開成中学入試問題「算数」を徹底解説、平成28年度大問2(3)仕事算ー第14回

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開成中学算数の入試問題は8割が論理で残りの2割が算数である

開成中学の算数入試問題大問3の(3)です。前回からの続きの仕事算っぽい問題であります。

「っぽい」てなんだ、という話ですが、仕事算のように見えるけれども仕事算の典型的な解き方では解けない問題という意味ですね。前にも言った論点の偽装問題です。

ではどうやって解くのかというと、特殊算は使わず論理で解きました。数年にも及ぶ受験勉強や中学受験対策をあざ笑うかのような問題です。解法やら公式を当てはめても解けない、ロジカルに考えることで解くことができるのです。

これは開成中学校の他の問題にも共通しますが、どれだけ塾で習った中学受験対策の算数の解法を覚えているかや、その解法の練習をしたかよりも論理性を重視しているんですね。

このあたりに、開成中学校が欲しい人材、つまりゆくゆくは東大を狙える生徒の像が浮かび上がりますね。

がり勉ではなく、論理的にものを考え解決する生徒、これこそが開成中学校が欲しい人材だと分かります。

じゃあそうなりましょう。

そもそも20年以上前の算数の解法をぼんやり覚えているだけの私が論理を駆使してほぼ解けるのですから、勉強量や解法の暗記ではなく、論理と最低限の算数の知識で解ける問題に仕上がっていると言えます。

これこそが開成中学の問題が練られた良問と呼ばれる所以でもあると考えます。

step1 条件を発見する

問題文を見ていきます。

3人の職人A、B、Cの1日あたりの賃金はそれぞれ6000円、9000円、30000円です。ある仕事をA1人に頼むと600日、B1人に頼むと400日、C1人に頼むと200日でちょうど完了します。職人が2人、あるいは3人で同じ日に作業したとき、それぞれの能率は1人のときと変わらず、その合計の作業がされます。また、最後の日は途中で仕事が完了しても1日と数え、1日分の賃金を支払います。以下の問いに答えなさい。

(3)賃金の合計金額を420万円以内とするとき、この仕事が完了するまでにかかる日数が一番少ないのは、A、B、Cそれぞれに何日ずつ頼むときですか。また、そのとき何日で仕事は完了しますか。

はい、では次に明示された条件です。(1)、(2)で明らかにした隠れた条件も含めて(3)では明示された条件とします。

・Aの1日の賃金は6000円で600日で仕事を完了させられる

・Bの1日の賃金は9000円で400日で仕事を完了させられる

・Cの1日の賃金は30000円で200日で仕事を完了させられる

・複数人で作業をしたときでも能率は変わらず、合計の作業量となる

・最後の日に途中で仕事が完了しても1日と数え、1日分の賃金が支払われる

・Aの作業量を(1)とおくと、Bの作業量は(1.5)、Cの作業量は(3)

・Aは(1)あたり6000円

・Bは(1)あたり6000円

・Cは(1)あたり10000円

・全体の作業量は600である

 

では次に(3)にて新たに明示された条件を挙げます。

・賃金の合計金額を420万円以内とする

・仕事が完了するまでにかかる日数が一番少ない

 

こういった条件のもとで考えれば答えが出てくるということです。

では次にこの条件に則って隠れた条件を発見していきましょう。

step2 隠れた条件を発見する

仕事が完了するまでにかかる日数が一番少ない、全員で作業をすれば良いのですが、それでは賃金が大幅にオーバーしてしまって話になりません。

では賃金効率の高いAとBが共同して作業してみてはどうでしょうか?しかしこれは開成中学校平成28年度算数、大問2の(1)仕事算で求めたように240日かかりますね。しかも3600000円しか使っていません。

今回はなるべく早く作業を行うことが条件ですので、予算の制約目いっぱいにCが活躍してくれることが大事です。では、Cが一人で4200000円分の作業をしたらどうでしょうか?

4200000÷30000=140で、140×(3)で420の作業しかできません。180だけ作業が残ってしまいますね。予算の制約があるのでここまでしかできません。

この180の作業をC一人の作業よりも効率の良いAとBの共同作業によって600の作業量に到達するような全体の作業日数を求めれば良いのです。

step3 解答の方向性を決める

180という残作業量はめいっぱいCに賃金を払ったときの残作業量です。

ということは、Cの作業量を減らし(=賃金を減らす)その分、効率の良いA、Bの共同作業を行うことで4200000円という予算の制約を守ることができます。

Cが1日当たりの作業を減らすと30000円浮き、(3)の作業量が減ります。AとBが作業をすると1日当たり15000でCが減らした1日分の賃金で2日分の作業ができ、作業量は2×(1+1.5)で(5)となります。AとBの共同作業の方が効率いいですよね。

つまり、Cが1日作業を減らすと、A、Bの活躍によりCの1日分の賃金で作業量が(2)増えるのです。(5)-(3)で求められます。

C一人で4200000円分の作業をしたときには作業完了させられませんから、Cが作業日数を減らして、その代わりに作業効率の良いA、Bが何日共同作業することによって4200000円の予算の制約の中で作業完了させられるのかを求めれば解答を導けそうです。

step4 解答の道筋を決める

Cが4200000円という予算の枠内で作業をしたときの420という作業量では180だけ作業量が足りませんから、Cの作業量を減らし、減らした分をA、Bの作業効率の良さを活かして埋めていくというように考えます。Cが作業を1日減らすと30000円の賃金が浮きますから、A、Bは2日働くことができます。

step5 計算する

Cが作業日数を1日減らして(30000の削減)、A、Bが作業日数を2日増やす(15000×2=30000の賃金発生)と、支払われる賃金は一緒ですが作業量が(2)増えます。

残作業量は180ですから、180÷(2)=90日だけCが作業を減らせば作業完了させられることが分かります。

Cだけで予算の4200000円を使い切るとすると、4200000円÷30000円で140日働けることになります。この140日では作業は完了しないので、Cが作業を減らした分A、BによってCの賃金分の作業を行い作業完了させます。

上記より90日Cが作業を減らせば作業完了しますから、Cの作業日数は140-90=50日となり、A、Bは(600-50×3)÷2.5=180となり、

答えはA:180日、B:180日、C:50日となります。

このときの作業完了日数は180日です。

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