた」

ははぁー、なるほど難しくなっていたのですね。それにしても平均が20点下がるってのは大したバンジージャンプです。

 

そこで私、共通テストの翌日に数ⅠAを解いてみました。

 

結論から言います。

全然難しくなっていませんでした。

余った時間で鼻の奥に詰まった鼻くそをどうとろうかと思案していたものです。

 

「いやいや、難化したんじゃないんかーい!?」って思われますよね。

なんで平均点が下がったのかというと、とっても簡単。出題の仕方と問われる資質が変わったからです。

我々アラフォー世代はセンター試験が一次試験でした。センター試験の数ⅠA、もしくは数ⅡBの対策なんてのは、

「青チャの星4つまでやっとけ」

で済んだわけです。ご存知ない方に説明しておくと、「青チャ」は数研出版の「チャート式青色」、難易度で星がついておりまして星は最高で5個。そのうちの4個まで完璧にやっとくとセンター試験は満点がとれたものです。

ってか、センター試験は間違えようがないくらい典型題しか出てこなかったんです。

つい最近までその程度のテストでした。

 

ところが今年度の大学入学共通テストは違いました。

初見で「はぁ、なにこれ?対策した問題と全然違うんだけど!?」と面食らうような出題形式だったんです。

具体的に言うと、太郎君と花子さんが数学の話題に花を咲かせながら徐々に距離が近づいていって、その先は、、、あぁ!みたいな問題です。

要するに会話文形式だったり、順を追って数学的な理屈を答えさせる問題だったんです。

全然、典型題ではありませんでした。

 

さて、私が何を言いたいのか察しの良い方はピンときたかもしれません。

中学受験も今後数年かけて大学入学共通テストみたいになる可能性が高い。

では、なんで中学受験が適性検査型の出題形式になるのか説明しつつ、どのように対策を施していくかを話していきましょう。

頭をバージョンアップしろ

今年度の大学入学共通テストの結果を受けて、難化だの文科省やばいだの言っている人たちがいます。

高校の数学の先生まで嘆いておられまして、本当に嘆きたいのはあんたじゃないだろ、とツッコミを入れたくなります。

そもそもあれほど文科省は予告してたじゃないですか。

「思考力を問うよ」って。

 

文句を言っているのは頭をバージョンアップしたくない人たちでして、未だにWindows95でパソコンが動くと信じている人たちです。

 

どうして大学入試を思考力型にしたのかって、その経緯は皆様もよくご存知でしょう。

文科省は学習指導要領を変えても1ミリも響かない学校および先生たちがどうやったら変わってくれるのかベネッセと一所懸命考えたんです。

その答えが、

「センター試験を大学入学共通テストに変えて、思考力を問う感じにしちゃおう!記述取り入れちゃおう!GTECを英語の試験代わりにしちゃおう!」

 

つまり文科省はゴールポストを動かしたら先生が変わってくれると思ったんです。

ところがどっこい思考力型の教育をやってくれるものと思っていた文科省は信じられないくらいナイーブでした。

高校の先生たちの多くはちっとも変わりませんでした。

俺流ですよ、俺流。

Windows95どころか、Windows3.1くらいで止まっているかもしれません。

あるいはただ単に俺流を変えるのが面倒くさかったのか。

いずれにせよ生徒はたまったものではありません。

 

頭をバージョンアップできなかった先生たちは多くの犠牲者をつくってしまいました。

つまり、生徒です。今年、大学入学共通テストを受けた生徒です。数ⅠAの試験が終わった瞬間、机に突っ伏して泣き出した子もいたそうですよ。かわいそうに。

 

といった経緯を経てさっそく来年度からは記述重視、理論重視で授業をやると息巻いている先生がおられます。

立派でございます。

 

ところが中には変わらない先生もいらっしゃいます。

青チャ時代が忘れられないのですね。もしかしたら文科省やベネッセが悪いと本気で思っておられるのかもしれません。

ちなみに言いますとベネッセは文科省から「一緒に教育を変えちゃおうぜ!」とそそのかされた挙げ句、はしごを外された被害者です。教育を変えちゃう準備を言われるがまま怠りなくやったのに「あ、ごめん、あの話(記述式とGTEC)はなしになったからさぁ」と言われたわけですよ。とんだ性悪女ですね、文科省。

 

ただ、思考力型の問題に対応する授業ってクソ難しいと思います。

大体が今までそんな教え方をしてこなかったのですから、どう教えていいのかも分からないはずです。

ですので、基本の徹底、理論・記述の重視をしつつ、あとは初出の思考力型問題に生徒が対応してくれるよう神に祈るしかないわけです。

私立はどう対応する?

私立の中高は一定の大学合格実績がないと経営が成り立ちません。

そこで一所懸命、思考力型の大学入試に対応いたします。

とくに中堅くらいの私立は必死です。

 

色々対応策を考えるうちにふと天啓に打たれる先生が出てまいります。

「あ!分かったぞ!思考力型の授業をするんじゃなくて、思考力型の入試に対応できる子を集めればいいんだ!」

そんなわけで私立も入試問題を思考力型に変えます。

あ、間違えました。すでに変えていってます。

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