【中学受験】国語の物語文の読み方、解き方を桜蔭中学の物語文で解説する
「このハゲー!!!」
どうも、今日もハゲてますか?私は少々白いものが混じってはきておりますが、フサフサでございます。
おとなしくて控えめ、という勝手な印象がある桜蔭中学でございますが、某議員のおかげでワイルドな印象が強くなってまいりました。
だいたい、おとなしくて控えめだのなんだのとかいう印象は大抵世間の妄想でございます。
こうあって欲しいっていうね。
20年以上前、水道橋でルーズソックスにはき替えたり、放課後になると「OIN」のバッグが「SDH」になっていたりするのを目撃した身から致しますと普通の女子なのだなあ、と。
今は死語でございますが、コギャルっぽい桜蔭中学の生徒さんもいらっしゃいました。
小学生のとき勉強ができたというだけでみなさん妄想をたくましくしすぎなんです。
ちょっとだけ受験問題を人より解ける普通の女子です。
さて、そんな普通の女子が解く国語の物語文。こいつは普通じゃありません。
ってかムズい。
ちゃんと順を追って解けば解けるんですが、小学生には、まー、ムズイっすよ。
難しさのレベルは現行のセンター試験の比ではございません。
ただ、丁寧に解く練習をすれば小学生だって解けるようになります。
ちゃんと方法論がありますから。
方法論を知ったら練習のみってわけ。
ってわけでどんな風に考えて解くかと練習方法を紹介しますので何かのヒントを得て頂ければなー、ってわけで解いていきます。
桜蔭中学の国語の特徴
過去問集に載っている10年分をとりあえず解いた印象をお伝えしておきます。
どの年度も大問2問構成で、必ず物語文が1問、あとは年によって随筆か論説文(説明文)。
随筆、論説文(説明文)はガッチガチの論理問題ではなく、比較的柔らかいタッチの文章が多いですね。
物語文も平易な文章が多く一見すると読みやすいように見えます。
ただ、それが落とし穴。
平易な文章にひそむ柔らかい感情を丁寧に読み取っていかないと、勘に頼って問題を解くことになります。
ですので、とにかく丁寧に心情を抑えていくこと。これが最も大事なポイントでございます。
あとね、文章が超長い。
文章の長さが結構やばいんですよ。
大問が2つなのですが、ウカウカしていると解き終わりません。
どこが精読する部分で、どこは斜め読みする部分なのかを意識して読んでいかないと、到底50分では解き終わらない。
かつ、問題は記述が中心です。
「200字以内で説明しろ」とか「詳しく理由を説明しろ」とかそんなんばっか。
これ、きちんと記述対策してないとやばいです。
さすがは女子最難関校です。
そんなこと分かってるって?じゃあ、次いきましょう。
物語文の読み方
論説文(説明文)と物語文の読み方は違います。
例えて言いますと、論説文(説明文)は積み上げられたブロックを解体して整理する作業。
対して物語文は水に浮かんだ葉っぱの流れを追う作業。
目に見えるブロックを解体して整理する作業と、目に見えにくい水の流れを推測して葉っぱを追う作業、どっちが難しいでしょうか?
圧倒的に後者なわけです。
この辺の事情は↓で書いてます。
上の記事で人物相関図を使って整理しようと書いております。
人物相関図は物語文を読み解くにはとってもいいツールであり、練習方法です。
相関図を書く理由は主人公の心情の移り変わりを把握するためです。
ですから相関図を書く練習をしておきましょう!HEYブラザー!you know what I say?
では、どうして相関図を書くのか?
物語文を読み解く、ということの本質は登場人物の心情の変化をつかまえ続けることです。
そのためのツールが人物相関図。つまり、あくまで手段。
目的は心情把握。
今から解いていく桜蔭中学の平成26年の問題は大した相関図は書けません。
何しろ二人しか登場人物がいないからね!
平成26年桜蔭中学校 国語大問2 蛍光ペンで心情を塗りつぶす
問題文を全部載せるわけにはいきませんので、過去問を買って小脇に抱えながら読んでください。
本屋に行きゃ置いてあるはずです。
平成26年桜蔭中学の物語文は、野球少年が監督とのやりとりを通して成長する話でございます。
人物相関図はこれだけ。
恭介 ⇔ 監督
ま、これはこれでシンプルだからいいです。
主人公は恭介です。では彼の心情変化を追っていきましょう。
必殺、ピンク色の蛍光ペンでございます。
こいつを使って文章中に書かれている恭介の心情のみをピンク色に塗りつぶしていきます。
こんな感じ。
ね、クソ長いでしょ?この問題文。
それはさておき、ピンク色の蛍光ペンを引いた箇所のみ引用します。
ここで一つ、アゲアゲ♂になりそうなこと言いましょうか?
この問題は蛍光ペンで心情をピンク色に塗りつぶしてちょちょちょっと把握するだけで解けます。
塗りつぶした心情を順を追って読み解く
問題文で表現される心情を引用する
ピンク色に塗りつぶした箇所を冒頭から引用していきます。
1.惨めな思い
↓
2.嫌なもの
↓
3.上手く言い表わせない
↓
4.嫌いじゃない
↓
5.嫌いにはなれない。どうしても、なれない。捨ててしまおうとも、止めたいとも思わない。
↓
6.投げたい
↓
7.笑いたくなる
↓ ①転換点
8.ピッチャーなんやな
↓
9.閃くものがあった
↓ ②転換点
10.もう迷わない。書きたいことが込み上げてくる
↓
11.心地よい、胸の高鳴り
↓
12.高揚感に心臓が大きく鼓動を刻む
↓
13.焦る
↓
14.でも、いいや
↓
15.これがおれなんだから
↓
16.恭介が理解できることをやっと言ってくれた。何となく安堵する。
引用 平成26年 桜蔭中学校 国語大問2 あさのあつこ『かんかん橋を渡ったら』 より
この物語は主人公の恭介が野球部のエースとして投げた試合でボッコボコに打たれて降板したところから始まります。
ピンク色に塗りつぶした箇所を全部説明していきます。
前半部分までの心情の変化を整理する
ボッコボコに打たれて降板した「1.惨めな思い」から物語が始まります。
で、ボッコボコに打たれるのは「2.嫌なもの」だと恭介くんは言います。
監督は降板した時の気持ちは安堵だったのか、辛かったのかと聞きますが、恭介くんは「3.上手く言い表わせない」と思います。
監督の質問は続きます。「お前は野球を嫌いになったか?」と。それに対して「4.嫌いじゃないです」と答えます。
ボッコボコに打たれるのは嫌な経験です。でも「5.嫌いにはなれない」と恭介くんは思います。
更に監督は聞きます。「もう一度、投げたいか」。恭介くんは「6.投げたい」と思います。
さ、ここまでで一区切り。
ボッコボコに打たれて降板させられた恭介は嫌な気持ちになったはずなのに、それでも「投げたい」と思います。
なぜなのか?
小学校の授業だったとしたら、「気持ちを想像してみよう!」なんて言うかもしれません。
で、子供達が「はーい!それは恭介くんが心の底から野球を好きだったからでーす!」なんて言うかもしれません。
それに対して、担任の先生が「そうだね!好きだったのかもしれないね!」と言うかもしれませんね。
but…
ブッブー!どこ見て言ってやがんだ、スットコドッコイ!
これは入試問題です。
実際に読んでいただければ分かると思いますが、ここまでの描写で恭介くんが「投げたい」と思うに至った理由なんてどこにも書いてません。
いいですか。
入試問題で根拠のない解を導くなんてのは絶対にやってはいけないことです。
そんな解は単なる妄想。
では恭介くんの心情をどう読み解くのかやっていきましょう。
この部分までの恭介くんの心情は理解不能です。
だって、そうじゃないですか。
打たれまくって嫌な気持ちになったけど、野球は嫌いじゃない。でもなんで嫌いじゃないのか分からない。なんか知らないけど投げたい気持ちになってしまう。
後ろ向きの感情と前向きな感情が入り混じっていますね。
何と表現するか?
これはさしずめ混乱とでも呼んでおきましょう。
恭介くんは自分の気持ちを整理できず混乱しているんです。
少なくとも前半部分までの心情変化を、飛躍せずに読むとそう読み取ることができます。
それ以上の読解、例えば「野球が本心から好き」とか「負けず嫌いだから」みたいなのはどこにも根拠がありません。
これを飛躍と言います。
書いていることから論理的に導けない解釈を入試問題ではしてはいけません。
では以降の恭介くんの心情を追っていきましょう。
後半以降の心情の変化を整理する
「投げたい」と言った恭介くんの言葉に大笑いした先生はバシバシ肩を叩きます。そして恭介くんは「7.笑いたく」なります。
そして「8.ピッチャーなんやな」と恭介くんは感じます。
ここが第一の転換点。
打たれまくって気持ちがマイナスになっていた恭介くん。
監督の先生と接することによって気持ちがフラットになります。
そして「自分はピッチャーなんだ」と思考を整理することができました。
前半部分、混乱状態にあった心情が整理されるんです。
なぜなら自らの思考で「自分はピッチャーなんだ」と断言しているからです。
心情の劇的な変化であり、その変化に呼応して物語が展開します。
ですから、ここが転換点です。
さあ、どんどんいきましょう。
この後、監督は恭介くんに「なぜ打たれたのか」をレポートに書いてこいと命じます。
で、レポートを書くために恭介くんはめっちゃ考えます。なぜ打たれのか。そして彼がレポートを書き直しているうち「9.閃くものがあった」んです。
ここが第二の転換点。
なぜ打たれたのかを考えて考えて考えるいるうちに閃いたんです。マウンドを足裏でしっかり感じれていなかったからだ、と。
いわゆる気づきです。
そして彼は「10.もう迷わない。書きたいことが込み上げてくる」状態となり、「11.心地よい、胸の高鳴り」を感じ、「12.高揚感に心臓が大きく鼓動を刻む」までになったんですね。
つまり、最初はマイナスだった感情がフラットになり、そして気づきを得たのをきっかけにプラスに転じた、そう捉えることができるんですね。
こうして書いたレポートを監督に見せに行く恭介くん。
監督はレポートを読み黙り込みます。恭介くんはその様子を見て「13.焦る」。
ところが、自分が今出せる精一杯の解を出した恭介くんは「14.でも、いいや」と胸を張ります。
誰がどう思おうと、「15.これがおれなんだから」と。
ここには明確な意志がありますね。
そんな恭介くんに監督は「詩人やったんやなあ」と言います。その意味が恭介くんには分かりません。
監督はひとしきりレポートの感想を述べると、「走り込め」と言います。下半身を鍛えればマウンドがおまえを支えてくれる、と。
その言葉を聞いた恭介くんは「16.何となく安堵する」んです。理解できることを言ってくれたからです。
そして問題文は終わります。
この物語は3つの構造に分けられる
1つ目の構造は打たれまくってへこんで混乱状態になってしまった恭介くん。
2つ目の構造は監督から激励を受けてやっと平常心になった恭介くん。
3つ目の構造は監督からの宿題であるレポートを書くうちに明確な意志を持つようになった恭介くん。
①混乱 → ②安定 → ③信念
という3つの構造を持ったこの物語文のテーマは成長です。
心情の抜き出し、心情の整理、転換点の発見、構造化、テーマの発掘という5つの要素を満たすことができました。
ここまでできれば問題文は解けます。
ってゆうか物語文で満点を狙うならここまでやらないといけないんだけどね。
試験時間中に。
物語文を読むということをおさらいする
よく、丁寧に問題文を読みましょう、とか、人物の気持ちを抑えながら読みましょう、とか言うじゃないですか。
でも、そんなこと言われても良く分からなくないですか?丁寧って何だよ、もっと具体的に言えよ?ってね。
だから、退屈を承知で物語文を読むということをなるべく丁寧にやっていきました。
国語の問題を解く上で必要なこと。
それは丁寧に読むこと。
丁寧に読むとは何か?
登場人物の心情と、心情の変化を抑え続けること。
過剰にテクニカルな読み方をする必要はございません。
中学受験の国語の参考書の中にはすっげえ細かいテクニックを披露するものもあります。
あっちに線引け、こっちに線引け、丸で囲め、あっちとこっちを線でつなげ、とかね。
そんなことしながら文章なんて読めませんって。
初めはとにかくシンプルに。
本質は心情を追い続けること。
訓練をするうちにやがて細かいテクニックに気づくようになります。
最初から細かなテクニックを意識しようったって、上手くはいきませんよ。
では解きましょう!
この10年に限った話ですが、桜蔭中学の選択肢問題はとても簡単です。
比して難しいのが記述問題です。
ここまではひたすら読み解いていきました。
ここからは問題を解くということをやっていきましょう。
そこで問4(記述問題)をどのようなロジックで解くのか解説していきます。
問4 ーAはどんな気持ちですか。また、なぜこのようになったのでしょうか。説明しなさい。
引用 桜蔭中学 平成26年 大問2 問4 より
傍線部Aは「何だか胸がどきどきする」という箇所です。
10.もう迷わない。書きたいことが込み上げてくる
↓
11.心地よい、胸の高鳴り
の間に傍線部Aはございます。
つまり、傍線部Aの「胸のどきどき」とはピッチングに関する気づきを得たことに対する胸の高鳴りでございます。
かわいい男の子に恋した時の胸のどきどきじゃありませんよ。勘違いしないでください。
問いは2つのことに答えろ、と言ってますね。
どんな気持ちなのか、と、なぜそんな気持ちになったのか、の2つです。
文章を読むのも大事ですが、何を答えろと言っているかを把握するのも同じくらい大事です。
すなわち、この2点を記述できてなかったらダメってわけ。
さて、「どんな気持ちなのか」からいきましょう。
この時の気持ちを詳しく書きますと、
「マウンドがしっかり下から支えてくれており、自分とマウンドがつながっていると感じたときに自分は良いピッチングができると自分の頭で考え、発見した時の高揚感」
です。
次になぜそんな気持ちになったのかを導きましょう。
「ピッチングが上手くいかなかった理由を深く考えて自分自身で答えを出せたから」です。
さー、いきますよ。この2つをつなげます。
「自分のピッチングが上手くいかなかった理由を深く考えることによって、良いピッチングができる時はマウンドが下から支えてくれており、自分とマウンドがつながっている感覚があるのだと自分の頭で考え発見できたことに心地よさとともに高揚感を感じたから」
ポイントは、上手くいかなかった理由を考えた結果、自分の頭でその理由に到達したという点です。
この初めての経験により恭介くんはどきどきしてしまったんですね。
ちなみに問5も記述です。200文字以内で説明しろってさ。
リクエストがあれば問5を解くためのロジックも説明しますが、何しろ今はストロングゼロでだいぶイッちゃっておりまして・・・。
過去問の解答と答えが違うからと言って悲観するな
さて、上の私の解答は過去問の解答と一言一句同じではございません。
表現は違います。
選択肢問題であればいざ知らず、記述問題は過去問の模範解答と違うことはしばしばございます。
そんな時に気落ちしてませんか?
いいえ、気落ちする必要はありません。過去問集の解答通りになっていなくても全然問題はありません。
ポイントが抑えられていたら大丈夫です。
この問題で言えば、「どんな気持ちだったのか」と「なぜそんな気持ちになったのか」
それがきちんと記述されていれば大丈夫です。
過去問集の解答は複数の講師の先生がめっちゃ時間を使って、隙がないように作った解答です。
たった50分の試験時間に小学6年生がそこまで到達できますか?
できませんよ。
だから、問題集の解答と照らし合わせる時は表現ではなく、ポイントを抑えられているかに注目するんです。
多少過去問の模範解答と表現は違ってもポイントさえ抑えていたらよしとする。
それでも自信のない方にはっきり言いましょうか。
模範解答ですっばらしい解答を披露している先生でも、50分という制限時間の中で記述したら多少フニャフニャした解答をするものです。
桜蔭中学の国語、物語文対策
最後にどう対策するかを書いて終わりにしたいと思います。
問題文がクッソ長い件
桜蔭中学の物語文は何しろ長い。
よし!速読だ!速く読む訓練だ!とか思っちゃいますよね。
いやー、違うんです。
本当にやらないといけないのは、どこを精読してどこを流し読みするかという強弱をつけることなんです。
いわゆる優先順位ってやつ。
では優先順位をどうやってつけるか?
これは国語が登場人物の心情を追い続けるゲームだ、と理解していることが重要なんです。
すなわち、心情変化と関係ない部分はさっさと読む。
心情変化を導く部分はしっかり読む、と。
ながーい問題文ですが、ちゃんと優先順位はあるんです。
過去問を解くことの意味
皆さん、過去問ってなんのために解くか知ってますか?
一言で言いましょう。
自分の今の実力を測るためです。
よく、何度も何度も過去問を解く受験生がいます。
それ、無駄っス!
過去問は何度も解くものじゃありません。3回も解いたら答えを覚えてしまいます。
これでは意味がありません。
このへんの事情は↓で書いてます。
さて、何度も解くよりもずっといい過去問との向き合い方があります。
それは何か?
徹底的に分析する
今回は国語の物語文をやりましたので、これについて書きたいと思います。
過去問の分析をしろよー、なんて頭のいい人たちが気軽に言ってくれちゃってますよね。
でも、思いません?
分析するって具体的に何すりゃいいんだよ?
ってね。
これに対する私なりのアンサーは、私がこの桜蔭中学の物語文でやったような読み方を時間をかけてすることです。
すなわち、
①心情に線を引く
②心情を追い続ける
③心情を整理する
④物語の転換点を発見する
⑤構造を発見する
⑥テーマを発見する
私はこういったことを読んでいる最中にやっていって、問題を解きますが、これには慣れが必要です。
最初からはうまくいきません。
だから、最初はとにかく時間をかけて、一つの問題を丁寧に読み解くんです。
方法論は上で示した通りです。
過去問はもとより、塾で出題される問題も、きちんと納得いくまで読む訓練をする。
そうしていたら、桜蔭中学レベルの長文でも時間内で読み、解くことができるようになります。
なに?桜蔭中学の問題文も長いけど、お前の文章も長いって?
長いものには巻かれておきなさい。きっといいことありますから。
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